不老不死の呪いは巡る   作:カピバラバラ

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ゆる〜く…解説的なお話。


閑話:出産育児って大変だよね〜

東京都上空。

 

空から赤い光が彗星の様に落ちてくる、人通りの多いスクランブル交差点の中心へ向かって一直線に。

 

誰もそれを見て騒ごうとしていない、というよりは見えていないのだろう。炎の塊が落下し、炎が解かれる。

 

 

 

「よいしょっ…と」

 

 

「大西洋は圏外だったからな…横断し始めてからなんか新しい連絡が…」

 

 

アメリカからこっち来る時にはちゃんと連絡つけたし、着いたって連絡もしておかないといけないし。

 

 

「……あ?」

 

 

《西東京市少年院にて呪胎確認 派遣されたのは…ーー》

 

 

「……虎杖」

 

 

不味った、上層部が消しにいったか…今から間に合うか?まだ保険は発動していない、していないって事はまだ虎杖は無事だ。

 

 

「待ってろよ…!!」

 

 

認識結界張ったままで良かった、事前の仕掛けで宿儺が自由に動くことは無いとしても、七海や伏黒、釘崎が無事かは分からない。

未登録の呪霊が何かしでかす前に祓って上層部のガキ共にケジメつけさせなきゃな……。

 

 

「おーい!!ちょ、ちょいタンマ…!!妹紅〜!」

 

 

「ん?」

 

 

お?羂索……というよりは夏油の声だが、この呼び方は十中八九羂索だろ、何処だ?

 

 

「ストップ…待って、行っちゃダメだから…携帯、携帯見て……」

 

 

「携帯……?うわ!?キモ!?!?」

 

 

なんか私の知らぬ内にめちゃくちゃキモイ肉のストラップが携帯に付いてるんだが?なんだこれ…いや、これから声がするから羂索の端末か?

 

 

「燃やしていいか」

 

 

「ダメだってば……はぁ…焦った…」

 

 

「お前がそこまで焦ってるの何千年振りだ?」

 

 

「いやもぅ…君速すぎるんだもん、何でアメリカからここまで1時間で帰って来れるんだよ……とにかく!それ、介入しないでね?」

 

 

「あ、あぁ分かった」

 

 

次は何企んでんだか……はぁ、スタ〇でチョコフラッペでも飲んどくか…。

 

結界解除っと、服装も今日はスーツだし変じゃないだろ。誰かにジロジロ見られたりコスプレ呼ばわりされる事も無い。

 

 

「ロイヤルチョコフラッペ1つ」

 

 

そこに行くから私のも頼んどいて

 

 

「……と、ストロベリーフラペチーノ1つ」

 

 

「了解致しました、受け取り口でお待ち下さい」

 

 

外の席に座り、つめたーいチョコフラッペを飲んで数分。

 

ーーピリッ、とした感覚が身体を走る。

 

 

「……宿儺と代わったか、保険も発動した」

 

 

交代したという事は、相当な事態が巻き起こっているんだろう。

 

生得領域を1度焼き切った、故に今の宿儺は領域展開を使えないし術式も使えない、それに交代した瞬間に私がどこに居ても気づけるから速攻飛んでいって虎杖に主導権を渡すまでボコボコにできる。

 

 

「……」

 

 

「介入するな、か…」

 

 

「はぁ、羂索の奴早く来いよ…フラペチーノのアイス溶けちゃうって……私が食べてもバチ当たらないよな?」

 

 

イチゴ味もちょっと舌に乗せときたかったんだよな、いただきまーー

 

 

「はいダメ、私のだもーん」

 

 

「……キレていいか」

 

 

「なんで!?」

 

 

「それが分からなかったらお前に人間やる資格は無いと思う、何処に心を置いてきたんだ」

 

 

こういう無自覚に人を苛立たさせる才能は世界一だと思うぞこいつ……フラッペ美味し……はぁ…。

 

 

「雑談でもするか」

 

 

「いいよ、答えてあげよう」

 

 

()()だって言ってるだろうが、お前の計画にチマチマ小言入れたい訳じゃない……それに、ある程度察しはついてる」

 

 

羂索が目の前の席に座って、イチゴフラペチーノを食べ飲み始めた。袈裟を着てるやつがこんなイマドキっぽいことしてると違和感が凄い。視線もめちゃくちゃ集まってる。

仕方ないから風景に馴染む様に結界で見た目変えてやるか…。

 

 

「ある程度、でしょ?何が起こっているのかは分かっているけれど、誰が何をして、どうなってるのか知りたくないの?」

 

 

「……それを、お前は面白いと思うのか?」

 

 

「はは!いーや、全然!」

 

 

「だから雑談だ…私が思ってること適当に喋るだけだからな」

 

 

「いいよ、聞かせてくれ」

 

 

…さて、わざわざ魂だけになって宿儺を燃やしに行って良かったと今は思う。そうじゃなきゃあの違和感にも気付けなかった。

 

なんか……混ざってたんだよな、両面宿儺以外の何かが。

 

 

「基本、事態の中心点は悠仁だ、お前と『月の敵対者』は昔の呪いの在り方に大分固執している……神奈子と諏訪子に会って分かったよ、確かに質が違う、呪いというよりは本当に『信仰』に近い」

 

 

「それに近しい『信仰するに値する何か』を悠仁の出産の時に埋め込んだな?目的は……察するに定点、『何か』と『何か』の橋渡し」

 

 

何か何かと、『何が』かは全く分からないが凡そこんなもんだ。

信仰とは繋がりであり、繋がりとは縁、縁とは道でありそれ故に巫女や風祝の様な神と人を繋ぐ存在は尊いとされる。

 

 

神と、神の世界との繋がりを信じる事こそが信仰だ。死後の世界だとか輪廻転生だとか、現代社会で無意識的に信じられているが、これも普通に宗教の賜物だからな。

 

 

つまるところ、信仰とはその世界や神、信じるものと繋がる事だ。地獄があると信じればその人の人生には地獄という概念が現実として産まれるし、輪廻転生だってそんなもの存在しないのに、信じればその人の世界にはそのシステムが産まれる。

 

 

「よく気付いたね」

 

 

「お〜…そう言うって事は正解か、まぁ何せ本物の『神』と最近会っちゃったし…あの穢れの強さ、多分古代の国津神だろ?お前が穢れを回収したかった理由も分かる」

 

 

「本当に全部正解していくねぇ…本来神や地獄ってね、実在したものらしいんだよ、実在して、信仰されて、信仰を失っていく」

 

 

「時代の流れによって存在の維持すら……ってのは話したよね」

 

 

「あぁ」

 

 

「……ーーあの2人の神の末路を見て、言いたいこと分かる?」

 

 

「分かる、昔の『そういった存在達』は、自分がいつか消える事を理解していただろ」

 

 

「そうさ、そして理解していても受け入れられる訳じゃない」

 

 

「……なるほどな?伊吹とかマミゾウの真逆か」

 

 

この口振り的に、月の敵対者もそういう奴だな…。なんで月と敵対してんのかは知らないけど、割と喋るじゃないかこいつ。

 

なら、その『存在達』は何処に身を隠した?って所まで行き着くな……消えてなくなったってのもあるかも知れんが、受け入れないってなると……私の悠仁が何かを繋ぐ定点説も割とアリ寄り。

 

…うーん、だけど、宿儺の指と張り合えるレベルの呪物が『通り道』にしかならない程度って、どんなモノを繋げようとしたらそうなるんだ?

 

 

「あ〜……私がさ、虎杖香織の身体に入ってた時あるじゃん?」

 

 

「ん?うん、それがどうした?」

 

 

「え〜っとねぇ、私が仁さんとの夜這いをどうしようかな〜って脳内でズッコンバッコンと考えてた時の事なんだけど……いざ誘惑!って時に急にあの胡散臭い奴が現れてさぁ〜…縛りで契約して、色々話し合って、孕む時は宜しくーなんて、全くこれだからマトモな出産経験無い奴は…」

 

 

「は?キッッッ…ーー………それで?その愚痴がどうした」

 

 

「雑談で愚痴挟む位良いじゃん、全部楽しかったけど」

 

 

「……はぁ」

 

 

フラッペを飲み干してゴミ箱へ、羂索も飲み終えたのか一緒に立ち上がりゴミを捨て、その場を妹紅と後にする。

 

ブラブラと街を歩きながら雑談を続けるが、自分が仕掛けた宿儺への対策の影響か、向こう側の状況が分かるようで怪訝な顔を崩せない妹紅。

 

 

「そうだ、悠仁の変調あったじゃん?」

 

 

「1回相談した奴な」

 

 

「あれさ、その魂に練り込んだ奴の影響ね……そうだ、VRって分かる?」

 

 

「ウチの会社の坊主が『先見の明だ!』っつって投資してたぞ、仮想現実…起源はなんだっけか…ダモクレスの剣だったっけ」

 

 

「そう、そのシステムがキッカケだった、虎杖悠仁は近未来のVRゴーグルだって事…考えたのは私と協力者なんだけど」

 

 

「……」

 

 

「虎杖悠仁が繋げているのはね、結界と結界だよ……それも世界規模のね」

 

 

「……!!」

 

 

空性結界か!?だがそれにアクセスできる様にするのも……いやまて、悠仁が繋げてる…?

 

 

……。

 

 

……空性結界…の、基点には……浄界に存在してある…。

 

 

宿儺の、即身仏…。

 

 

 

「…悠仁の生得領域に対して、宿儺の生得領域が上塗りする形で存在していたのにも関わらず悠仁には何も無く、焼き払った後も虚空に近かった……なるほど、本当にワープゲートって事か」

 

 

「そっ、だから君に連絡が入った未登録の呪霊は、悠仁が向こう側へ『揺らいで』仮初の意識だけを渡らせた時、それを介して意識と魂だけを渡らせてきた……ーーーえ?焼き払った?」

 

 

なんか物凄い顔をして羂索がこっちを見てきた。

 

 

「ん?あぁ、宿儺に私の事思い出されるの嫌だし」

 

 

「……あ・の・さぁ〜……ほんと、何してんの…!?生得領域を焼き払うって、バカ、も〜…何かあったらどうするんだよ」

 

 

「指1本また食べたら元に戻るから大丈夫だって、記憶は知らんが」

 

 

「……」

 

 

「ほんとほんと、……あっ、ほら、多分今の瞬間1本取り込んだぞ?そろそろヤバそうだから向かうけど…いいか?」

 

 

「え〜?せっかくの雑談なんだからさ、ほら、強さ比べ議論でもしようよ」

 

 

「なんだその男子高校生歓喜の話題は……」

 

 

「まずは…宿儺vs五条悟とか」

 

 

「最初から最強決定戦してどうする、こういう時はもう少し加減してだな……お前vs天元とかどうだ?」

 

 

「はっ!あんな旧態で停滞を望む生き遅れウソツキバカに負ける訳ないじゃん、呪霊操術持ってるからワンタッチで終わりだし」

 

 

「張り合うなぁ……ん〜…夏油vs宿儺大好きな奴……夏油勝つか、強いもんな…」

 

 

「だからやっぱり宿儺と五条だって、予想してる時が1番楽しいんだから……まずそもそも宿儺にはーー」

 

 

 

その後。

 

結局白熱して、伊地知から連絡が来るまで1時間程度はしゃいでしまったとさ。

 

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