不老不死の呪いは巡る   作:カピバラバラ

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計画は策略と暗躍と計略にして成る

 

 

 

 

少年院の事件が起きる1週間程前の事。

 

 

 

儂は、最近最悪な目に2回会った。

 

 

 

「『幻想郷』…それが結界内の世界の名前だよ、古の神や大妖が住み、閉鎖された世界で純粋な恐怖を失い存続出来なくなった存在達の住処、君も1度招待されたんじゃないかな?してない?あっそう…」

 

 

 

奇妙な男だった、何処から儂のことを知ったのかは知らぬが……一分一秒が大金に繋がる儂の時間を奪おうとする輩の顔を人目見ておきたくての。

 

 

 

「まぁ、それでね?虎杖悠仁は幻想郷とこっちを遊覧できる唯一の存在、彼の管理は…ご存知妹紅がやってくれている」

 

 

 

この時点で帰りゃ良かった、ご存知妹紅、とか巫山戯たことを抜かしおって……。

 

 

 

「……さて、問題を出そう、神とも言える権能を振りかざし、大妖怪と言われる存在は1人で世界を滅ぼせる程の力を持っている、そんな存在達がこぞいもこぞって隠居している地から……此方へと干渉し始めた、その代表は月の敵対者だろう、実際現地に赴いてくるのは彼女だ」

 

 

 

「確実にこの世界へと手を伸ばし始めている、絶対不干渉を貫いてきた者たちも段々とね、なんでだと思う?」

 

 

 

「……知らぬわ、凡そ身に余る欲望に支配されてるとしか思えん」

 

 

 

「ふふっ…ははは、まぁ、それの逆なんだよね、彼ら彼女らの現状って」

 

 

 

「……」

 

 

 

「身に余る欲望、じゃないさ……生存本能ギリギリの欲望なんだよ、欲が枯れた存在達も生き残りたくて必死なの」

 

 

 

 

「なに?」

 

 

 

 

「君に協力してもらう為にも、もう1つ秘密を教えてあげる」

 

 

 

 

 

「『幻想郷』の現状はね………」

 

 

 

 

 

「現世の呪いに、押しつぶされかけてるんだよ」

 

 

 

 

 

 

これが1つ目の最悪な事。頭の可笑しい奴に絡まれた。

 

 

 

もう1つは……。

 

 

 

 

 

「こんばんは、狸の大頭領さん」

 

 

 

「……はぁ…今日は厄日じゃな…」

 

 

 

「あら、そうでは無いかもしれませんよ?貴方にとって…とても、そう……とても、利のある話ですから」

 

 

 

「……」

 

 

 

 

悪魔の様な女に目をつけられてしまった事かの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてさてさーーて!そろそろ始めるか、甚爾!酒盛りだーー!!」

 

 

 

田舎のラーメン屋、真昼間からべろべろになった伊吹が甚爾の肩を組んで騒いでいた。

 

 

 

「酒カスがなんで音頭取ってんだよ」

 

 

 

「まぁまぁ、そ奴はこういうお祭りごとが大好きだからの…興奮が冷め収まらないんじゃよ」

 

 

 

客はこの3人のみで、幾ら騒いでも文句を言う人はいない。

というよりは、誰もいない。

 

 

それもそのはず、ここは妹紅が趣味で作ったラーメン屋…個人店なのだから。酒や食材は置いてあるが、妹紅が店主なので居なければ伽藍堂であり、一見さんお断りもしてある。

 

 

つまりは、この3人が都合よく集まれる場所でしかなくなっている。

 

 

 

「儂のツテで呪具は取り寄せまくったが…集まりきったか?」

 

 

 

「…まぁ、天逆鉾が無ぇ分はまだだが」

 

 

 

「萎れた顔をするでない、あんな呪具等そうそう見つからんよ…にしても格納呪具、特級を超えた値段を付けられるとは…確かに製造方法が即身仏と地味だったからのぉ…」

 

 

 

「お陰様で妹紅に貰った金も尽きかけてやがる……あんな金ありゃ一生遊んで暮らせると思ってたんだがな…」

 

 

 

互いに財布の寂しい状況になったが、準備は万全。殆ど完璧だと言っていい。

 

 

 

「享楽主義のお前が手を貸すとは思ってもいなかったが…やはり家族愛という奴か?恵とやらが巻き込まれるのは嫌か」

 

 

 

「……うっせぇなぁババア」

 

 

 

「ほっほっほ、その返事で十分じゃよ……さて…」

 

 

 

数週間前にあった2()()との会談を思い出す。

 

片方は額に縫い目のある男、片方は美しい麗人。

2名からの話で、互いが何をしたいかが明細に分かってしまった。

 

 

 

「ふふん……儂は商人だからな、両方上手く使って1番得を得るのがせおりーという奴じゃ」

 

 

 

ハッキリ言って、あの2人は怪物。儂も真正面から張り合うのは気が引ける……何せやる事のスケールが違いすぎる。

 

 

 

「……なぁ、甚爾…飲み仲間として聞くんだが…全人類をワシらみたいな化け物にしようとしている奴と、この世界を化け物が支配する世界を作ろうとしている奴、どっちがイカれてると思う?」

 

 

 

「……」

 

 

 

指で頭を指して、クルクルパーのサインをするのを見ると……そうだよな、どっちもイカれておるよな…。

 

 

 

「全人類妖怪化は論外として…『第2の幻想計画』か……アホらし、どんだけ長生きしたいんじゃアヤツら…」

 

 

 

そりゃ表面上で手を取り合っても、机の下じゃバチバチの敵対状態になるのも当たり前だ。

なんも知らんが、なんか滅びかけてる地を捨てて現世を侵攻しようとしてる馬鹿と、楽しそうだからって全人類を妖怪にしたいって馬鹿の争いに巻き込まれる立場にもなって欲しいもんだ……。

 

 

全人類が妖怪になれば、餌が無くなって滅ぶじゃろ?そんな当たり前の事を聞いてみたら……。

 

 

 

『それこそ待ち望む進化だよ、極限を迎え、死を間近にした私謹製の『人間』を保った妖怪は…』

 

 

 

『どんな風に、進化すると思うかい?』

 

 

 

……ケラケラと大笑いしながら話しおって、これだから頭のイカれた奴には付き合いとうない。

 

 

 

 

「なに難しい事話してんだー?まみぞー……ねむ…」

 

 

 

「の・み・す・ぎ・じゃ、こんのバカタレ」

 

 

 

所詮は儂らの様に呪いの循環を受け入れられなかった老害共の最後の足掻き、本当はどちらともに関与する気等無かったが…。

 

 

これ以上人間も妖も穢されては困る、そして最終的に月のヤツらに総取りされるのも腹が立つ。

 

 

商人として、地元(日本)が荒らされるのを指くわえて見ておく訳にはいかんからな。

 

 

 

「あのはなたれ小僧の計画も、胡散臭いババアの計画も全部ぶち壊して!最後に笑うのは儂らじゃ!!マミゾウカンパニーの明るい未来に、皆の明るい未来に!そーーれ、乾杯〜!」

 

 

 

一妖は己の金銭欲とメンツの為に。

 

 

 

「……はぁ…盃の相手させんなよ…」

 

 

 

一人は、最後に託された彼女の奇跡()を守るために。

 

 

 

「いえーーい!かんぱーーーい!」

 

 

 

最後の酔っ払いは……ーー。

 

 

 

妖怪として、鬼として、ただ宴を楽しむ為に。

 

 

 

「人妖同盟〜!ファイおー!」

 

 

「おー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おー?何楽しんでんだお前ら」

 

 

 

「「ブフゥッ…!!?」」

 

 

 

ーーの前に、頓挫しかけたのだが。

 

 

 

「うぇ!?甚爾!!?」

 

 

 

「お〜…虎杖か…連れてこられたんだな?」

 

 

 

ラーメン屋の扉が開かれて、妹紅と虎杖が入店する。

ただ、虎杖は聞かされていた話との想定がズレる人物がいたようで…。

 

 

 

「え??もこねぇ、呪術知ってる人だけの集まりだって…え〜??」

 

 

 

「まっ、そゆことだ……甚爾もこっち側だって事、呪具集めは順調か?」

 

 

 

「お陰様でな」

 

 

 

軽くハイタッチを交え、厨房の中へ入っていく妹紅。麺を茹で始め、スープを温めた器へと注ぐ。醤油ベースの豚骨醤油ラーメン、いつも通りの1品。

 

 

4品作り、トッピングを乗せてテーブルに座る4人へと提供する。

 

 

 

「はいお待ちどう……色々とお前らに用事があってな、特に伊吹とマミゾウの2人にだが…そ・の・前・に、何企んでんだ、お前ら」

 

 

 

「な、何もナイヨー…?儂何も企んどらんよなぁー?伊吹〜?」

 

 

 

「う、うん!なんにもないったら…ないぞ!」

 

 

 

「出しなさい…ナ〇シカ…伊吹は策略と共に生きられぬのだ……ほら吐け」

 

 

 

「う、うぅ……うーー…」

 

 

 

んまぁ、虐めるのもこれ位にしとくか……何企んでても、甚爾が関わってる以上恵関連なのは間違いない、そうじゃなきゃ手を貸さないだろうしな。

 

 

「まぁいいや、それよりも…手を貸せ、伊吹、マミゾウ」

 

 

 

「ほう?手を貸せとな……珍しい、何事じゃ?」

 

 

 

「ーー虎杖を幻想の地にカチコミに行かせる」

 

 

 

…ーーカーーッ…!コヤツまでソレか!めんどくさい…!!

 

 

 

「ナナミンを連れ戻す方法が俺しかやれないなら、俺がやる……なんて、言ってくれたからな……連れ戻す、とまではいかないが、安否確認だけでも取りたい」

 

 

「お前らの巡る呪いとやらの『循環』、調べさせて貰うぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーてな感じで、俺が寝てる間にもこねぇが色々やってくれて…なんか白昼夢見てるみてぇだけど、ナナミンを探しに来たんだ」

 

 

 

「……ふむ」

 

 

 

虎杖くんがここへ来れた理由や、私がこの世界で得た知識を大まかに交換しあえた。

これで虎杖くんが何時この世界との繋がりを失って帰還しようが、五条さんにこの事は伝わる。

 

 

 

「もこねぇが言うには、宿儺関連だから気にするなって」

 

 

 

「…………」

 

 

 

妹紅さんのご友人は、恐らく妖怪と呼ばれているものですね…まさか既にこちら側に移住していたとは……。

 

 

いや…?違うのか?妖怪は殆どがこの世界で暮らしている、その理由は人間の心を餌として…彼ら彼女らも生きる為にこの世界に…。

 

 

 

「……」

 

 

 

ならばなぜ現代社会で妖怪が溢れていない?人間の数で言えば現代の方が圧倒的に多い。

 

 

現代社会では生きていけない、何かしらの理由があると考えた方がいいか。…だが、これは妖怪と幻想郷の謎と問題だ……本当に宿儺に関連した事象だとは思えない、妹紅先生が嘘をついている?何の為に?

 

 

 

「虎杖くん、帰る方法に目処はついていますか?」

 

 

 

「あ…いや、それはまだ…」

 

 

 

…本当に安否確認だけ、という訳ですね。

 

虎杖くんに触れようとしても、陽炎のように手が通り抜けるだけ……此方からの干渉は不可、虎杖くんからも声だけの様。

 

 

 

「っ、そうだ…ナナミンはどうやってこの…変な場所に?」

 

 

 

「…未登録の呪霊、それがこの世界で言う妖怪という存在でした、相手方の術式効果かは分かりませんが……影に飲まれ、ここへ」

 

 

 

「見た目は金髪、赤い目をして、赤いリボンを付けたゴシック服の少女です、五条さんにいち早く報告と祓除を…ーー」

 

 

 

その情報を聞いた虎杖が、思わず口に手を当てる。

 

交代に戸惑り、宿儺の生得領域内で見えた微かな記憶を頼りに紐づける。

殆ど真っ黒のヘドロの様な状態でしか見えていなかったが、消える寸前…アイツの身体が見えた。特徴も一致している。

 

 

……何より、宿儺の事で焦り過ぎて思い出せていなかったけど…。

 

 

 

「………ーーもしかしたら、既に宿儺が祓った後かもしんない、しかもソイツと俺、出会った事あるかも」

 

 

 

「何ですって?」

 

 

 

「確か、こんな森の中で…その見た目をした奴に襲われて、殺された」

 

 

 

「……妹紅さんが心配していた不調の事ですか、その後は?」

 

 

 

「そのまま目が覚めただけで、特に…いやでも、俺を襲った奴がこっちに渡って来てる…?」

 

 

 

「「………」」

 

 

 

謎が余りにも多すぎる、虎杖くんが何故この世界との繋がりを持って、この様に会話を行えるのか。

そして彼の話が本当ならば、虎杖くんは誰の手も借りずにこの幻想郷へと渡ってこれたという事にもなるし、殺された事と辻褄が合わない。

 

 

名の通り、ここが幻覚…幻想の類いだと仮定しても、実態を持つ存在、あの少女が現代へと侵入し、被害をもたらしている。

 

 

そして、虎杖くんの謎の部分を知っているかのように、彼を使えば此方へとアクセス出来ると『分かっていた』妹紅先生にも謎が出来る。慧音さんは幻想郷を現代から隔離された絶対的な秘境の楽園とも説明していた。

 

 

つまり、この世界に来る以上にこの世界の事を知る方法は無い。

 

 

それは実感している、この世界に張り巡らされている結界の気配……最早その規模が分からない程の神がかった結界だ。結界術が苦手な事もあり、ほんの少しの情報すら得れていない。

 

 

 

「…出る事も入る事も……出来ない、秘境…」

 

 

 

ーーならば、ここの住人は?そもそも、幻想郷を管理している者が居なければ、成り立っていない…。

 

 

 

………しまった、事態に流され過ぎた。

 

 

 

恐らく黒幕は、現代と幻想郷のどちらともを行き来できる能力を持っている。虎杖くんがここへ来れているのにも、あの少女が現代へと転移してるのも、この幻想郷を管理しているものが関わっている可能性は高い。

 

 

 

〜クソッ…誰が何処まで、誰と誰とが繋がっている…!?

 

 

 

「虎杖くん、聞いて下さい…何が何でも五条さん…」

 

 

 

「に…ーー」

 

 

 

沈めていた顔をあげれば、既に彼の姿は無かった。

 

 

 

「ッっ…クソッタレ…」

 

 

 

不味い、想定よりも事態は急を要している……管理者が行き来できているという事は、天元様の空性結界が通用していないという事…!

 

楽観が過ぎたっ!呪術師側は既に何十手も遅れている状況にある、ただひたすらに策略に踊らされる駒でしか無くなっていた…!!

 

 

 

『望みはやはり帰りたいだとは思う、それも普段ならすぐ叶えられた事なんだが、今は少し事情があってな…』

 

 

 

…彼女と、話をつけよう。

 

 

 

 

「上白沢さんに今すぐにでも…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お兄さん」

 

 

 

 

キモの冷える様な、冷たい…冷たい声。

 

 

命を狙っている、捕食者の声。

 

 

 

 

「ーーっ」

 

 

 

 

「久しぶり♡」

 

 

 

 

「…はぁ…2度と、貴方には会いたくありませんでしたよ…」

 

 

 

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