不老不死の呪いは巡る   作:カピバラバラ

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お前にまで届け 不死の煙

 

 

 

時は遡り。

 

 

 

虎杖悠仁、爆誕の時きたれり。

 

 

 

「香織、おやすみ」

 

 

「うん、おやすみ仁さん…」

 

 

「……」

 

 

私は今、暖かな家庭と同時に地獄を脳内へと叩き付けられている。御祝いに来ただけの筈が、今最も死を実感しそうだ。

 

 

領域展延を脳に施していなければ、余りの酷すぎる絵面に脳ミソを1万回は破壊されていた事だろう。

 

 

「妹紅さんはお酒で寝ちゃったみたいだから、起こしたら帰すね」

 

 

「分かったよ、今晩から悠仁を交代し合って面倒を見るんだったけど…今日は大丈夫なのかい?」

 

 

「うん、ありがと…大丈夫だから今日はゆっくり寝ておいて」

 

 

「…それじゃ」

 

 

そして扉を閉める前に、幼子の虎杖を抱えながらハグをして、オキトキシンハグと言われる効果を毎晩試しているのか、30秒以上かけてハグをし合ってい…ーー。

 

 

ガンッ!!!

 

 

「……」

 

 

落ち着け、私。

 

 

領域展延を解くな、解けば一瞬にして脳ミソは肉塊になる。耐えろ、アイツの領域展開が終わるまで耐えるんだ。

 

 

「それじゃ、本当におやすみ、仁さん」

 

 

「あぁ、おやすみ香織」

 

 

ハグの最後には、お互い既に慣れたものなのであろうおやすみのキッスを…ーーー

 

 

ガンッガンッガンッガンッ!!!!!!

 

 

「……?今何か物音が……」

 

 

「あ〜…大丈夫大丈夫!気にしないで?ほら引っ込んだ引っ込んだ!私以外の女の介抱なんてさせたくないし!」

 

 

「…ふふっ、そうだね……」

 

 

その後にまた少しの間スキンシップを重ねて、香織in羂索が妹紅の居るリビングにもどる。

 

 

「……何してるの、妹紅」

 

 

「反転回してる」

 

 

「君には必要無いだろ…それとなんでそんな血塗れなの?」

 

 

「聞くな、それと虎杖だかせろ」

 

 

「はいはい、よちよち…眠ってるからゆっくりね?」

 

 

「…あぁ」

 

 

渡される虎杖を優しく抱き抱えた。

 

 

私の両腕に、小さくて温かい命が存在している。

 

 

ぁう…と小さく寝言を言う虎杖のほっぺたは、モチモチとしていて…。

 

 

「……」

 

 

「可愛いでしょ」

 

 

「…すまん、羂索…お前一旦顔見せないでくれ」

 

 

「なんで!?」

 

 

「連想するからだよ……っ!…クソ……この子今からでもうちの子にならないかな…」

 

 

「君の子になったとして、結局は寿命の差で泣くだろ?今まで含めたら何度泣いてんのさ」

 

 

「……数えられん」

 

 

「どうなるか分かってるじゃないか、ほら、もう返す!悠仁はうちの子だもんね〜」

 

 

「……」

 

 

可愛らしいお母さんが、小さなわが子のほっぺたをつんつんしてるだけなのに……どうしてこんなにも邪悪に見えるんだろうな、原因一目瞭然だけど。

 

 

「さて、計画について、だったね…本当はね、二千年の暇つぶしなんて君に興味を持ってもらう為の建前なのは謝っとくね」

 

 

「…ぁ゛?」

 

 

「ふふっ…大丈夫だよ妹紅、君にとって二千年は瞬きだ、永遠にも等しい命を持つ君が年数に拘る必要は無い」

 

 

「……」

 

 

「まずは妹紅、君……今の呪術界のこと、何も知らないだろう?」

 

 

「……そうだな」

 

 

羂索から聞かせてもらうまで『呪術師』の三大名家とかも一切知らなかったし、マジで今の私は世間に疎い。

 

 

「う〜ん……私が一から教えても良いんだけどね、君の暇つぶしの期間が18年ほど縮んじゃうし…そろそろその真っ白な髪の毛を一般社会で隠す方法も知らなきゃいけないしね」

 

 

「つまり全部現場で学んでこいって事か、面白そうだな、それ」

 

 

「そう、まっ…気に入って貰えたなら良かった…計画に関わる重要な事だけ先に言っておくとね…天元、覚えてる?」

 

 

「あぁ、あの婆さんがどうした?」

 

 

「アイツ、まだ生きてるんだよね」

 

 

「……はぁ?」

 

 

「擬似的な不死の術式で、今は星漿体っていう身代わりで生きながらえている」

 

 

「……」

 

 

「私は強欲だ、だから望むものをどっちとも手に入れたい……天元を使って私がやりたいのはね、妹紅…ーー」

 

 

 

 

「君を、もう一人にはさせない、そして私は私が見たい世界を見るんだ」

 

 

 

 

「君の悲願、蓬莱山輝夜を…この世界に引きずり下ろす」

 

 

 

 

「その後は……全てが終わったその後は…永遠の時間の中で、君は退屈なんて言葉が愛しくなるくらい…」

 

 

 

 

「面白い人生になると思うよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は、正直アイツのことを舐めていた。変わらないな〜気持ち悪くなったな〜位しか感想が出なかった毎日とは打って変わって…なんというか、驚かされたよ。

 

 

けれど…アイツは、羂索は………私には出せない人生の『輝き』で私の炎以上に私の心を焼いた。

 

 

承諾してしまったんだ、馬鹿げた計画に、人の善意を貪り、人間性を失い、ただ己の欲望でしかない願いを……。

 

 

…あんな真っ直ぐに、叶えてやる、だなんて。

 

 

そうして私は1級術師という肩書きを羂索に貰って、呪術高専東京校へ来たんだが…。

 

 

 

「よぉ!もこせん!」

 

 

「もこせん言うなもこせんって」

 

 

「今日飯行かねー?昼どうせ暇っしょ」

 

 

「いや、仕事がだな…」

 

 

「アンタに任せられる仕事の種類はこっちで把握してんの、もう終わってんでしょ?付き合ってよもこせん」

 

 

「はぁ…分かったよこのガキ…」

 

 

私はそこまで頭が回る方じゃないから、一応羂索の言う通りにこの五条悟って奴と顔合わせしといてってお願いに応えただけなんだがな、びっくりするほど気に入られた。

 

 

……初日に不味ったんだよなぁ…。

 

 

『アンタが俺らの教師〜?』

 

 

『コラコラ悟、冗談はやめてあげなよ…可愛いお嬢さん、迷子になってここに迷い込んで来てしまったんだね、帰り道は分かるかな?』

 

 

『……』

 

 

舐め腐ってやがった。

 

 

『なんてったって、俺ら最強だか…ーーグハァッ!?』

 

 

『…っ!悟…術式を解くなんて油断が過ぎる…ーーガハッ…!』

 

 

『はーいもこせーん私降参でーす…クズ2人に巻き込まないで下さーい』

 

 

領域展開も展延も使えないのに最強だかなんだかニヤニヤしてたし、宿儺の事を軽く思い出しながらヤクザキックを見舞ってやったらな……なんか…懐かれて……何でだ…?

 

 

「…なぁ〜……羂索〜…これも計画の内でいいのか…?いいんだよな?もう私暇つぶししかしてないぞ……いやそれが本目的だけども…」

 

 

まだ仕事は辞めてない、社長引き継ぎの先は長いよ……スケジュールがキツキツ過ぎるのも困るな……高専と会社の通勤、飛べば一瞬だけどそんなのバレたら高専クビになるし…。

 

 

「まぁ…いいか、暇な時間が無くなるのはいい事だしな…この忙しさもいつか退屈になる、てかなってる…」

 

 

「あ〜?なんか言ったーー?てかもこせーーーん!早く来いよ!!」

 

 

「分かってるって!!!」

 

 

階下の五条に声を返す、アイツはそりゃもうデカいクソガキだから相手すんのも大変なんだよなぁ。

 

 

まぁ……あの姿は…どことなく、輝夜に似てるかも、しれない。

 

 

 

 

「……」

 

 

 

「……はぁ…」

 

 

 

「もこせーーーーーん???」

 

 

「次に妹紅先生って呼ばなかったら腹キックな」

 

 

「はぁぁぁ!??!?」

 

 

 

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