不老不死の呪いは巡る   作:カピバラバラ

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月の記憶は儚く

ーーー吉野凪宅

 

 

 

 

僕と母さんだけの家に、ある日変な人間が紛れ込んできた。

 

 

 

夕食も、母さんだけとの時間だった筈なのに…。

 

 

 

「……」

 

 

 

「ほら魔理沙ちゃん、納豆も食べなきゃ」

 

 

 

「な、納豆だけは…納豆だけは止めてくれ、知り合いの所で痛い目見てるんだ…」

 

 

 

「あらそうなの?んー…ご飯に合わせてもダメ?」

 

 

 

「もっと無理になるって!!?」

 

 

 

「そっかぁ」

 

 

 

「……………」

 

 

 

ーー霧雨魔理沙。

 

 

幻想郷と呼ばれる異界の地から訪れた異邦人、ファンタジーもファンタジーで彼女の言葉を信じる方が馬鹿で、信じない方が正しい存在。

 

ただ…今の僕には、現実だと思えてしまう。真人さんという『例外』を経験した以上彼女の事も否定できない。

 

 

…信じた母さんは馬鹿な方なのかって?

 

 

 

「魔理沙さん、残りの滞在期間は?」

 

 

 

「ん?え〜っと…後2日位かな」

 

 

 

「期限が来たらちゃんと帰って下さい」

 

 

 

「おう!何時までもお世話になる訳には行かねぇからな!」

 

 

 

違う、母さんは僕みたいな考え方で生きていない。魔理沙さんが困っていたから助けた、ただそれだけの選択だ。善意を行使出来る人間は少ないし、母さんの行動を真似できる人間なんてそうそういない。

 

 

僕が規定したい、そうあって欲しい世界に母さんは居ない。

 

 

 

「順平~…そう寂しい事言わないでよ、魔理沙ちゃんもウチに慣れたもんでしょ?」

 

 

 

「あいや…すまんな凪さん、多分期限以上の滞在はできないと思う」

 

 

 

「あらそうなの?」

 

 

 

初めて事情を聞かされた時はすぐに追い出そうとした、魔理沙さんがどんな人物であるかの確証が取れない内は母さんの身に危険があるかもしらない。

 

あの映画館で呪術というものを知るまでは外人が嘘をついて家に転がり込んできたのだと。

 

 

 

「……」

 

 

 

ーーピンポーン。

 

 

 

「…?こんな時間に誰かしら」

 

 

 

「僕が出るよ」

 

 

 

現実というものは常に『正しさ』を提示している。

その社会における集団へ取るべき行動を常に規定し、真理と真実は掲げられてきた。

 

 

でも現実にそんなものは無い。自ら提示したものだとしても、リアルでは無いものなんだ。僕も、誰もがそこにあるはずの正しさにたどり着けない。

 

 

この世界で時間を巻き戻す事より、死者を甦らせることより、魔法を…呪術を使う事より非現実で不可能な事は何かと問われれば……僕は…。

 

 

 

世界平和(互いの信頼)って吐き捨てるだろう。

 

 

 

相互理解は出来ない、苦しみは共有出来ない、善悪を平定する事は出来ない。それでも人は何かを成す為に生きる。

母さんは、その何かを成せる人間だ。だから魔理沙さんを僕も受け入れる、きっとそれが…真理では無いリアルに満ちたものだとしても。

 

 

僕は、母さんの善性を信じているから。

 

 

 

 

「こんばんは」

 

 

 

(…葬式帰りみたいな服だな)

 

 

 

「…こんばんは、何方でしょうか?それと…ウチに何か用ですか」

 

 

 

「夕時にごめんなさい、貴方の家を見た時に風水の凶が見て取れて……占い師兼風水師をしている西行寺と申します」

 

 

 

胡散臭いとか言うレベルじゃない人が来たな…!?

 

 

 

「あ、そうですか…でも家にはそんな悪いことも起きてないんで遠慮しておきますねそれでは…ーー」

 

 

 

「あらあら…信じてもらえないご様子、それじゃあ、私の仕事道具だけ見て行ってくださいな」

 

 

 

「……」

 

 

 

もう扉閉めようかな、ずいぶんと小綺麗で桜の匂いがする人だけど、その分多くの人の騙して私腹を肥やして…ーー。

 

 

 

「こちらを見て下さい」

 

 

 

……小さな籠?

 

 

 

「…!!!」

 

 

 

「こちら、空の籠にはなっていますが…私が長年溜めた気が篭っています、開ければひとたび貴方の家の風水は良くなることでしょう」

 

 

 

「待っ…ーー」

 

 

 

「それ~」

 

 

 

クソッ!!こいつ…!

 

 

呪霊を持ち運んで来た!空の籠…まさか何も知らないまま呪霊を飼っていたのか!?不味い家の中に入ってしまう、呪霊って物理的な障害物は貫通出来たんだっけな……真人さんに聞いておけば良かった。

 

 

 

……。

 

 

 

いや、いい。真人さんに教えて貰った呪力…それを試してみる時だ。焦っちゃダメだ、こんな小さな呪霊に力は無い…一般人には見えないから、バレないように…!

 

 

 

「うふふ、あらあら……」

 

 

 

「これで風水が良くなるなんて信じられません、それと一応警察に不審者として通報するので今の内に逃げておいた方がいいですよ」

 

 

 

「貴方」

 

 

 

目の前の女が人差し指をそっと突き出して、吉野順平の目元に突き合わせる。

 

 

 

「……?」

 

 

 

「今、目で追ったわね?」

 

 

 

「……ッ!不味ッ…ーー」

 

 

 

「悠仁ちゃん、アタリよ」

 

 

 

喪服の女の後ろから、気配も無くヌルりと手が伸びる。

 

 

家に侵入しようとしていたハエのような見た目をした呪霊がその手に握りつぶされて、吉野順平の目の前で跡形もなく祓われていった。

 

 

背後から出てきたのは、特徴的な服を身にまとい…呪術高専の校章を身に付ける男。

 

 

 

(あの金色の奴…真人さんが言っていた、呪術高専の…!)

 

 

 

「吉野順平」

 

 

 

「少し、話を聞かせてもらうぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー幻想郷対策本部

 

 

 

「どう思いますか?妹紅さん」

 

 

 

虎杖の戦闘記録を報告する為、一時帰宅した伊地知から手渡された書類の内に記載されてあった名前。

 

それが葬儀屋、西行寺幽々子。

 

代々呪術師……いや、『退魔師』として活動してきた西行家のご令嬢であり、魂魄を苗字とする熟練の退魔師が常に従者として仕えている、戸籍に登録されている情報とも齟齬は無い。

 

 

 

「……ふむ、葬儀屋の情報に不審な点は無いと言えば嘘になる」

 

 

 

「どの部分ですか?」

 

 

 

「あいや、伊地知にゃ分からん…というか私以外分かりようがないから別にいい」

 

 

 

「そうですか…」

 

 

 

う〜ん、気にはなるんだが、1000年前位の事になるし。

 

 

 

「一応アポは取ってきてある、執拗に疑う必要も無い」

 

 

 

「分かりました、虎杖君にも以後現地協力者として出現した特級呪霊の祓除に当たってもらうと連絡しておきます」

 

 

 

「ついでに五条にも特級呪霊の件伝えとけ、前出会った富士山頭を救った奴とは別だろうが……徒党を組むには最低限の知能が必要だ、その点を満たしてる奴がまた現れたってな」

 

 

 

「了解です」

 

 

 

さて…ここ最近幻想郷勢力の動きが無い、あれだけ大規模な術の発動後なのだから当たり前だと言えば当たり前だが…。

 

 

『何もしない』という可能性はあの化け猫と烏天狗が否定している。

 

 

霖之助とも交渉は済ませた、結局アイツも幻想郷勢力の末端に過ぎないのか本目的は知らせられてなかったようだが、幻想郷側が余裕を見せている間に動くだけ動いておこう。

 

 

まず第一に私が羂索が協力している幻想郷を敵対視するのは、博麗霊夢の存在が大きい。確実に計画の成就の邪魔をしてくるであろうアイツに対抗できる手段は今の所無い。

 

 

羂索の動きも最近読めないでいる……そも、何故幻想郷と手を組んだのかが分からない、幻想郷から協力を求める理由は幾らでも思い付くが…羂索がそれを受け入れる理由は何なんだ?

 

 

ーーってのを私なりに思考して研究してみた、いや〜流石は元月の頭脳、賢者と言われた私のず…の、う……ーーん…?

 

 

 

「……」

 

 

 

「……んー?」

 

 

 

何だっけか、最近記憶があやふやになってきてんだよな。

 

 

 

「なぁ、伊地知…ぁ、いや…」

 

 

 

「…?どうかいたしましたか?」

 

 

 

「……」

 

 

 

「妹紅さん?」

 

 

 

「ごめんな、何でもない…1日お疲れ様、後の業務は私に任せておけ」

 

 

 

「あ、はい」

 

 

 

「……」

 

 

 

「さて、1人になったし…月見酒でもするか」

 

 

 

そうだ、えっと…色々研究してた甲斐があって、羂索の計画に必要な物から逆算してやりたい事が分かった。

 

 

羂索が要求しているのは、竹取物語に出てくる五大家の子孫、その殺害と遺体の保管、そして悠仁の成長と……ーー幻想郷勢力の『義体』の技能の盗用だ。

 

 

かれこれ何千年も互いに研究職をしてるもんだから、あの義体を使いたいってのが透けて見える。羂索がやりたいのは……多分、人間の妖怪化だ。

 

 

計画のためにも私は輝夜に会うために全て滅ぼし……。

 

 

 

「……」

 

 

 

「違う違う、えっと…」

 

 

 

輝夜を、えっと…輝夜に会いたいんだよな?私って。

 

 

……あれ?

 

 

 

「……輝夜、輝夜…?輝夜……ーーって、どんな顔してたっけか」

 

 

 

……。

 

 

 

「まぁいっか、取り敢えず輝夜にさえ会えればいいんだから」

 

 

 

思考を整えろ、会えればいい。それだけ覚えて数千年生きてきた。

 

 

 

「…悠仁が……今行ってる場所で羂索の切り札が暴れてる所……参戦せずに裏方で子孫の殺害……」

 

 

 

「違う、あ〜…なんだっけか、最初博麗霊夢の事について考えてたんだよな?」

 

 

 

「……」

 

 

 

「……あー…」

 

 

 

最近、博麗霊夢と出会ってからずっと…脳が沸騰しているかのように考えが纏まらない。

 

 

…なんだ、私の何が変わった?アイツに変えられたのか?なんの干渉を受けた?

 

 

…………。

 

 

射命丸と日下部の活動報告もしなきゃだし……最近経費で落としづらいゲーム品ばっか買いやがってアイツ…。それと、お燐ちゃんと早苗の交流戦参加の資料をまとめて……。

 

 

 

……。

 

 

 

「うん」

 

 

 

仕事、しなきゃな。

 

 

 

取り敢えず、仕事を終わらせて次羂索に会う時、全部命令して貰おう……ちょいとばかし、考えるの疲れちった。

 

 

 

「…後、姉妹校交流戦に悠仁の生存報告も」

 

 

 

「……」

 

 

 

「輝夜……」

 

 

 

「殺したい理由…なんだっけか」

 

 

 

欠けている。何かが落ちていっている。

 

 

 

無くなっているはずなのに、取り戻している気がする。

 

 

 

仕事仕事で疲れたか、やる事が多くて疲弊しているのか、でも忘れちゃいけないものはある筈なのに、忘れていた事を忘れていた。

 

 

 

「……どうして…………」

 

 

 

「輝夜は、私の前から…」

 

 

 

「……」

 

 

 

「私は月の頭脳で、賢者…じゃなくて、月の姫でもなくて…藤原?藤原妹紅か、そうだ私は…ーー」

 

 

 

 

 

『月は好き?』

 

 

 

 

「好きだ、それは輝夜が私にくれた名前だから」

 

 

 

 

『私よりも?』

 

 

 

 

「そんな意地悪な事言わないでくれ、私は月よりもお前が好きだ」

 

 

 

 

『私が貴方よりも月が好きだと言ったら?』

 

 

 

 

「お前が私の炎に耐えられなくなるだけだ、永遠を燃やし尽くしてやる」

 

 

 

 

『ふ〜ん?嘘よ嘘、私も愛しているわ、私だけが貴方を愛せるの、この世界で、宇宙で、私一人だけが貴方を包み込んであげられる』

 

 

 

『私も、思い出した事があるの』

 

 

 

 

『ねぇ、妹紅…』

 

 

 

 

『思い出して』

 

 

 

 

「……」

 

 

 

 

「あぁ」

 

 

 

 

「そうだ、あの時、あの約束を…ーー」

 

 

 

「やっほー!妹紅〜!お疲れサマンサー」

 

 

 

「あ、お疲れさん…五条も任務帰りか?」

 

 

 

「そう!しかもこの後また任務〜!あははは!はぁ」

 

 

 

「……お互い色々疲れてんな、帰り何時くらいになる?夜飲んでから寝ないか?」

 

 

 

「賛成〜…多分2時位になるから宜しく」

 

 

 

「はいはい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー神奈川地下水道

 

 

 

 

「やっほー夏油〜ここら辺まで来てたんだね!」

 

 

 

「うん、少し用事があってね…霍青娥、真人の腕前はどうだい?」

 

 

 

「素晴らしい伸びですわ、先刻領域展開まで習得致しました」

 

 

 

「ふむ…!良いね、やっぱり君に真人を預けて良かった」

 

 

 

「いえ、全て真人さんの独学によるものですので、私は傍で見守っていただけですよ」

 

 

 

真人の領域展開は、結局仙女…霍青娥に効力を発揮する事は無かった。この世界に来て尚本体を別途に隠している彼女の用意周到さにはため息が出る。

 

 

しかし領域展開の試運転になった事は事実、あの狭い空間内で霍青娥のみを対象として小さな結界を張ることにも成功した。

 

 

 

「ん〜…?なんか夏油、焦ってる?」

 

 

 

「どうしてそう思うの?」

 

 

 

「ほら、魂見れば色々分かるからさ」

 

 

 

「…やれやれ、君に隠し事は出来ないねぇ…その通り、色々あって青娥に力を借りに来たんだ」

 

 

 

「あら…私に?」

 

 

 

「『義体』作成の張本人、君にしかできないことがある……ついてきてくれるかい?」

 

 

 

「代価は高くつくけれど、その様子だと中々搾り取れそうですね」

 

 

 

「はは、手加減宜しく頼むよ」

 

 

 

手を取り合って浮かび上がり、飛んでいく方向は東京都心部。残された真人は青娥から『壊し方』の提案を実行する為にも……。

 

 

 

「あーあ行っちゃった」

 

 

 

「…ふふ、まぁ……」

 

 

 

「コレ、残してくれたのならいっか」

 

 

 

最大限の悪意を持って、虎杖悠仁にその悪性を振りまこうと動き始める。彼の背後には数百体の動く死体、キョンシーが備えられており、それぞれ別の配管を通って外へと出始めていく。

 

 

「お前が役割として生きるのなら…」

 

 

 

「それを、できるだけ穢してみようか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『何してんだお前ら』

 

 

 

『あん?誰だテメェ』

 

 

 

『お前が足蹴にしてる奴を迎えに来た』

 

 

 

ーー霧雨魔理沙、幻想郷の魔法使い。

 

 

 

魔理沙さんと初めて顔を合わせたのは、僕がまた高校からの帰りで虐められていた時だった。

幻想郷という異世界からウチへ墜落した彼女は、母さんからのお願いで帰りが遅い僕を迎えに来たんだ。

 

 

 

『はぁっ!?何で…くそ、お前ら負けてんじゃねぇ!!』

 

 

『弱っちい奴らが群れてみっともない…女1人に全員負けやがって、恥ずかしくないのか?』

 

 

 

『クッソ…!!』

 

 

 

魔法使いだというのだから、不思議な力でアイツらと戦うのかと思ったら普通に柔道で全員を投げ飛ばし、ボコボコに…。

 

 

 

『お前も情けない奴だな、殴られたなら反撃くらいしろ』

 

 

 

『……』

 

 

 

『地底の奴らみたいなジメッとした目をするもんじゃない、ほら…立てるか?』

 

 

 

情けない……って言っても黙って殴られるしかない立場なんだよ、仕方がないだろ…。

 

 

 

『…なるほどな、凪さんが心配する理由も分かるぜ…』

 

 

 

『そう諦めた顔をするな』

 

 

 

『逃げても泣いてもいい、でも諦めんな』

 

 

 

『諦めた瞬間、お前の道は無くなるぞ?』

 

 

 

……。

 

 

 

言葉を話す、その軽快さの裏に見える『何か』がその時見えた。

 

 

 

『まぁ後悔すんなって話だよ、ウジウジ悩めるのも…歳が変わらねぇ内にって事』

 

 

 

『という訳で宜しくな!1週間世話になる霧雨魔理沙だ、暫くしたら帰るからそれまでキノコを沢山プレゼントしてやろう!』

 

 

 

その選択によって受け入れてしまった後悔を、そしてその後悔を踏み越えて前へ進んだ者のみが望める未来。

 

 

 

それは……僕に与えられる筈の無いものだ。

 

 

 

 

「お母さん……キノコ似合わないっすね!」

 

 

 

「キノコが似合わないって…w な、何よ…!アハハハ!」

 

 

 

「そして私は花よりも団子が似合う女!お母さんお酒もう一杯!」

 

 

 

「あんだけバカスカ食ってりゃ分かるっての…あ~あ、私のキノコ(毒)も全部食いやがって、鉄の胃袋かなんかか?」

 

 

 

「……」

 

 

 

(どうしてこうなった…)

 

 

 

詰みを悟った玄関先で、あの緊迫した場を切り崩したのは霧雨魔理沙だった。

 

 

 

『おーい順平~随分と遅い……って、どちら様だ?』

 

 

 

『こんばんはお嬢さん、私達は順平ちゃんのお友達…と言った所かしら、今日は2人で晩御飯を食べようとしていたのだけれど、買いすぎちゃったからおそそわけに来たの』

 

 

 

『友達…順平に!?マジか、友達が出来たならちゃんと教えてくれよ~…凪さ~ん!凪さん!順平の友達だってさ!』

 

 

 

『ちょっ、魔理沙さん…!!』

 

 

 

『何だってーー!?順平の友達ーーーー~!!?』

 

 

 

『……』

 

 

 

その後、食卓に並べられた豪華絢爛なツマミ達と持ち込まれた高いお酒により懐柔されてしまった。

 

 

順平が否と叫べば2人は追い出されて終わりの状況ではあるが……既に此方が呪霊を認識出来ている事が暴かれており、そして目的は恐らく真人の事だろう。ここで2人を跳ね除けても『次』がある、なら手早く受け入れた方が良い。

 

 

 

「へぇー?霧雨はロンドンからの留学生なのね、ロンドンって飯美味いの?」

 

 

 

「あ〜…まぁ、程々って所だ…日本と比べるとダメダメだけどな」

 

 

 

「それでいて迷子中、凪さんに拾われるってスゲ〜運命よな…」

 

 

 

「平謝り千回しても足りねぇくらいだぜ…」

 

 

 

「ねぇ、魔理沙ちゃん!お酒飲める~?」

 

 

 

「こっちじゃ違法だけどバリバリイけるぜ!!」

 

 

 

異界からの来訪者、呪術師、怪しい占い師と呪霊と深い関わりを持つ一般人…引き合わされた運命は必然であり、薄氷の上に成り立っている状況でもある。

 

 

 

だが今は……ーー。

 

 

 

「お酒強!?魔理沙ちゃんそんなに飲めたの…!?」

 

 

 

「凪さんも中々飲めるじゃないか!ほれほれ、人の酒だしもう一杯」

 

 

 

「買ってきて貰ったやつなら気ままに飲めるのよね〜…妖夢ちゃ…ゲホンゲホン、使用人様々なのよ〜」

 

 

 

 

(……本当にどうしてこうなった!!)

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