不老不死の呪いは巡る   作:カピバラバラ

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速さ=強さ

 

「コの戦力は、俺に勝てる算段での事カ?」

 

 

 

「そうだな、俺と真希で抑えきれる、後は後輩に任せてるから」

 

 

 

「そうか、ナら…」

 

 

 

「それが計算違いだと教えてやろう」

 

 

 

メカ丸に接近した3人は、狙撃の体勢でいた彼を急襲し右腕を破壊している、重要な兵装が右腕に秘められていたのか見た事もない貴金属と武器の破片が床に散らばっていた。

 

更に目を見張るのは、彼の周囲を漂っている小さなドローン。

 

 

 

(なんなのよアレ!)

 

 

 

(俺も知らない)

 

 

 

耳打ちで文句を言う釘崎、それもその筈で最初の奇襲はほぼ完璧に決まった筈だった。

真希の隠密奇襲、パンダが取り押さえ釘崎が術式を発動する、そんな風に組んでいた予定を最後の最後であのドローンに覆された。

 

 

簪の発動、一瞬の術式発動までのタイムラグに飛び出してきたあの3機のドローンは、模様の口当たりから水鉄砲を発射、水鉄砲というには強すぎる勢いで顔面に直撃させられて好きを作られる事に。

 

 

……ただ、あのドローン…兵器というには少々…。

 

 

 

(……ガキの玩具みてぇな見た目だな)

 

 

 

テカテカと緑と青に塗装された丸型の本体に、耳らしき箇所をプロペラの様にして飛んでいる。メカ丸の人物像とはかけ離れた見た目をしていた。

ともかく、あのドローンに殺傷能力が無いことは確認済み、発射された水にも毒は含まれていなかった、ならば呪力強化で押し切れる範疇。

 

 

ジリジリと間合いを詰める3人、東堂と直哉を除いた中では京都側のトップクラスの戦力だ、油断はしない。

 

 

バギャッ、と地面を踏み込み、破壊された右腕側へと飛び込んで大薙刀を振るう真希、同時にパンダが挟撃、釘崎が額へ釘の狙いを定めた。

 

 

ーーメカ丸が薙刀を半身ズラして避け、ドローンに呼び掛ける。

 

 

 

「1号」

 

 

「「「……!!?」」」

 

 

 

ドローンの一機が分解、バラバラになった破片が動き出し、失った右腕の代わりに『腕』が形成された。

 

 

 

「どんなテクノロージよ!!ふざけんの!?」

 

 

 

「ふざケテなどいない、これが俺の新しい武装だ…ーーハァッ!!」

 

 

 

「うぉぉ!!?あっぶね!!」

 

 

 

超高圧で発射される水はウォーターカッターのようなものになり、真希は上体を逸して避けたが…後ろの木は美しく断ち切られる。

 

メカ丸自体も大分法外な技術の塊だが、先程の腕修復といいあのドローンは現代社会、呪術世界の最新鋭技術を用いたとしても再現出来ないオーバーテクノロジーすぎる代物。

 

 

 

「アルティメットキャノンッ!!」

 

 

 

「もう片方の腕からも出んのね!?なんかアニメみたいだな」

 

 

 

「呑気なこと言ってる場合じゃねーだろパンダ!どうすんだアレ!」

 

 

 

「どうするって……どうにかするしかないだろ」

 

 

 

「それもそうだな……!!」

 

 

 

避けても避けても飽和攻撃&波状攻撃の連続は、それを続ける3人に着実に疲労を与えていく。

 

その中でも最初にボロが出たのは…釘崎だ。

 

 

 

「っ」

 

 

 

身体に段々と生傷が増える、一番当たってはいけないあのレーザー砲は避けれているが、ウォーターカッターはどうしても避けきれていない様子で、それを見たメカ丸が釘崎への攻撃密度を集める。

 

高圧の水をスプリンクラーの様に発射しながら回転するドローン、それを2機とも釘崎へとけしかけた。

 

 

 

「死ぬってばオイ!てか私ばっか狙ってんじゃないわよ!」

 

 

 

「チームの穴はオマエだからナ」

 

 

 

「あっそ!正解で不正解だけど!!」

 

 

 

飛び避ける瞬間、胸元から数本の釘が落下する。

 

空中を漂う釘を狙い、攻撃は避けながら視線は真っ直ぐに、狙いを定め、呪力を込める。腕を引き……空中で回転して殴り抜けるように釘を打つ。

 

カンッ!とこ気味いい金属音がなると、物の見事にドローン2機に突き刺さった。

 

 

 

「っしゃ、ドンピシャ……ーーえ!??」

 

 

 

「どうした釘崎!」

 

 

 

「え、ぁ、ま、まぁ気にしないで!」

 

 

 

「了解、パンダ!やれ!」

 

 

 

「応ッ、ゴリラモード(お姉ちゃん)!」

 

 

 

「チッ、呪骸ガ…!」

 

 

 

動きが鈍ったドローンを掻い潜り、メカ丸へと大きな手を叩き込むパンダ。

 

『ドラミングビート』は、当たりさえすれなガードの上から振動でダメージを貫通させる技、メカ丸が腕を構え防御をした時点で勝ちを確信した。

 

 

 

《ーー避けた方がいいよ》

 

 

 

「……!ワカッた」

 

 

 

ガードの姿勢から唐突に後方へと浮き上がる……いや、吹き飛ぶメカ丸、様子をよく見てみると、足の裏からジェット噴射が放たれていた。

 

 

 

「マジか」

 

 

 

「ナにか、仕掛けがあるな?」

 

 

 

「1回当たってくれれば分かるぞ」

 

 

 

「ハッ、ワラわせる」

 

 

 

巨躯となったパンダとメカ丸の接近戦は誰にも介入出来そうに無い、それに釘崎が貫いたドローンも自己修復が始まっており、真希が対応に回らされている。

 

 

無理な姿勢で釘を打ち込んだ為、釘崎は今すぐに動けはしないのを真希がカバーしている形だ、チームの穴、己の実力が追いついていないのは彼女本人が自覚していた。

 

 

だが、彼女だけしか知り得ない秘密もある。

 

 

 

(……)

 

 

 

(ドローンにぶち込んだ時の手応え……アレは間違いない、共鳴りを発動出来る状態だ)

 

 

 

(()()()()()()()()()()()()()()()()、どういう事よ…全く、でも、それなら…)

 

 

 

「試してみるか…!」

 

 

 

「『共鳴り』ッ!!」

 

 

 

ーー呪力が迸る。

 

 

同時に、2機のドローン……そして…。

 

 

 

「ナッ!?」

 

 

 

「おお!?」

 

 

 

メカ丸の右腕、ドローンが変形していた箇所が爆裂した。

 

 

 

「オイッ、大丈夫か!!…クソっ、降参する、この身体は好きにしろッ!」

 

 

 

「お、おう…いきなりだな」

 

 

 

メカ丸の目から光が失われ、接続が切られた状態であることが分かる。しかし3人には困惑しか産まれていない、難敵だとは思っていたが武装の一部を破壊されただけであの慌てよう。

 

 

更には降参のオマケ付き、パンダにも真希にも、そして術式を発動した釘崎にも何が何だか分かっていない様子。

 

 

一応術式の呪力が遠く遠く、本当に遠く離れた所で炸裂したのが微かに釘崎に伝わってきたが…。

 

 

 

「…あのドローン、本当に何がどうなってんのよ、2人はなんか知ってる?」

 

 

 

「なんか、噂とはちょっと違うな〜ってぐらい、俺アイツのこと人間嫌いの術師って聞いてたんだが」

 

 

 

「あぁ、あの感じ……ーークソ後味悪ぃが、勝ちは勝ちだ、作戦通り次行くぞ!」

 

 

 

メカ丸と戦っていたのは切り立った崖、見晴らしのいいこの場所からだと空を飛んでいる西宮と真衣がよく見える。

 

虎杖の加勢に向かおうとするも、先程まで空を飛んでいた2人が真っ逆さまに空から落ちる様子を見て、虎杖が勝った事を悟った。

 

 

 

「ーーハハ!やるな虎杖、流石恵があんな事を言うだけある」

 

 

 

「真希含めて呪力無し、武器無しのステゴロでやり合ったら虎杖が勝つって奴ね、京都校含めてってのは伊達じゃないな」

 

 

 

「ウチの筋肉バカを舐めてもらっちゃ困るわよ、初めて戦ってる所見たらもっとドン引きすると思うわ」

 

 

「せやね、所謂当て馬にしたいんやろなぁ、妹紅も」

 

 

 

「妹紅?もこせんがどうし……」

 

 

 

その場の3人の、誰でも無い声。

 

 

真希にとっては苦しみと憎しみの象徴。

 

 

ーー禪院直哉の声だ。

 

 

 

「「「……ーー」」」

 

 

 

「遅すぎ」

 

 

 

薙刀を振るう前に意識がブラックアウトする、傍に来た事も何もかも理解しきるより前に、3人は地に伏せ落ちる。

 

 

 

「反応まで1秒掛かってる時点で遅い、なんで妹紅はこんな雑魚のセンセやってんのか理解に苦しむわぁ」

 

 

 

ーー0.24秒、直哉が3人を気絶させるのに用いた時間。

 

 

 

「真希ちゃんも何も変わっとらんな、本家出た時からそのまんま……しょーもな、寄る時間も無駄やった、はよあのクソ猫見つけんと」

 

 

 

「……その前に、アイツやな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、どうしますかねぇ」

 

 

 

「あれが虎杖悠仁、両陣営にとってのアキレス腱にして運命の分かれ道……」

 

 

 

「どう見たって普通の男の子なんですけど、一体どうしたものか」

 

 

 

殺しておけるのなら殺したい、でも生かせておけるのなら無益な殺生はしたくない、大義等に燃える心は無く、私の手に握られているのは選択の機会だけ。

 

 

 

(そもそも、現世と幻想郷がぶつかり合う事自体は、そこまで重要な意味が籠っていない)

 

 

 

幻想郷の皆も一枚岩では無い、それぞれ求めているものが違い過ぎる所もありますし……特にウチの所は勝つか負けるか、よりも『その後』の立ち位置、権威を欲してますし。

 

幻想郷が負けた後でも、勝ったあとでも、我々天狗達は人間の下で生きる事を選ばないだろう、長年積み重なった誇りとプライドはそれこそ一種の歴史にも匹敵する。

 

他の所はよく分かりませんが、取り敢えず私の目的は高い地位に居座り続けることなんですよね……。

 

 

 

「あっちの地獄の黒猫はどうしてる事やら、旧地獄の主は何考えてるか分かりませんし放置が得策……ですかね」

 

 

 

正直私はどっちに転がっても新聞屋をやれれば良いんですよ、でもお偉いさん達は……せっかく提示された幻想郷の救済方法を、賢者の手に全てが握られている事が気に食わず、表では賛成の立場をとっていても裏では裏切る気満々。

 

賢者側も弱小、中級の天狗が被害にあっても無言を貫き『犠牲を容認する』姿勢は変わらない、自分の利益だけを求める2陣営同士が腹の探り合いをしているこの状況で……。

 

 

 

「な〜んで私なんでしょうか、もう日下部さんの下で毎日新聞作ってもいいかなって思い始めて来た所なんですけど」

 

 

 

『分かるぜその気持ち、上からも下からも挟まれる微妙な立ち位置、それに応えられるレベルには謎に対応できる力量、色々持ってると苦労するよなー……まぁお前も俺みたいに適当に適度にやろうぜ?』

 

 

 

「ハッ…!イマジナリー日下部さんが慰めてくれる……!彼が絶対に言わなそうなセリフと顔で!」

 

 

 

『失礼だなおい』

 

 

 

「よよよ…私の気疲れもここまで来ましたか、現世に来てはや1ヶ月、義体を維持する為に日下部さんから呪力をちまちま盗んできた生活もそろそろ終わりなんでしょうか…」

 

 

 

『お前そんな事してたの??』

 

 

 

はは、はぁ…さて、お遊びも程々にして…。

 

 

 

「やはり殺しますか、あんなもの(虎杖悠仁)に頼って諸共破滅するなんてごめんですからね」

 

 

 

心の中、選択の天秤が揺れ動いた。虎杖悠仁自体に何かある訳では無く、彼の身体に眠る呪物が全ての要因。

 

ならば殺して奪って、そうですね……私の身体にでも埋め込んで、天狗が実権を握らせて頂きましょう。

 

 

高々一人間如きに種の存続を握られている事自体腹立たしい、憎いまである、舐めてはいないが人間は人間、妖怪の餌でしかない者が制御出来るのなら……。

 

 

 

「私達でも使えるでしょう?だから賢者は虎杖悠仁に対しての絶対不干渉を命じている」

 

 

 

「寄越しなさい、その呪物…私達天狗が管理してあげる」

 

 

 

認識もさせず、殺す。

 

 

 

「幻想風靡、楽園に流れる風が草木をなびかせ、人々の背中を叩く」

 

 

 

1秒、風が身体にまとわりつく。

 

 

 

「無双風神、転じて我が身は風なれば」

 

 

 

2秒、風が身体となる。

 

 

 

「一瞬一殺、見逃すことなかーー」

 

 

 

3秒、少年の首は身体と分かれ……。

 

 

 

 

 

 

「ごめんちゃい、俺男女平等派なんよね♡」

 

 

 

 

ーー分かれる前の2.54秒。

 

 

 

亜音速を越え、マッハのスピード。

 

 

 

禪院直哉が1秒同士の隙間、0.99秒間を蹂躙する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー同時刻。

 

 

高専結界、崩壊。

 

 

 

「お使いお使いっと、宿儺の指と、受胎九相図〜……これかな?」

 

 

 

「ん゛ー!゛んんぅ゛゛ーー!!」

 

 

 

「こっちの箱?そう、ありがと」

 

 

 

「ん゛ィ゚……ァ…」

 

 

 

真人の指が護衛に触れる、赤子の叫びのような声を上げ醜い死骸へと変わり果てる。

 

ここは高専の保管庫、天元の結界によって辿り着く事は有り得ないとされている絶対秘匿の要塞。

 

だが今その牙城は破られた。

 

 

 

「ん〜…後はー…」

 

 

 

同時に対抗戦現場にも『2名』、この事態を悟らせない為に囮役として出陣している。

 

そこまでして手に入れたのは宿儺の指と受胎九相図3つ、割に合わないんじゃないかと真人は当初疑問に思っていたが……。

 

 

 

「……ふーん?」

 

 

 

何やら大切そうに、重要そうに保管されてある『何か』

 

 

手に触れれば分かる、それが目的のモノだと。

 

 

 

「第二次世界大戦だっけ、歴史の勉強なんてしたくないんだけど……夏油が使った奴、回収しないとね」

 

 

 

「『六道輪廻図』」

 

 

 

「何処かの誰かが残した、神の遺物(特級呪物)

 

 

 

 

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