不老不死の呪いは巡る   作:カピバラバラ

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さようならは届かない 其ノ弐

 

「河童!河童!!起きろ!」

 

 

 

何だ!?何が起こった!夏油の仕業か?遠隔、しかもメカ丸の装甲を無視しての直接攻撃だと……!?

 

 

有り得ない、頭部座席には何時でも領域展開に対して対策をうてるように微弱な結界を張ってある、幾ら奴でも手段は呪霊、結界の反応を乗り越えられるはずは無い。

 

 

 

「うぐぁ…ぅ……イッタぁ…」

 

 

 

ボタボタと流れ出る血は片手では抑えきれず、指の間を通り抜けて、重く、質量の乗った重黒い血が身体を支える彼の手にのしかかっていく。

 

泣き出しそうな感情を抑える、人としての機能なんて失われて久しいと思っていたのに、こんな局面で少し友人として付き合っただけの存在が傷つく事に心が壊れそうになる。

 

だから今ここで冷静さを失ってはいけないのだ。

 

 

 

「それで済むかッ!!原始的な方法しかないが…今はこれで抑えておけ!」

 

 

 

「包帯…ーーそれに、こっちは薬物か、盟友も、っ、悪いもの隠してるもんだ…」

 

 

 

「言ってる場合か早く飲め、劇物だから二錠のみにとどめろ、それとその傷は……()()()()?」

 

 

 

「魂だよ、分けた……っ断片、その内の一つが潰された」

 

 

 

「ッ、クソッ!まさかあの攻撃でまだ生きて…!?」

 

 

 

「………少し、ほんの少し違和感はあったかな…ーーアイツを仕留めたと思った時の爆発、やけに大きくなかったかい?盟友」

 

 

 

「……」

 

 

 

分からない、だが河童はあの空間にあったロボの全てを支配していた、『水を操る程度の能力』として紹介されたそれは、傀儡に採用するにあたり余りにも大きな利点となる。

 

動力を必要としないからだ、河童が能力を使えば起動も駆動も一手で終わる、そしてその分武装を詰めた。

 

その河童があの爆発に違和感を持ったというのなら、奴はまだ生きている可能性がある。

 

 

…無為転変は幻想郷の存在にとって、互いに弱点を全て晒した上での殴り合いになる、互いの一挙手一投足が致命傷だ、原因を突き止めなければ……。

 

 

 

「残りの十年五ヶ月六日…ーー殺せなければ、死ぬ」

 

 

 

やはり帳は降ろされている、連絡は出来ない、真人は生きている…七年と地下空間を使わされた上でまだ生きている。

 

ダムの水と河童の能力を使った攻撃は出来ない、これ以上河童の身体に負担を掛ける訳にはいかなくなった。

 

 

 

「……河童、能力を解け」

 

 

 

「…!!でも、それは…」

 

 

 

「お前の身体を休めるのが先だ、真人が生きているにしろ、アレは確実に致命傷、すぐ動けるはずは無い…それと、地下空間から全ての傀儡を撤退させる、恐らく奴はこっちの傀儡の仕組みに気付いた」

 

 

 

「……了解!」

 

 

 

薬物の効果により血流が著しく悪くなり、痛みは消え片目からの出血も止まる、上から包帯を巻き、それでも真っ赤に染まる包帯の上から更に与幸吉が包帯を巻く。

 

 

能力が解除された事により、河童が動かしていたダムの水がメカ丸の身体から滑り落ち、その質量爆弾が夏油と妹紅を襲った。

 

 

 

「うぉっ!?ブベッ……………は〜っクションッ!!…ったく、水遊びは苦手だ!夏でも冷え込んじゃうし…」

 

 

 

「分かってないなぁ…川とか行った時どうすんの、あの別荘の立地最高なんだよ?温泉あり、川あり、紅葉あり、川の水質日本トップレベルだし」

 

 

 

「川は釣りで十分なんだが??泳ぐとか入るとかの方が理解出来ん」

 

 

 

「偏屈め」

 

 

 

「うっさい、というかもう少し真面目にしてろよ…私が来たの、別にお前らの後始末しに来た訳じゃ無いんだからさ」

 

 

 

「それもそうだね、与幸吉とあの河童の技術は確かに目を張るものがある、本当に万が一があるかもしれない」

 

 

 

「私も一手だけ、加勢してあげよう」

 

 

 

「……いや、これで終わっちゃうかもね」

 

 

 

 

 

夏油(羂索)の手が伸びる、呪霊を格納している空間から、ある一体を引きづり出そうとしていた。

 

 

ーー幻想郷襲来の当日、彼は二体の妖怪と契約を結ぶ事に成功している、無茶苦茶に破壊され、見捨てられ、幻想郷から居場所を失った亡霊と、強者であった過去を忘れ去られ、ただ弱者として幻想郷にて犠牲となった妖怪。

 

 

常闇の妖怪(ルーミア)の手助けにより現世へ渡れるも、数時間で消える命、二人の目的は羂索の手によって訪れる混沌の世界。

 

 

一人は崩壊した後の世界にて、元々の力を取り戻す為に。

 

 

そして、もう一人は己が信奉するただ一人の僧侶を裏切った、この世界そのものを破壊する為に。

 

 

 

『妖力を自由に発揮できる開放的な未来、争いの無い美しい妖怪世界、排除される者が居ないこの世の楽園』

 

 

 

それが、楽園にて封印された女から託された言葉。

 

 

二体の内一体、船幽霊の妖怪である村紗水蜜…ーー彼女の主戦場は……その肩書き通り、水場だ。

 

 

 

 

 

「ガボッ…!?」

 

 

 

ーー突如、二人が座する頭部が水で満たされ、鼻から、口から空気を奪い去った。

 

 

 

「ムグッ…(これ…ーーこの水、実体が無い!能力で操作が出来ない…!)

 

 

 

「(なんだ、誰の仕業だ…新しく出したアイツの仕業か?)」

 

 

 

「水難事故にご注意を、って所かな」

 

 

 

機体の隅々から実体を得ない水が溢れ出し、各部分の機能をどんどんシャットダウンさせていく。

溢れる水には呪力が篭っており、緻密で繊細な箇所はその負荷に耐えきれていない。

 

 

 

「が……グッ……」

 

 

 

「っ!め゛ぃぅぅッ!!」

 

 

 

(呪詛か…!しかも独自性があり過ぎてこちらから解呪が出来ない……ーーこれ程の差が、これが特級、これが過去最悪の呪詛師…)

 

 

 

薄れゆく意識、身体を蝕む呪詛は人間を殺すことに特化した悪魔の様な呪い、人間である限り易々と解けるものでは無かった。

 

 

激痛は元の身体の時よりも酷い痛みを、絶望は更に心を蝕み、苦しみと苦悩が全身を飲み込んでいく。

 

 

 

「相性が悪かったね、物理では君達の装甲を突破できる者は限られるけど……呪いはそうはいかない」

 

 

 

「足掻いてみせなよ?ここで終わったら興ざめだ」

 

 

 

(……ーーダ、メか…)

 

 

 

心に死の影が伸びる、呪詛の影響か……深層意識、その深海から闇へと引きづり込んでくる死の手が見えて……。

 

 

水面を見上げれば、光が差し込んできた。

 

 

 

「……もう駄目そうかな?その機体も壊れかけてきてるし、少し残念だ」

 

 

 

(……)

 

 

 

光を、求める………ーー届かない。

 

 

手を伸ばす、届かない。

 

 

 

(…………)

 

 

 

(…三輪)

 

 

 

そうやって、諦めて瞼を閉じようとする。

 

 

瞳が閉じた、閉じてしまった。

 

 

……。

 

 

……ーーが。

 

 

 

「盟友ッ!!」

 

 

 

「起きろ!憑り殺れるぞ!!」

 

 

 

瞳を閉じた位で届かない光ならば、深海に届かない光であるならば、ここまで俺は手を伸ばして(足掻いて)いない。

 

 

 

「かはッ……ーーはァっ、はァっ…!」

 

 

 

「ごめん、簡易領域一本分勝手に使って…」

 

 

 

「いい、大丈夫だ助かった…ーーチャージ二年!稼働準備!」

 

 

 

「あいさっさ!」

 

 

 

「持ち直したか、簡易領域かな?やるね」

 

 

 

呪いの水で押し潰れそうな機体を無理やり動かし、機体の全身へと呪力を廻らせる。

 

 

メカ丸に取り付けられた特殊装甲は河童が持ち込んだ幻想郷産の特殊合金、そう易々と突破は出来ないと向こうから宣言してくれたのなら活かさない手は無い。

 

 

俺の勝ち札は、結局の所この究極特殊装甲武装究極メカ丸だけ、壊されれば負けだが相手は壊す選択肢を諦めているならば…!

 

 

ーー残り年数、八年五ヶ月六日!!活かしきってみせる!!!

 

 

 

「ーー撃てッ!!」

 

 

 

七筋の虹色の極光がメカ丸の掌から放たれる、二年分の呪力の圧縮、それは凄まじい威力を保持しながら相手へと追従する、当たれば山一つを吹き飛ばせる出力だ。

 

『穿血』よりも早く、『蒼』よりも高火力、手数は十種影法術よりも多い、今彼の技術の集大成は呪術の枠組みを越えようとしていた。

 

 

 

「……やれやれ」

 

 

 

(当たれ!直撃すれば奴でも……)

 

 

 

「本当に私達を相手する想定だったのなら、最初から全てを使い切る算段で来なくちゃ」

 

 

 

「ーー弾かれッ…」

 

 

 

夏油の目の前に鏡のような呪霊が現れ、ビームを全てメカ丸へと反射し返す。

 

 

山を消し飛ばす威力がそのまま、装甲へとぶつかった、衝撃で吹き飛ばされた機体は後方の山へと倒れ込み山を瓦解させていった。

 

 

装甲は焼き落ち、メカ丸の右腕が破損する。その他にも関節部への負担は大きく今すぐに姿勢は立ち直せないが…。

 

 

ーーお生憎様、向こう側はそれ以上の追撃をするつもりは無い様だ。

 

 

 

「ぐぅぅぅぅううッ!!!」

 

 

 

「痛ったぁい!?ちょ、盟友!あれ概念系だ!!」

 

 

 

「威力…関係無し……か…!」

 

 

 

「盟友もお薬いるかい!?」

 

 

 

「もう服用してる!!」

 

 

 

「え!?」

 

 

 

転げ回りながらも三点着地を取り、ケーブルを断絶しながらも何とか姿勢を立て直す。

 

特殊装甲を転位、破損した部位を無理やり補修、補強する事で先程の攻撃のダメージは無視できる。

 

何をビビる事がある、わざわざ遠距離攻撃をせずとも…この機体で直接踏み潰す事が奴にとっては有効打の筈。

 

 

 

「ここで引く事こそが…負け筋…」

 

 

 

「不退転の覚悟決めな、盟友」

 

 

 

「……」

 

 

 

『本当に私達を相手する想定だったのなら、最初から全てを使い切る算段で来なくちゃ』

 

 

そう、残りの年数を全て、それも一度に使い切りながらメカ丸を動かせば……ーー恐らく、勝てる。

 

 

今のまま戦うよりは数倍勝率も上がる、だがそれには…。

 

 

 

「………………」

 

 

 

「ん?盟友?」

 

 

 

「そう、だな……」

 

 

 

勝てる、俺だけで。

 

 

今ここで殺せば必ずあの女(妹紅)は動いてしまう、そうなれば一瞬だ、傷は治され機体は破壊されて、お終い。

 

 

 

「ーー緊急離脱装置、作動」

 

 

 

「……!!!」

 

 

 

…これでいい、これが、いい。

 

 

……ーーあぁ、それでいい。

 

 

 

「……」

 

 

 

「……なに?」

 

 

 

何も起こらない?

 

 

 

「そうすると思って先に自動音声識別で機能をシャットダウンさせるように仕組んでおいたよーだ」

 

 

 

「…チッ、勝手に手を加えるなと毎回言ってるだろ…!!」

 

 

 

「巨大ロボには秘密が多ければ多い程良いのさ!それに盟友にはここまでする義理が無いって思ってるかもだけど、私にはあるんだ、それも自己満足のね」

 

 

 

「……」

 

 

 

「義理ってものは、受けたら返すものさ……でも、私にはもう返す相手がいない、……そうだ、私の故郷の話したっけ?」

 

 

 

「いや、全く…来てからは研究と製作詰めだっただろ」

 

 

 

「ふふーん、なら生きて帰った後に酒でもつまみながら話そうか!不退転は盟友だけじゃないぜ?」

 

 

 

 

「私も、もう帰る場所は無いんだ」

 

 

 

 

「………」

 

 

 

「盟友の名前は?」

 

 

 

「ーー与幸吉」

 

 

 

「いい名前だ、私は河城にとり!以後宜しくな、盟友…元い幸吉!」

 

 

 

声に応え、自己修復がある程度完了したメカ丸が駆動を始めた、山を背もたれに起き上がり、叫び声を上げる。

 

 

目の前の敵を打ち倒さんと、腕を振り上げ…狙いを定め、振り下ろし、ダムの淵に立つ二人を押し潰すが……。

 

 

大振りが過ぎたのか、手応えは一人分、夏油はマンタの様な呪霊に乗る事で空を飛び、攻撃を避けた様で、上空で余裕の表情を見せていた。

 

 

 

「お前は避けもしないか」

 

 

 

「肉餅になっても私は大丈夫だからな、気にせず暴れていいぞ〜」

 

 

 

「…黙れ、茶化すな」

 

 

 

「ハイハイ」

 

 

 

掌を上空を舞う夏油へと定める、メカ丸が信号を放つとダムの底からはブロックの傀儡が大量に飛び出し、マンタの呪霊へ襲いかかる。

 

真下から襲いかかるブロックを何度かは避けるも、そう上手く全てを躱すことは出来ない、旋回を繰り返している間に、ブロックが回り込んで前からぶつかりに来た。

 

 

 

「おっと…ーー!」

 

 

 

「躱し切れるとでも?」

 

 

 

「やるねぇ」

 

 

 

すんでのところで横ばいになり、呪霊とブロックの距離が数センチほどになった時、ブロックの表面がスライドし鉄釘が呪霊を肉片へと変えた。

 

落下のサポートに使おうとする呪霊も……ーー。

 

 

 

「盟友!」

 

 

 

「ああ!チャージ一年!」

 

 

 

今度は威力を絞らない!ただ拡散し、面を制圧する!過去の情報と今の奴の火傷跡から見るに反転は使えないと考えていい、空を飛ぶにも呪霊が必要、このまま空から逃がさず手持ちを消耗させ続ける!!

 

 

 

「……ビームにミサイル、質量攻撃と飽きが来ないね、よくここまで用意したものだ」

 

 

 

呪霊の格納空間からイカ型の呪霊が大量に射出され、放たれるミサイルと鉄釘を撃ち落とす。

 

 

壮絶な撃ち合いの中、漏れて当たりかける互いの弾は互いに対応するも、装甲により手放しで良いメカ丸と弾力を持つ呪霊での対応を余儀なくされる夏油ではどうしても差がつく。

 

 

相殺され花火の様に空中で爆散するミサイルは戦場を彩るが、その美しさに言葉を述べている暇は無い。

 

風情もなく掌から照射される極太のビームはその景色一切を薙ぎ払うと、何か反射条件に反したのか先程の鏡の呪霊は出現せず、大きな羅生門の見た目をした呪霊がビームを全身で防いだ。

 

 

語るまでもなく優勢、これまでに無い手応えに唇を噛み締める。

 

 

 

(勝てるッッ!!)

 

 

 

「にとり!能力は使えるか!!」

 

 

 

「多少の無茶位押し通せる!起動するよ、私の傑作!スーパースコープ3D!!」

 

 

 

メカ丸の装甲が分離し、プロペラをはためかせながらダムの底へと沈んでいく。

 

 

何が狙いなのか怪訝に思う夏油は……ーーその技術の結晶を目にした。

 

 

ダムの水が段々と渦巻くと、その激流……水の螺旋そのものが『宙に浮き始めた』剥がれた装甲と装甲の間、装甲を掛橋として水が繋がっているのだ。

 

 

 

「素晴らしいね…!ここまで妖怪の力と現代技術を融合させれるのは素直に賞賛しておこうか…!!」

 

 

 

繋がった水は回転しながら圧縮されていき、極細のウォーターカッターとなる。ダムの水五割が圧縮され、河城にとりの能力により自由自在、ワイヤートラップが飛んでくるかの如き動きを見せる。

 

工場のソレとは比較にならない水圧は、術式を経由しない呪力攻撃の中で最大最高ともいえるだろう。

 

 

 

「だけど天与呪縛が故、経験不足だね」

 

 

 

「ッ」

 

 

 

「アイツ曲芸師かなんかかい!?」

 

 

 

自分自身の身体に呪霊を射出、出鱈目な起動で無理矢理襲いかかるウォーターカッターを避ける夏油。

 

ほんの数ミリが届かず、にとりの命を削った攻撃は無傷に終わる。

 

 

ーーだが、無駄では無い。

 

 

 

(本人にはダメージ無し、だがこれで体勢を完全に奪った…!夏油は落下中、ここで仕留める!!)

 

 

 

「チャージ六年ッ!動けッ!メカ丸ゥゥッッ!!」

 

 

 

「Gaaaaaーーーー!!!」

 

 

 

ーー集束する極光。

 

 

与幸吉の十七年五ヶ月六日、彼がこれまで生きてきた全てがここに在る。

 

 

補助の装甲を剥がした事で、動けなくなったメカ丸はその身体の随所から負荷による異音と高熱を発され、機体としての限界を超えた動きを……ーー機械に存在する筈のない『気合い』で押し通す。

 

 

 

アルティメットキャノンッ!!

 

 

 

「ーーこれは、無理か」

 

 

 

ーー展開される羅生門の様な呪霊ごと、空に赤のラインが貫かれる。

 

 

雲を焼き、空を割り、全てを焼き貫いて……そして、焼き尽くしたその後には…何も、空に残っていない。

 

 

 

「…くぅっ…ぅあ…ォォォォオオオッ!!」

 

 

 

「勝った!!帰る、帰るんだ皆の元にッ!!!」

 

 

 

「ーーまだだ!盟友、真下!!

 

 

 

「っ!?」

 

 

 

「……ーーバアッ!」

 

 

 

メカ丸の足元の土が隆起し、モグラがひょこりと出てくると素早く変化、憎たらしい男の顔が猿の頭に付いた見た目になる。

 

 

 

「……真人…!」

 

 

 

「数分振り〜元気してた?」

 

 

 

「お生憎様な、お前はそうでも無さそうだが」

 

 

 

「そっちだって片方のガキ、死にかけてんじゃない?」

 

 

 

「……」

 

 

 

現れた真人は見るも無惨な姿をしていて、グチャグチャに飛び散った脳髄をさらけ出しながら悪辣に微笑み、身体の大半を欠損しながらも両腕を羽根へと変化させて飛んでいる。

 

 

真人の言う通り、能力の使用によってにとりは息も絶え絶えの状態、薬で抑制するのにも限度があるし、反動もある。

蓄えた年数は殆ど使い切った、動かすのでやっとの呪力しか残っていない。

 

 

互いに最悪の状態、最悪のコンディション……ーー真人は血の塊を吐き出す、与幸吉を明確な『敵』として認識するその瞳には、油断と慢心が抜け……愉悦のみが残っていた。

 

 

 

「危なかった!オモチャ呼ばわりして悪かった、立派な兵器だったよ」

 

 

 

「……どうやって」

 

 

 

「視界から消える時間を稼ぐ為に自爆させに来たブロックあるでしょ?一つパクっておいたんだ〜」

 

 

 

「ーー自分から爆発させたのか、お前なら破片でも逃げ切ればいい」

 

 

 

「ご名答〜……さぁ!最終ラウンドといこうか!!」

 

 

 

 

ーー簡易領域のストック、残り三本。

 

 

領域展開可能回数、残り一回。

 

 

 

 

 

「シン・陰流ッ!簡易領域!!」

 

 

 

「領域展開!自閉円頓裹ァッ!!」

 

 

 

 

 

彼の全てに決着をつけるその瞬間が、訪れる。

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