マジでめちゃくちゃ誤字多くてごめんなさい……!!
本当に誤字脱字報告感謝の極みです!
「星漿体の護衛、それと同時に私に届いた長期任務」
机の上の資料、適当な理由で作られた私の地方での任務。それは任務というには余りにも大雑把で、特異現象の調査、その原因の特定だという。
教師になって3ヶ月半程度、夏になりかけの日差しが毎日教室を照らすようになっている時期で……それ位にもなれば、こんな特殊な案件と共に出された私への依頼の目的だって分かる。
「…羂索だな」
考えれる事としては、やはりアイツ……顔を見せに行って聞き出しても良いが……。
『教師になった後の事?あはは!ナイナイなんも無いよ!…強いて言うなら本当に好きにしていい、妹紅、君は選択が出来る』
『聞いてたよ、何を捨てて何を選ぶか、君にも問おう……妹紅、これから私が用意した運命を目にして、何を選ぶのか』
『まっ!退屈しのぎだと思ってくれていいよ、二千年の暇つぶしっていう嘘をついた礼だと思ってもらっていい』
『……』
『なぁ……羂索…』
『お前、私に盗聴器付けてたのか?』
『ん、ん〜……はは…』
まぁ身体が香織さんのものだからぶん殴るのは辞めておいたけど。
学校での発言をアイツの家で言われた時の鳥肌の立ち様といえば……それはもう凄まじいものだった。キショいを超えて1回焼き殺しても良いんじゃないかと思う位に。
「夜蛾さん」
「……」
「夜蛾さん?……あ、やっぱり心配ですか…あの2人の事」
「…ああ」
「星漿体の護衛任務でしたね……」
まぁ、羂索が焚き付けたんだ、好きにさせてもらうぞ。
「私も行きますよ、という訳で許可取ってきます」
「……」
「え゛っ…」
「それじゃ失礼します」
「ま、まて!待つんだ妹紅ォーー!?」
■
「…まさに引きこもりだな」
輝夜ほどでは無いが、ジメジメと陰気でクソデカい場所に引き篭ってるもんだ。
途中途中妙な結界もあったけど、確かあれは天元のババアが小さい女の子だった時に結界術の練習として教えてた基礎構築の発展版だったから難なく来れた、覚えててくれたんだな、あんな雑な授業。
「天元?てんげーん!来たぞ〜!」
「……」
広い空間だからか、妙に声だけが空っぽの空間に反響している。
「燃やすよ〜どうなっても私は責任取らんからな〜!」
「さーん、にー」
「分かった分かった!返事をするから落ち着いておくれ、妹紅先生」
羂索と同じで、顔を見せずに声を掛ける奴らだなと思って声が聞こえた方を振り返ってみる。
「素直に顔見せれば良いんだよったく…なぁ天元ーーブフゥッ!?」
と、そこには顔面半分親指が佇んでいた。
「お、お前ら……なんで、そ、揃いも揃って私を笑い殺しに来てるんだ……??」
「…笑わないでおくれ、こんな嗄れたババアの事は」
「い、いやw…でもお前……は、半分おや、親指……www…羂索と…あはは!全く、ふぅ…似てるんだから」
「アイツに似てるとかいう最大限の侮辱辞めてくれないかい、流石の私でも先生に手が出る」
「すまんすまん」
「……で、来た目的はあれかな?星漿体の事だよね」
「あぁ、それと久しぶりにお前の顔も見たかったし、不死の術式とやらも1度見てみたかったってだけだ……本当に擬似的な不死だったか、見た所……寿命の死が、無い…か?異形化の原因はそれか」
「分かられてしまいますか……貴方の前だと私の全てが未熟に見えますよ、妹紅先生」
うむ、良かった…もしや化け物になってるんじゃないかと思って心配していたが、普通に天元だ。校舎ごと焼き殺す必要も無さそうで良かった。
「結界術、上手くなったな… 空性結界か、良い出来だ」
「貴方の教え方が良かったんですよ」
「お世辞を言うな、雑だった事は今でも覚えてる」
「ははは……立ち話もなんです、私の結界内へ案内しましょう」
■
天元とは、教え子と教師の関係だった。
いつだったか…天元がちゃんと乙女してた時期位に出会ってな、適当に見せた結界術に興味を示したみたいで…。
『妹紅先生』
なんて呼ばれてしまったからついつい教え込んでしまった。
学び舎を抜け出し、自分の自由な時間を多く削って熱心に私の所へ来るものだから、私の心にも火がついてだな。
「野宿に便利程度ってだけだったんだけどなぁ…」
「貴方の結界術が野宿程度なら、全ての術士は外で寝ることすら出来ないと思いますがね」
案内されてからは……空性結界、心象風景の具現で出してくれたコタツに入って、ぬくぬくと猫を撫でながら思い出を語っていた。
「年季だよ年季、そう悲観すること……同じ事言ってんな、私」
「ははは、私に年季の差を見せれるのは本当、貴方位ですね」
先程から、ずっと本題には入らずに逸れた昔話を繰り返している。
意図的なものを感じ、妹紅は漸く本題を切り出した。
(…そろそろ、話を進めるか)
「まぁ、それでだ天元…許可、出してくれないか」
「……任務は」
「あんなもの無視して構わないさ、どっちかというと羂索が私の動向を把握する為のものだろう、あれに行けばこの特殊任務への参加は不可能だし」
「羂索と関わっている事も包み隠しませんね、本当に、変わらないお方だ」
「ああ」
「……」
コタツと猫を挟んで、二人の間に冷たい沈黙が流れる。
許可を出すだけだ、ここまでの沈黙は要らない筈。
だが天元はその限りでは無い様だった。
「………私は」
「妹紅先生、私は貴方が美しいといった日本を、この世界を守りたい」
「羂索に加担すれば、きっと世界は崩壊する…羂索の策に乗れば、貴方が残したい全てのものが失われる」
「……そうかも、しれないな」
「………」
「何故」
「何故、私ではダメだったのですか…!先生…!!」
それは、羂索と同じく人間的な感性を消失したはずの天元から盛れ出した、人間としての心の叫びだった。
「貴方の悲願は、私にだって理解している!だから…永劫の時間が流れようとも、私はこの世界を守ると決めた、尽くすと決めた」
「『悲願』が帰ってくるまで、『悲願』が愛した世界を…!守ると、言ったのは……先生です」
「何故、それを自らの手で…!!!」
身を乗り出し、異形では無い方の顔を近づけて妹紅にそう問う。
そして…返ってきた返事は、余りにも冷たい声だった。
「輝夜だ」
「…っ」
「輝夜と呼べ、悲願なんかじゃない…アイツは輝夜、月の姫だ」
チリチリと、天元の結界の構築に焼け跡がつけられていく。
「天元……永遠って、知ってるか?お前は永遠を理解しているか?」
「『永遠』が持つ意味を、理解しているか?」
ーー温かい部屋を模していた結界が崩壊する。
塗り替えられ、現れるのは業火の海だ。罪人を、罪業を…呪いを焼き付けて離さない赤い世界。
「…………先生…貴方は……それ程までに…」
「あぁ、私は病気にかかってるんだよ、消えない呪い、病に犯され続けている」
「寝ても醒めても、生きてても死んでても考える事は未来の事だ」
今でも目に見える、暗闇の中で1人の私が。永劫の暗闇、永遠の孤独、永遠の命。
私を殺せるのは輝夜だけ、私の呪いを終わらせれるのは輝夜だけなんだよ。
そして……ーー
「未来の暗闇の中で、輝夜が泣いていた」
「病にかかっているんだ、天元…お前は絶対に治らない病気を持つ病人を目の前にしている、そんな存在に掛ける言葉無いんだよ…ごめんな…」
「……」
「大空の月の中より君来しやひるも光りぬ…夜も光りぬ大空の月だに宿るわが宿に待つ宵過ぎて見えぬ君かな」
「私は、このまま…いつまで待っていたらいいんだろうな、天元」
私は死なない、輝夜も死なない。正確に言えば殺せるなんて事は有り得ない。そんなに世界は都合良く動いたりしない。
だけど、きっと私達は永遠の殺し合いの中で……
『生きる事』を果たすんだ。
永遠の死者が、死に向かう生者となって生まれ変わる。失った生への意義を取り戻し、そして私達は奪われた『生きる事』を取り戻す。
それを『医者』は理解していたんだろう、私の手から輝夜を引き離して隠してしまった。
「輝夜は、アイツは永遠の命を持って…それでいて…」
「『未来を望んだ』」
アイツにはきっかけも何も無い、私の様に燃える想いも呪いも無い。
だが、望んでいたんだよ。未来の景色を。
「ならば…!私は私の価値を示さなければいけない!」
「価値、ですか」
「生きもしない死にもしない、そんな存在が人と同じ様に明日を望んだ!ならばそこに人との違いが何処にある!?お前達人と!何の違いがあるんだ…!?」
ーー後光が現れる。
妹紅の背中、天輪が現れ…獄炎を身に宿し、赤の世界で空を飛ぶ。
伝承の見た目と同じ、【幻想の不死鳥】
その、神の姿。
「輝夜は、人だ、人の真性、人という存在の定義を果たしていた」
「だから私も示すんだよ、アイツに置いてかれない様に、1人にさせられない様に、そしてアイツが1人にならない様に、1人にさせない様に」
「………」
私の介入で羂索の策が破綻しようとも知った事じゃない。
それならば、値しなかった罰として同じ呪いを背負わせるだけ。
この激情も、燃えるような心も……私の永劫の人生のただの一抹として夢幻泡影が如く消え去るだけだ。
永遠とは虚無なんだよ、どれだけの怒りも、どれだけの感情を持ったとしても、それは『永遠の生』によって希釈され、意義を失う。
無限 + 1 は無限だ、無限- 1 は無限だ。足し引きしか行えない人生の中で、無限というものはあらゆる奇跡を希釈する。
「…だから」
風景が一瞬で切り替わって、先程のコタツの中に2人共戻り…妹紅は猫を撫でている。
「行ってくるよ、天元」
「私の取捨選択を、見ていてくれ」
■
「という訳で、途中参加の藤原妹紅だ、宜しく」
「なんで!もこせんまで来てんだよッ!!」
「良いだろ、どうせ懸賞金で高専に帰れないんだから、宜しくリコちゃん…黒井さんを取り戻そう」
「あ、あぁ宜しく頼むぞ…藤原妹紅」
「変わらないですね…妹紅先生…」