深海棲艦・・・突如として現れたそれは瞬く間に人類から自由を奪った・・・・
各国の海上輸送航路は絶たれ、空の道も彼等の放つ航空機により占拠され、小さき国は陸をも浸食されて滅んでゆく・・・・・
そんな絶望的状況に舞い降り、人類を救った存在がいた。
その名は艦娘・・・
艦娘は深海棲艦に対抗できる存在として戦いに身を投じた。人類は艦娘の活躍により一度は危機を脱したかに見えた・・・
しかし時がたつとともに敵は増加の一途を辿り、深海棲艦の発生から50年がたつ頃には艦娘だけでは対処できないまでに増加し、次第に艦娘と人類は再び劣勢に立たされていった・・・
そこで立ち上がったのが彼女たちを指揮する存在、提督達
「俺たちが艦娘を守る」
人間にとって深海棲艦は危険すぎる、艦娘も最初は反対した。しかし提督達は主張を変える事はなかった。
愛しき艦娘を守りたい者、自身の力を振るいたいが為に戦場に身を置く者、祖国を守る為に武器を取る者・・・
皆それぞれ想いはバラバラだったが、唯一戦うと言う想いは同じだった
しかし、中には深海棲艦と和解できるのではないかと考える提督も存在した。
そうすれば互いに傷つかないのだから・・・
これはそんな夢を持つ、一人の提督の物語
艦隊これくしょん ~天城の軌跡~
「もうすぐか」
秋の少し寂しい日に彼、天城蒼真(あまぎそうま)は朝日をあびながら歩いている。蒼真は先日提督になったばかりの青年で、整った顔立ちと引き締まった身体をもち、白い軍服に身を包んでいる。
しかし、ボタンを全開けにして、海軍指定の軍帽もかぶらずに鋭い目つきをして歩いているのだからどうしても不良の様に見えてしまう。
もっとも、時間帯の所為か人通りは無いに等しく、彼の姿を見る者はいない・・・
その後は無言で歩き続け、目的地の岩川基地に到着した。意外に大きな建物と十分な泊地に少し関心を覚えた。元々ここは内陸だったのだが、数々の戦闘により陸地が削り取られてしまい、航空基地だった所を鎮守府に改装したのだ。
しかし建物は立派でも内部は惨劇もいいとこだろう、蒼真がここに配属になったのは前任の提督が解任された為であり、その前任の所行が酷いものだった。轟沈を一切気に留めずに出撃を繰り返し、まともな修理や補給も行わず、利用価値の無いと判断した者は容赦なく解体する。おまけに満足な休みや給金も与えずに理不尽な体罰などもあったときく、そんな地獄だったらしい。
「まあ、俺には関係無い」
そう自分に言い聞かせ、蒼真は基地の門をまたいだ。
蒼真は今、鎮守府であろう建物の正面に立っている。ここに来るまで門から少しだけ歩いたが、出迎えどころか一度も艦娘に会っていない。蒼真はやはりかと思い、少しだけ顔を歪める。前があんなだったのだ、いくら人をかえてもはいそうですかと信用出来るはずも無い。それどころか、入った途端に剣を突きつけられても何らおかしくはない。蒼真は支給された軍刀を左の腰に差してから中に入っていった。
中はしんと静まりかえり、朝だと言うのに薄暗い。司令室を探して五分ほど歩きまわり、ついでに入渠ドック、工廠、食堂、浴場、そしてトイレの場所を確認した。アンモニア臭が強くて鼻をつまみながら用を足したのは良い思い出になるだろう。気を取り直して司令室に向かい、そこの放送用マイクに向かって喋りかける。
「全艦娘に告ぐ、今すぐに司令室に出頭せよ、ただ、来たく無い奴は来なくていい」
「・・・来たか」
五分ほどたった後、指令室には長門、天龍、扶桑、加賀、金剛の五人の艦娘が出頭してきた。
だが、やはり向けられる視線は良い物ではない。不安や怒り、天龍にいたっては殺意すらかもしだしている。しかし蒼真は怯むことなく口を開いた。
「まず自己紹介から済ませよう、俺は天城蒼真、今日からお前達の提督だ。」
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