相模に心をヤバくされる話   作:ネットコミュ症

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karte 3 悪化する予兆

謝りたい‥‥か‥‥‥

 

 

きっと、文化祭や体育祭の件についてなんだろう。

 

 

俺からすれば謝罪を貰う必要性なんてどこにも存在しない

 

 

俺は俺のやり方で文化祭や体育祭を終わらせた

 

 

これは俺なりの考えを持ってそのまま行動しただけなんだ

 

 

いつもの俺なら、謝りたいと言われたあの瞬間、その場で断りを入れていただろう。

 

 

だが、『今回は何故かいつもの俺らしい言葉が出なかった』

 

 

ただただ、なにも言わずに頷いてしまった。

 

 

何故なんだろうか。

 

何故俺はいつもの自分を曲げてしまったんだろうか?

 

何故相模の言葉に頷いてしまったのだろうか?

 

 

‥‥‥‥分かっている。

 

 

 

理由なんて分かりきっている。

 

 

 

『分かりたいんだ。』

 

 

相模南が今、何を考えているのかを

 

 

どのようにして相模南が自ら謝りたい思うくらいにどう変わったのかを

 

 

 

『理解したいと思ってしまっているんだ。』

 

 

そんな傲慢で浅ましい考えを抱いている自分に、再び嫌気がさして仕方なかった。

 

 

 

 

 

 

時間というのは残酷なもので、すぐに放課後となってしまった。

 

約束してしまったものはしょうがない

 

 

 

「ヒッキー、部活行こ?」

 

 

 

「あぁ‥悪い、少し用事あるから遅れる。

先行っててくれ」

 

 

 

「え?用事って何?」

 

 

 

「‥‥別になんだっていいだろ」

 

 

 

「あ、分かった!そう言って帰るつもりなんでしょ!」

 

 

 

「違えよ‥‥とにかく、絶対部活には行くから待ってろ。ステイ!ユイガハマ!」

 

 

「犬扱いやめて!?」

 

 

 

「んー‥‥‥じゃあわかった。

出来るだけ早く来てねヒッキー?」

 

 

「‥‥‥まぁ、‥‥‥おう」

 

 

 

アホらしい会話を由比ヶ浜犬と繰り広げた後、俺は『例の屋上』へと向かった。

 

 

 

 

 

俺が辿り着くと、またもや先客として相模が立っていた。

 

まるで文化祭の時のように、外の景色を眺め誰かを待っていた。

 

 

俺が来た事に気が付くと、彼女はこちらへと振り返り微笑みを見せる

 

 

 

 

「‥‥文化祭の時とは逆だね」

 

 

 

「‥‥‥‥なにもかもな」

 

 

 

 

相模は少し呼吸を入れ直すと、俺の方へ向き直り、しっかり俺の目を見つめた後

相模は俺へと頭を下がる。

 

 

 

 

 

 

「‥‥比企谷、ごめんね‥そして‥『ありがとう』‥文化祭とか‥‥体育祭の時とか‥‥‥」

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥お前が気にする必要は無い‥‥‥それに」

「それでもっ」

 

 

 

 

俺は今更ながら謝罪に対する言い訳を並べようとしたが、相模はそれを遮る

 

 

 

「‥‥気付かせてくれた比企谷に、言いたかった。

 

『ありがとう』と『ごめんなさい』を

‥‥‥比企谷がそれを望んでないのもなんとなく分かる。

 

でも‥ごめん。

 

こんなのは私自身のエゴなのはわかってる。

 

こんな身勝手で、傲慢で、独善的‥‥‥

 

‥‥そうだとしても『比企谷知ってほしかった。』

私が『申し訳ない』と思ってるって事を」

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥」

 

 

 

 

 

俺は相模の言葉に何かしら言い返そうと、何か自分の考えで『今の相模南』を否定しようと考えを巡らせた

 

 

だが、『出来なかった』

 

 

何も、言葉が浮かび上がらない。

 

 

 

 

 

「‥‥‥比企谷の事凄く嫌いだった。

いや‥‥嫌いだと思いたかった‥‥の方が正しいかも」

 

 

 

「なんとなく分かってたんだよ。

文化祭、体育祭、そこで起きた出来事を全部、客観的に照らし合わせれば、そんな事に気付くなんて少し考えれば簡単な事でさ‥‥」

 

 

「それに薄々気が付いていても尚、私は『悲劇のヒロイン』であろうとした。

 

その方がきっと楽しいから、その方がよっぽど『過ごしやすいと思ったから‥‥‥生きやすかったから‥‥』

だから『比企谷の事を嫌いであろうとした』」

 

 

 

「でも‥‥‥‥月日を重ねるに連れて『悲劇のヒロインを演じる自分が嫌いになってきた』

気持ち悪くなってきた‥‥嫌になってきた‥‥

気付かないように、何も知らないフリをして‥観たくないから、理解したくないから、現実に目を向けたくないから‥‥

そんな幼稚な考えでずっと目を背けて、『偽物を演じてる』自分が本当に気持ち悪くてしょうがなかったっ‥‥」

 

 

 

「‥‥‥だから、比企谷と直接‥‥話してみたくなったの‥

比企谷の前だったらきっと‥‥別の自分になれるから‥‥‥」

 

 

 

「‥‥‥‥俺と話してみて‥‥楽になれたか‥?『悲劇のヒロインではない自分を演じれて、少しは楽になれたか?』」

 

 

 

「‥‥‥うん、『比企谷といる時の自分のほうが大好きだって自信持って言える』」

 

 

 

「‥‥‥そうか。」

 

 

 

「‥でもその分、普段の私がより一層嫌いになっちゃったけどね。」

 

 

 

 

‥‥何故なら

 

 

『今の相模南を否定する事は比企谷八幡を否定する事になってしまうだろうから』

 

 

俺の知ってる相模南を殺したのは、恐らく文化祭のあの日、ここで‥‥この場所で俺自身が突き刺した言葉なんだから。

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥だから、ありがとう。

気付かせてくれて」

 

 

 

 

「‥‥‥‥別に、誰のおかげとかじゃないだろ。

俺はただ‥」

 

 

 

「それでも、きっかけをくれたのは比企谷じゃん‥?」

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥」

 

 

 

 

「だから『こんな惨めでどうしようもなかった私を嫌いにさせてくれてありがとう、比企谷。』」

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥変な話だな。嫌いになれたからお礼を言うなんて」

 

 

 

 

「‥‥ふふ‥‥本当にね」

 

 

 

 

本当に、変な話だ。

 

 

自分をめちゃくちゃにされた挙句、周りすら嫌いになってるというのに

 

その上でお礼を言うなんて、イカれてると思われてもしょうがない

 

 

 

 

「‥‥‥ねえ比企谷、部活ってどれくらいに終わるの?」

 

 

「‥‥‥‥いつも下校時刻くらいになったら帰るな‥‥」

 

 

 

「‥‥じゃあさ、‥‥‥その‥‥‥‥待ってるから‥‥よかったら‥‥‥一緒に‥‥‥‥帰‥‥‥らない?」

 

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥良いんじゃ‥‥‥ねえの?」

 

 

 

 

 

‥‥‥きっと、それでも構わないのだろう。

 

 

多分俺は、病に侵されてしまってるんだろうから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「‥‥あ、‥‥」

 

 

「‥‥悪いな、待たせちまって」

 

 

「ううん、勉強してたし。

大丈夫だよ」

 

 

 

待ち合わせ場所はクラスの教室。

 

俺は部活が終わった後、雪ノ下達に悟られないようにここへ向かった。

 

 

 

「‥‥‥‥数学?」

 

 

 

「あ、うん。ちょっとやっとこうかなって」

 

 

 

「でもお前、やってるとこテストの範囲外だったろ。

理系だったかお前?」

 

 

 

「‥‥‥‥‥‥えっと‥‥‥‥」

 

 

 

「‥‥‥?」

 

 

 

「理系科目‥‥比企谷苦手って聞いたから‥‥‥私が予習勉強して教えようかなぁ〜‥‥‥なんて‥‥‥」

 

 

 

「‥‥‥‥っ‥‥‥‥‥」

 

 

 

「ご、ごめん!なんでもない!か、帰ろっか!」

 

 

 

相模は顔を真っ赤にさせ、急いで勉強道具を片付け始める。

 

 

本当に‥‥変な話だよ‥‥

 

 

どうして俺は‥‥‥今のこいつと関わると変なことをしようとしちまうんだ‥‥‥

 

 

 

相模がカバンを持ち、教室から出ようとした時

 

 

俺は小さな声で呟く。

 

 

 

「‥‥期待しとくわ。」

 

 

 

本当に小さな声だ。

 

普段の教室なら、誰にも聞こえないだろう。

 

だが、今ここに居るのは相模と俺だけ

 

 

俺の言葉を邪魔する雑音なんて存在しない。

 

 

相模は少し硬直した後、顔をトマトかよと思うくらい顔を紅く染めながら言う。

 

 

 

「‥‥‥‥が、ッ‥‥‥‥頑張り‥ま、す‥‥」

 

 

「‥‥‥‥‥‥ぉぅ‥‥‥」

 

 

 

俺も、帰ったら勉強しておこう。

 

きっと、必要になってくるだろうからな

 

 




一旦ここまでです。
pixivを中心に活動しているのでハーメルンへの投稿は若干ラグが起きたりしばらく投稿されてなかったりするかもです
そういう時はハーメルンへの投稿自体を忘れてると思います()

マイペースに書いていくので投稿速度が亀並になるかもしれません
気長に待ってくれると嬉しいです

ここまで読んでくださり本当にありがとうございます
次があったら読んでってください
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