相模に心をヤバくされる話 作:ネットコミュ症
今日から高校三年生となる新学期‥‥つまり春休みが終わりを告げた日でもある
陰キャの大多数は長期間休みが明けると鬱になったりもう一日休もうとしたりと疑似的な五月病を発症させる
もちろん俺もどちらかといえばそっち側の人間なはずだったが‥‥‥何故か比較的前向きに登校出来ていたりする
心のどこかで新しいクラスに期待を抱いていたのかもしれない
‥‥‥いや、何を期待してるんだよ
というかこれはアレだ、自分が何組なのかだけ把握しておきたいだけだ
面倒なメンバーになっていたらたまったものじゃないしな
どのようにしてステルスヒッキーを始動させるかも重要‥‥‥
そんな言い訳を誰が聞いたわけでもないのに自分に言い聞かせていると、校門前になってLINEが届く
まあもちろんのこと、その相手は『相模』だ
『何組だった?』
いや速いなアイツ‥‥‥まだ授業開始20分前だぞ‥‥もう着いてたのか?
『いや、まだだ。他に誰がいるんだ?』
『分かんない、ウチの名前しか見てない。』
『なんだそりゃ』
『怖くて見れなかった』
『そうか。』
俺はそれだけ送ったあと、足早に自分のクラスを確認する
確認すると同時に後ろから声をかけられる
そこに居たのは戸塚と戸部だった
「八幡!同じクラスだったよ〜!」
「マジで運命感じるわ〜!!今年もよろしくヒキタニ君〜!」
「‥‥‥おう。よろしく」
戸塚と一緒のクラスみたいだ。
さて、肝心の相模は‥‥‥
そう言って再びクラスメイトの名前を見ようとするが‥
「ほらほら〜!ヒキタニ君も新しい教室行くべ!」
「は?え、ちょm」
俺が何か言う前に何故か戸部に持ってかれてしまった。
結局名簿を詳しく確認出来ないまま教室へ向かうハメになってしまった‥
「僕詳しく名簿見てないんだけど、女子って誰が居るんだっけ?」
「優美子が確かいたっけな〜?」
「他には?」
「あ〜、他はよく見てないな〜」
「逆になぜ三浦しか確認していないんだよ‥
名簿って普通あかさたな順に並ぶもんだろ?
三浦の『み』ってだいぶ後ろの方じゃないか?」
「え〜?だって最初は身内の名前から探さん?」
「確かにそうかも。」
「‥‥‥まぁ、それは‥‥そうかもしれん」
何故こういう馬鹿にド正論を食らうとこうもムカつくのだろうか。
新しい教室へと近づくにつれて俺の心臓の音が徐々にペースアップするのを感じる。
俺はらしくもなく緊張をしているらしい。
もしも、‥もしもの話をしよう
もし、相模と一緒のクラスになれなかったとする
もしそうなったとしても、ベストプレイスや放課後等に会うことだって出来る
そう、別にクラスが同じだろうが同じじゃなかろうが
然程問題は無いはずだ
だから大丈夫だ。
別に気にしなくてもいい
気にしなくても‥‥‥‥‥
‥‥‥『そんな可能性を乗り越えて、一緒になれたら?』
‥‥‥‥‥‥‥あ〜‥‥もう‥‥‥クソ‥‥‥
やっぱり俺は‥‥‥病気なのかもしれない。
新しい教室に付き戸部が勢い良くドアをスライドする
ドアの前側に居たのは女王様と王子様だった
「やっほ〜!優美子に隼人くん〜!!」
「やあ戸部、今年もよろしく。比企谷と戸塚もよろしくね」
「うん!よろしく〜!!」
「‥‥‥ウッス‥‥‥」
俺は葉山に返事しつつ中に入り、クラス全体を見渡す‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥あ
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥居た‥‥」
俺の目先に居たのは、先程まで頭の中を埋め尽くされていた人物‥‥
そう、『相模南』がそこには居た
アイツも俺が来たことに気が付くと早速目が合う
すると途端に顔色がパアッと明るくなる
そして極めつけには小さくこちらに手を振ってきた
‥‥‥‥‥‥‥‥まあ‥‥一応、返しとくか‥‥‥
「‥‥‥ん?ヒキタニ君誰に手振ってんの?」
「‥‥‥ふあ?、あ、いや、べ、別に‥これは手振ってるわけじゃなくてだな‥‥そのあれだよ‥‥アレ‥‥‥えっと‥‥‥」
「ちょっ、ヒキタニ君動揺しすぎ!!ブハハ!!!」
戸部が俺のキョドり方にツボったらしく有耶無耶になってくれた
こればかりは戸部グッジョブ、初めてお前に感謝したかもしれん
恐らく今後ないかもしれんから今の内に感謝しておこう
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
何かしらを察した女王様には気付かずに俺は自分の席へと座るのであった
何事も無くホームルームが始まる
相模との席はだいぶ遠目ではある
俺は廊下近くの席であり相模は窓際付近の席
まあそこら辺は別に気にする必要は無い
というより、先程の反省をしよう
確かに相模との距離が前より近付いたのは間違いない
しかしまあ、少し油断しすぎていたようだ
何より先程の迂闊な行動‥‥‥
あれを相模にしていたとバレてしまった時はもう大惨事不可避だ
しっかり気を付けないとな‥‥‥
ホームルームが終わり、一旦休み時間となった瞬間
相模からLINEが届く
『同じクラスだったね、1年間よろしく』
『おう。よろしく』
『今日、部活あるの?』
『まあ、一応あるみたいだな。午前で授業は終わるし一緒には帰れないと思う』
『そっか』
『じゃあさ、部活行く前にちょっと残っててくれない?』
『渡したい物があるから』
俺は『分かった』とだけ送って机に顔埋める
何故かって?
そのメッセージを見た途端顔が熱くなるのを感じたからだ
こんな醜態を他に見せるわけにはいかんからな‥‥
まあだからこそ、この時も俺は気付なかった。
『女王様が俺達を観察していることに』
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
「ん〜?優美子どしたん?『向こうの女子グループ』の方見つめちゃって」
「‥‥‥‥別に、なんでもいいっしょ。」
放課後となり、俺はしばらくの間スマホをいじっていた
由比ヶ浜と雪ノ下には『すこし部活行くの遅れる』とだけ連絡しておいた
相模の方に少しだけ目をやると、相模も同じように友人と軽く話した後
「ちょっと勉強してくから」という言い訳で残っていた
しばらく時間が経ち、教室に俺ら以外居なくなったと確認するなり相模がテケテケと近付いてくる
「‥‥お、おっす‥!」
「‥‥おう。‥‥そんで、その‥渡したいものってのは?」
「そうそう、それはね‥‥‥こ、これ!」
相模は背後から現れたのは丁寧にラッピングされた袋包だった
「‥‥その、ホワイトデー‥‥ピアス貰った‥‥‥お礼‥‥的な‥‥」
相模は顔を紅くしながら顔を斜め下に向ける
すると、耳元に付けてあるピアスに目が行く
そこにはやはりと言うべきだろうか‥
俺のあげた『花形のピアス』がそこにはあった
「あ、‥‥‥その‥‥‥今日も‥‥着けてて‥‥めっちゃ気に入ってる‥‥‥本当にありがとう‥‥だから受け取って‥‥」
「‥‥‥‥おう‥‥‥‥その‥‥‥どうも‥‥似合ってると‥‥思うぞ‥‥」
「‥‥‥ッ‥‥‥ありが‥と‥‥‥」
「んでその、これ‥‥開けても?」
「全然全然!!むしろ開けて!?」
「‥‥‥」
俺は若干わなわなしながらも袋包を開ける
そこから現れたのはなんと『スマホカバー』だった
「‥‥‥おぉ‥‥‥」
しかもそれは俺が好きなアニメのキャラが写っているスマホカバーだ。
「その‥‥‥最初はアクセサリーにしようかなって思ったけど‥‥比企谷そういうの興味無いかなって‥‥スマホに何もカバーとか着けてないし‥‥‥だからその‥‥‥」
なるほど、だから俺のスマホの機種を春休み中に聞いてきたわけだ
俺はだいぶ前にされていた質問の意図に理解すると、すぐさまそのスマホカバーを俺の携帯にハメ込む
「‥‥‥ありがとう。こういうの買ってみようとか思ったことは無かったんだが‥‥いざこうして付けてみるとしっくり来るもんだな‥‥
ありがとう相模、嬉しいわ。」
「え、えへへ‥‥‥」
「にしても、俺がこのアニメ好きだってよく分かったな。」
「一緒に帰った時、オススメのアニメ何って聞いたらこれをめちゃくちゃ推してきたじゃん。
好きなんだろうな〜って思ってさ。
一人のキャラの魅力とかめっちゃ語ってたし、好きなキャラも分かっちゃった」
「そうか‥‥‥って、え」
俺はふと相模のスマホにも目をやると、相模のスマホカバーも同じアニメで別キャラの柄の奴だとすぐに理解した
「‥‥えっ‥‥と‥‥相模‥‥お前それ‥‥」
「ぁ‥‥‥‥‥そ、‥‥‥その‥‥‥私も結局オススメされたアニメ見て‥‥‥‥‥ハマッちゃって‥‥‥‥だからその‥‥‥‥‥そ、そういう‥‥事‥‥的な?‥‥」
「‥‥‥そ、‥‥‥そうか‥‥‥」
これは‥‥‥いいのか?
いや‥‥怪しくないか‥?
どうなんだこれは‥‥いやでも、同じアニメのキャラだ分かる奴なんてこの学校に何人居るかどうかだろうし‥‥多分‥‥大丈夫‥‥‥なのか?
‥‥‥多分‥‥大丈夫だろ。
「こ、こ、‥この後部活‥‥だったよね?そ、そんじゃその‥‥が、頑張って‥‥?」
「‥‥‥‥‥‥おう。‥‥‥その‥‥‥お前も気を付けて帰れよ‥‥‥」
相模は等々限界を迎えたのか、顔をこれでもかと言わんばかりに紅くした後
荷物を持って急ぎ目に教室を出ていった‥‥
‥‥本当に、乱されるな‥‥アイツと話してると‥‥
そんなことを考えていると、教室のドアが勢い良くスライドし、ドンっ!という音が鳴る
俺はその音にビビリ、うおっという声をあげてしまう
更に言えばそこから現れた人物にも次の言葉にもビックリしてしまった。
「‥‥‥ヒキオ、少し話すし‥」
女王様から直々のご命令だった。
「‥‥‥えっと、‥‥なんの用でしゅか‥‥」
俺はいきなりのことでテンパってしまい変な噛み方をしてしまう
そんな俺の様子をどうでもいいと言わんばかりに彼女は俺の隣の席にドカっと座り口を開く。
「‥‥‥‥‥アンタら‥どういう関係なワケ?」
「‥‥‥はい?」
どういう‥‥関係?
アンタら?え?なんの事?
どういう‥‥どういう‥
Do you?
それとも他の言葉の言語か?
「‥‥相模とヒキオの関係の事を聞いてんの。
めちゃくちゃ仲良くなってるじゃんアンタら」
そんな現実逃避も虚しく、あーしさんは鋭い眼光でそう聞いてくる。
「どういう‥‥関係‥か‥‥‥クラスメイト‥‥?」
「ふーん‥‥ただのクラスメイトがお揃のスマホカバー着けんの?」
「‥‥‥今時普通なんじゃねえの‥?知らんけど‥‥」
「‥‥‥ヒキオ、アンタそれ本気で言ってんの?」
「‥‥‥」
「‥‥どうするつもりなの?ここまで来て気付いてない演技でも続けるわけ?」
「なあ」
俺は、女王様との目線をしっかり合わせる
その女王様にも負けないくらいの眼光でしっかり相対する。
「‥‥お前の言いたい事とかか伝えたいこととか、困惑する気持ちも分からんでもない。
由比ヶ浜や雪ノ下、そいつらの想いを無碍にするつもりはサラサラない。
勿論、相模もだ。」
「‥‥‥‥‥」
「ちゃんと考えてるつもりだ。
だけど、‥‥俺だって気持ちの整理だとかが出来てるわけじゃない。
だから‥‥‥今はまだ、傍観しててくれないか?近い内に、俺なりの答えを出す‥‥だから」
「‥もういいし‥‥」
女王様は満足したのか、話を遮る
「‥‥‥なんか、ヒキオ変わったね。
前までのアンタならここまで素直に話さなかったんじゃないの?」
「‥‥‥どっかの誰かの影響だな」
「‥‥‥‥‥そ‥‥」
「‥‥んじゃ、俺部活行くから‥‥あ〜‥‥この事についてだが‥‥あんまり他にはだな‥‥」
「言わないし、あーしの事なんだと思ってるの?
まあ、相模と結衣どっちかでも泣かせたら容赦しないけど」
「心得てますとも女王様‥‥」
俺はその言葉だけ残して教室から立ち去る
「‥‥‥はぁ‥‥‥」
三浦は姿勢をだらんと崩すと大きな溜め息を吐く
「‥‥だったらさっさと付き合えし‥‥‥あーもう!さっきまでのあいつら思い出したらなんかムカついてきた‥‥‥こっちまで恥ずくなるし!!!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥でも‥‥‥羨ましいかも‥‥‥」
三浦は自分自身の現状と相模と比企谷の関係性を照らし合わしてしまい、どうしても羨ましいと思ってしまった。
「‥‥‥‥あーしも‥‥‥頑張ろうかな‥‥」
女王様は想い人である王子様に想いを馳せながら教室から見える校庭の景色を眺める
ここにまた小さなきっかけが、再び産まれたのかもしれない。
三浦さんならこうするだろうなという妄想混じりです
ちなみに由比ヶ浜は別のクラスになってます
次回は部活メンバー辺りも関わってくるかもしれません。