星見の旅路の、幕は下りて   作:しゃっく ,

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序章
序 『世界最期の英雄譚』


──それは、「生きる為の戦い」だった。

 

"大丈夫。私は最後の最後まで、

決して後悔しません。"

 

"私の屍が、誰かの道へ繋かっている。

ただ、それだけで良かったんです。"

 

──彼は、平凡な少年で、

 

"世界は美しいもので溢れている。

花も良い。歌も良い。黄金も良い。愛も良い。"

 

"そうとも、何よりも、

この世界(ローマ)は余の愛に満ちている!"

 

──特別な力は無く、

──常軌を逸した精神性も備わっていない。

 

"アンタらのおかげで世界は広いってわかったんだ。

きっと、死ぬ気で旅をしても終わりはない。"

 

"アタシは、そのほんのちょっと

数多くある道の一つを拓ければそれでいい。"

 

──どこにでもいそうで、でもただひとりの誰か。

 

"やってやるさ!

貴方が英霊となってまでオレを憎むなら!

オレは、何度でも貴方に叛逆するまでだ!"

 

──そんな彼は、

──多くの縁を紡いで、

 

"傷は私が癒します。何もかも全て、

元通りにします。"

 

"何度でも何度でも何度でも。

理不尽を踏みにじり、絶望を踏破して

その為に、私は全てを捧げましょう。"

 

──英雄達の背中に憧れを抱いて、

 

"勇ましき騎士の王。ブリテンを救ったお方。

貴方こそ、我らにとって輝ける星。"

 

"我が王、我が主よ。今こそ、

─いえ。今度こそ、この剣をお返します。"

 

──たくさんの仲間たちとともに、

 

"この先は(オレ)にも見えなかった神話の戦い。"

 

"貴様が世界をのむか、それとも人類は

この世界を拡げるに足るものなのか、

答えを出す時が来た。

──神代世界、最後の戦いを始めようではないか!"

 

──大偉業を果たした。

 

"これでいいんだ。

この選択を、キミとマシュがボクに教えてくれた。"

 

"これが──本当の、空。

わたしたちの時代の、わたしたちの地球──"

 

──奇跡を手にしたのだ。

 

 

 

──ただ、物語はそこで終わらない。

 

"言いづらい事だが、事実は事実として述べよう。

カルデアは崩壊した。我々にはもう、

あの場所を取り戻す手段も、帰還する方法もない。"

 

"汎人類史は、2017年を以て終了した"

 

──運命は少年に牙を剥く

 

"おまえの世界をおまえが救うということは、

この異間帯を破壊するということだ。"

 

"このロシアに住むヤガたち全てを、

おまえは殺すことになるぞ。"

 

"故に問う!故に糺す!貴様にその権利があるのか!?"

 

"この大地に住むヤガたちに、

“死ね”とおまえは命じるのか!"

 

"答えよ!答えぬならば、それが答えだ!"

 

"余は断じて負けぬ、断じて退かぬ!

余はこの世界を守護するのだ!"

 

──それはもはや「生きるための戦い」ではない

 

"スルトなきこの異間帯(ロストベルト)であれば

.....我が力、北欧に希望をもたらす事もできよう。"

 

"此処に愛を廃棄して、

ああ、おまえたちには死をやろう。"

 

"こが人理を救わんとするならば、殺せ!

我らを踏み散らしてゆけ──汎人類史のモノども!"

 

──それは、

──「世界を救う為」に、「世界を滅ぼす戦い」

 

"安息にして万全の終着か、

破滅と隣り合わせの成長の可能性か。"

 

"編纂事象の地球に居座る上で、

どちらの『(ヒト)』がより相応しいか……

もはや問答による判定は不毛だ。"

 

"よって殴る。殴って決める、

殴り返すことも特別に赦す。"

 

"そして最後まで立っていた方に、

未来の希望を託すものとする"

 

"ただ独りの絶対者たる真人の朕。"

 

"対して、数多ある人民の中の一人たる藤丸立香"

 

"より強き方が世界の次なる難局へと立ち向かう。

ここまで明快な裁定はおるまい"

 

──常人にできる選択ではない

 

"世から悪を…滅する。

不出来で、不要なものを、排する……"

 

"それが…正義の、刃、である…。

 

"その刃にて、管理される……

我が、世界は…絶対的に、正しい…。"

 

──常人に背負える重荷ではない

 

"汎人類史"

"考える葦たちよ"

"黒き光に触れる愚者よ"

"恐るべきものたちよ"

"再び 目覚めた時には"

"その双眸 神話復権を為す我を仰がん"

 

──何度も、何度も打ちのめされて、

膝を折りかけて、

 

"反乱軍はひとりも生かさぬ。

『異邦の魔術師』も同様だ。"

 

"たった一度の巡礼で思い上がった代償だ。

咎はおまえを祭り上げたすべての者に負わせる。"

 

"使命と共に果てよ。

私の妖精國には、楽園も、外の世界も必要ない。"

 

──それでも彼は立ち上がる。

 

"これは真実、ミクトランを滅ぼす戦いだ。

オマエが勝利すれば、第七の異間帯に“次”はない。"

 

"夜明けの太陽─我が第五の太陽(ナウイ・オリン)を以て、

ミクトランの物語は幕を閉じる。"

 

"その覚悟を示すがいい。

生と死を、この手で選び取る時だ。"

 

──立ち上がれてしまったのだ。

 

──驕りであっても、高らかに

──いつか必ず、

──失くしたものに、報いるために

 

『ダメだ!藤丸!

それを撃ってしまえば、おまえの命は─』

 

「ごめんなさい、新所長。

でも、こうするしかないんだ。」

 

「英霊達は全滅、

マシュももう限界だ。」

 

「何より、ここで負けてしまえば、

オレに託されたものの全てが、無駄になる」

 

「─それだけは、あってはならないんだ」

 

──そうして、少年は、「英雄」になった。

 

 

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