第一話
──我々は望む、七つの嘆きを。
──我々は覚えている、ジェリコの古則を。
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彼は電車に揺られていた。
車窓からは柔らかな光が差し込み
がたん、ごとんという音だけが
静かな車内にこだまする。
「……私のミスでした。」
ふと、声がした。
窓から差す光が少女の姿を露にする。
「私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況。」
「結局、この結果にたどり着いて初めて、
あなたの方が正しかったことを悟るだなんて……」
─彼女はもう長くない。
遥かなる旅路を経て、
多くの最期を見届けてきた経験がそう告げる。
「…今更図々しいですが、お願いします。先生。」
「きっと私の話は忘れてしまうでしょうが、
それでも構いません。」
「何も思い出せなくても、おそらくあなたは
同じ状況で、同じ選択をされるでしょうから…」
「ですから…大事なのは経験ではなく、選択。」
「あなたにしかできない選択の数々。」
「ですから、先生。」
「私が信じられる英雄である、あなたになら、
この捻じれて歪んだ先の終着点とは、また別の結果を…」
「そこへ繋がる選択肢は…きっと見つかるはずです。」
そして、今際の際にある少女が、
自身に意志を託そうとしていることも。
"だから立て、立って戦え。"
"お前が笑って生きられる世界が上等だと、
生き残るべきだと傲岸に主張しろ。"
"胸を張れ。
胸を張って、弱っちろい世界の為に戦え。"
"…負けるな。
こんな、強いだけの世界に負けるな。"
嘗ての記憶が、そう告げる。
「だから先生、どうか──」
「まかせて。」
「オレ、否、"私"は必ず、君の意思に報いてみせる。」
そうして、少女は、
心の底から安心したように、
頬を緩ませ、瞳を閉じた。
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「…い。」
「…先生、起きて下さい。」
「藤丸先生!!」
「うわぁ!」
「………。」
突然の大声に驚いて飛び起きると、黒い長髪の少女の、あきれたような視線が突き刺さった。
「…夢でも見られていたようですね、ちゃんと目を覚まして、集中してください。」
「私は七神リン、学園都市「キヴォトス」の連邦生徒会所属の幹部です。」
「混乱されてますよね、分かります。こんな状況になってしまったことは遺憾に思います。でも今はとりあえず私についてきてくだい。」
「どうしても、先生にやっていただかなくてはいけないことがあります。」
「学園都市の命運をかけた大事なこと…
ということにしておきましょう。」
そう告げた少女ーリンはエレベーターの扉を開く。
ーここは学園都市「キヴォトス」
星見の旅路は未だ果てず。
最期の英雄は再び物語を紡ぐ。
続くかもしれない