夜更けのパブで宗二は悩んでいた、これからどうすればいいか、考えていなかった。
(……金は持ってる、ひとまず宿屋には泊まれそうだ、遠くの方に行ってクエストを解決すれば金は手に入るし焦ることはないだろう)
余裕である、それもそうだ。転移者は神の祝福により多くの“スキル”を持って召喚される。その中でも宗二は特段多くのスキルを持っていた。
そうして思いふけっていると一人のチンピラがこちらに近づいてきた。
「おい、挨拶はどうした?」
チンピラがいきなり喧嘩腰とも取れる態度で話しかけてきた。
「おいガキッここでは入ったら親分に挨拶するのが決まりなんだ、早く挨拶しろっ」
あからさまに小物そうな男がいかにも小物らしい口調で言う。
返事はしなかった、仲間とも喧嘩別れしたのだ、苛ついている。それに親分とか言われている大男もどうせ取るに足らない相手なのだと、挨拶する必要など無いと思った。
そう考えていると3.5メートルほどの骨ばった体格の良い男がひときわ豪華な椅子から立ち上がりこちらに来た
「どうしたガキ…挨拶はナシか?…まぁいいこいつでも食えよ」
付けている装飾品こそ悪趣味だが穏やかなな物言いだった、差し出された料理も実にうまそうだ。大男に悪意はなく、打算もあるのだろうが善意によるものだった。
「…いら…ねぇよ、あっちにさっさと、行ってくれ」
周りが少しざわついた
「…………何だと」
一人が声を上げた。
「そいつ王国から言われてるやつじゃないっスか?ほら連れ戻せって転移者の」
ザワッ……
「!』」 「た、確かに」 「おぉ…」
「親分!引き渡しゃあ金がもらえるって話ですよ!や、やっちまいましょう!」
「そうだそうだ!」
酒場の男どもが声を上げる。
「やかましいっ!!!」
大男がそう声を張り上げる激しい揺れのあとにとしーーんと静寂だけが残った。
「な?ガキ、喧嘩をしようってわけじゃないんだ、これからも仲良くするためにはお互いに誠意をみせよう、な?」
……戦おうという姿勢を見せるものはいなかった
大男は善意で周りを黙らせたのだろうが──善意というものは、ときに人の神経を逆なでするものである。
「うるさいんだよおっさん…どうでもいいだろ俺のこととか…!」
「……聞き捨てならないな」
善意を否定されるのは気持ちの良いものではない。
パブの面々は何か怯えているようで、支払いもせず店を出る者もいた
「オレのことはいいからほっておいてくれよ!」
いきなり男は宗二の腹を貫きながら吹き飛ばした
次の瞬間──宗二は何人か巻き込んでパブの壁を突き破り外にふっ飛ばされていた。
「あううっあっはっ…ぐおっおわぁぁがいっっ」
防御系スキルも役に立たず見るも無惨な姿になっていた、しかし再生系スキルにより失った手足は元通りになっていたが所詮は高校生
(痛てぇぇぇっ……!)
襲いかかって来た激痛に呻いていた──それも傷が感知するとピタリと止んだ。
そして意識は眼の前の大男に向いた。
(な、なんだこいつはーー!?)
ギルド未加入
推定ランク"Ⅴ"
オードン・ダーツ
続くよ!