ガルドニクスに精霊界に呼び出され、炎王の孤島に隠されている神殿の宝玉を狙っている者逹がいると知らされた日から、典正は一日を終えて眠りにつく度に精霊界で神殿の宝玉を狙う二人の侵入者とデュエルをしていた。そして今日も眠りについて精霊界に転移した典正は、神殿の宝玉を狙う二人の侵入者のうちの一人の前に立っていた。
「今日は貴方ですか」
「……」
(やっぱり無言か……。本当にこの人……人? 何を考えているか分からないんだよな。もう一人の『あの人』は宝玉が目当てで大体分かるんだけどな……)
典正は二人の侵入者の一人、黄金の鎧を纏った大男に話しかけるが黄金の鎧の男は無言のままで、典正は心の中で呟く。
黄金の鎧の男は今まで何度も典正とデュエルをしたが無言で何を考えているか分からず、しかも炎王の孤島の神殿にある宝玉を狙っているはずなのに今では宝玉よりも自分とのデュエルを優先しているような行動をしていて、典正は黄金の鎧の男が何を目的にしているか理解できなかった。
「まあ、いいか……。俺はただ、この島を守るだけだ。……デュエル!」
「……!」
典正が気持ちを切り替えてデュエルディスクを構えると、黄金の鎧の男も自身の左腕に鎧と同じく黄金のデュエルディスクを構えるのであった。
☆
「それでプラネットシリーズのカードの所有者候補はどんな奴なんだ?」
「そうね。そう言えばどんな人か聞いていなかったわね」
灯台元で明日香と亮と話をした日の翌日。実技の授業を行なっている体育館に向かっている最中、亮と明日香が典正に質問をする。
「今日俺がデュエルを申し込もうと思っているのは、俺と同じラーイエローの一年生で神楽坂という生徒です」
典正は自分が見つけたプラネットシリーズのカードの所有者候補について話し始める。
「神楽坂は観察力とデッキの分析力が高いんですけど、そのせいか誰かのデッキを参考にしたら完全なコピーデッキになって、デュエル中はプレイスタイルどころか言動までオリジナルのデッキの持ち主と同じになるんですよ。でもいくらデッキの内容とプレイングをコピーしても完全じゃないからどこかでズレが生じて、今の所はそんなに戦績は良くないですね」
「………それは大丈夫なのか?」
典正から神楽坂がどのようなデュエリストか聞いた亮は思わず不安になって質問をして、明日香も同じ気持ちなのか心配そうな視線を典正に向ける。だが典正は首を縦に振って答える。
「神楽坂の観察力と分析力は本物ですから強くなりますよ。それに二、三日前にデッキを変えたみたいで、それからはオベリスクブルーの生徒にも何回も勝っているみたいですよ。……あっ、いた」
話をしているうちに体育館に辿り着いた典正は早速目当ての人物を見つけ出した。
典正の視線の先にいるラーイエローの生徒、神楽坂は今オベリスクブルーの生徒とデュエルをしており、内容は神楽坂の方が優勢であった。神楽坂は場に複数出した罠カードを上手く使い分けて相手プレイヤーのモンスターを無力化していって、完全にデュエルの流れを掴んでいる神楽坂の姿に明日香と亮も感心した表情となる。
「ほぅ……? あれが神楽坂か? 確かに中々強いな」
「そうね。神楽坂君と今戦っている彼……オベリスクブルーの一年生だと結構強かった方なんだけど、神楽坂君は余裕を持って戦えている。本当に強かったのね」
「………!?」
典正がプラネットシリーズのカードの所有者候補に選んだ神楽坂。彼の実力を見て亮と明日香は納得したように頷いているのだが、二人の隣では何故か典正が驚愕の表情を浮かべていた。
(あ、あのデッキは……!? そんな、馬鹿な……どうして神楽坂があのデッキを持っているんだ……!?)
神楽坂のデッキは典正もよく知っているものなのだが、彼のデッキは希少で高額なカードによって構築されており、この「現実世界」で使っている者は一人も見たことがなかった。
そして典正が驚いている理由はもう一つある。
神楽坂の背後を見ると、そこには典正が昨夜精霊界でデュエルをした黄金の鎧の大男の姿があった。
(何で貴方がそこにいて、神楽坂と一緒にデュエルをしているんですか……!? 『黄金卿エルドリッチ』?)