転生者のデュエリストは戦いの始まりを告げる   作:兵庫人

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第2話

 デュエルアカデミアの入学試験が始まる五年前。典正はとある建物の一室にいた。

 

 その部屋には典正の他に五人の男達がいて、典正は彼らが見ている前でデュエルモンスターズのカードが入っているパックを十個開封して、その中から十枚のカードを取り出すと五人の男達に見せた。

 

「……ワオッ!? 信じられまセーン!」

 

 十枚のカードを見た五人の男の一人、銀髪の外国人が心から驚いた顔で言う。

 

 典正が見せたカードはそれぞれ世界に一枚ずつしか存在しないカードであり、しかもそれが入っていたパックは五人の男達がこの部屋に来る前に適当に選んだパックで中身の確認すらしていない。それなのに世界に十枚しかないレアカードが一度に集まったのだから、銀髪の外国人が驚くのも仕方がないと言えた。

 

「……フン! つまりはこれで貴様が以前言っていた話が真実だと証明されたわけだな? それで典正よ。貴様の魂のカードは一体どれだ?」

 

 別の五人の男の一人、白いコートを羽織った男が自分の隣にいる首に鎖の首飾りをかけた男を見て鼻を鳴らしてから言うと、視線を典正に向けて質問をする。

 

 十枚のカードには全て精霊の力が宿っており、その中の一体は典正の前世であった魔術師の心から生まれた精霊であった。白いコートを羽織った男に聞かれた典正は、十枚のカードから前世の自分が使っていた精霊の力が宿る一枚のカードを抜き取ってみせた。

 

「これです」

 

「……ほう? そのカードか。なるほどなるほど? 確かに新たなデュエルの始まりを告げるお前に相応しいカードではないか?」

 

 白いコートを羽織った男は典正のカードを見て興味深そうな笑みを浮かべた。

 

「いいか、典正よ。貴様がすべきことは分かっているな? 貴様がすべき事はその残りの九枚のカードを持つに相応しい強きデュエリストを見つけ出すことだ。そのための舞台はこの俺が用意してやろう」

 

「強いデュエリストを見つける舞台だって?」

 

「それって、前に言っていたデュエリストの学校のこと?」

 

 白いコートを羽織った男の言葉に茶髪の男と、鎖の首飾りをかけた男と瓜二つの男が聞くと、白いコートを羽織った男は頷いて答える。

 

「そうだ。次世代のデュエリストを育成する教育機関『デュエルアカデミア』。そこに例の『三枚のカード』を封印しておけば色々な意味で丁度いいだろうよ。……フフッ、ハーハッハッハ!」

 

『『……………』』

 

 話している途中で高笑いを上げた白いコートの男に、典正だけでなく他の四人の男達も呆れたような苦笑を浮かべた。すると白いコートを羽織った男は何かを思い出したように典正に話しかける。

 

「ああ、そうだ。貴様に命じておくことがある。それは……」

 

 ☆

 

「『デュエルアカデミアに入学するのは五年後の今日。それまでは大会などで実戦を積み、デュエリストとしての腕と他のデュエリストを見る目を磨け』か……」

 

 デュエルアカデミアの実技試験の会場であるデュエル専用の会場、海馬ドームに到着した典正は五年前の出来事を思い出して呟いた。そしてその隣では十代が珍しそうにドームの様子を観察していた。

 

「うわぁ、スッゲェ……! ここが噂の海馬ドームか。こんな所でデュエルができるだなんてワクワクするな。典正もそう思うだろ?」

 

「え? ああ、そうだな」

 

「ちょっといいかしら」

 

 典正が十代の言葉に返事をしていると、二人の元にデュエルアカデミアの制服を着た一人の女性がやって来て話しかけてきた。

 

「ん? 誰だ?」

 

「私は白上(しらかみ)(あい)。デュエルアカデミア一年『オベリスクブルー』の生徒よ。……貴方、始波典正よね?」

 

 十代に聞かれて制服を着た女性、愛は自己紹介をすると典正に向かって話しかける。

 

「そうだけど?」

 

「やっぱり……。貴方のことは知っているわ。この数年で日本全国の様々な大会に出場しては優勝していくデュエリスト。少し前の小さな大会で優勝してニュースに出ていたわね?」

 

「えっ!? 典正ってそんなに凄いデュエリストだったのかよ? 今度デュエルしようぜ!」

 

 愛から典正の成績を聞いた十代が典正にデュエルをしようと話しかけるが、愛は十代のことは目に入っていないようで話を続ける。

 

「正直な話、何故貴方がデュエルアカデミアの中等部にスカウトされていないのか理解できないわ」

 

「あー……。そうかな?」

 

 デュエルアカデミアは中等部と高等部があり、小さい頃から大会等で好成績を収めたデュエリストはデュエルアカデミアの中等部にスカウトされることになっている。しかし典正の場合はデュエルアカデミアのオーナーがスカウトを止めさせていたのであるが、それを言うわけにもいかず典正は言葉を濁す。

 

「……ねぇ、私とデュエルをしない?」

 

『『え?』』

 

 突然の愛の提案に典正と十代が同時に驚きの声を上げる。

 

「私が所属しているクラス、オベリスクブルーは中等部から好成績を持つデュエリストだけが所属しているクラスで、この入学試験で受験生のデュエルの相手をすることができるの。そしてそのデュエルの内容を見て試験官が受験生の合否を判断するってわけ。……まあ、実際はほとんどのオベリスクブルーの生徒は面倒なのか見学をしていて、試験官自身が受験生のデュエルの相手をしているんだけどね」

 

 言われてみれば海馬ドームの観客席には、愛と同じデュエルアカデミアの制服を着た生徒が多数いた。

 

「それでどうする? 私とデュエルする?」

 

「俺は……」

 

「面白そうじゃないか! 典正、受けてやろうぜ!」

 

 愛からのデュエルの誘いに典正が答えようとした時、それより先に十代が彼に変わって答えてしまう。

 

「おい、十代!? 何を勝手に……」

 

「決まりね。それじゃあ、行きましょう」

 

 十代に抗議しようとする典正だったが愛は彼の話を聞かずに行動して、こうして典正と愛の受験デュエルが行われることが決定したのであった。

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