「でさ、何で俺たちは引っ込んだんだ?」
そういえばといった感じで凪人が聞く。確かに、十人程度を迎え撃つのであれば三人でも十分のはずだ。ただし、今現在前線で三十前後対四人が起こっていることは知らない。
「それか、最後の止めに必要だったんだよ」
教師と何やら打ち合わせをして戻ってきた雄二が答えた。
「止め? そういえば明久は何処なの?」
メアリーが周りを見渡す。今まで気が付いていなかったのか。
「ん、今屋上に居る」
「お、屋上? 何でよ」
「こちらから奇襲をかけるつもりです。相手はあんな姑息な手を使う代表です、正攻法で行ったところで勝てるかどうかわかりませんから」
レオが苦笑しならが答えた。
「確かにそうかも、でもレオが珍しいわね。闇討ちはあんたの兄さんの仕事でしょ?」
「今回はミスター サカモトにすべて任せましたから。それと結構吉井さんが乗り気なんですよね。この作戦」
「明久は基本的に勝てばいいって奴だからな、こっちの少々無茶な作戦も聞いてくれる」
「へぇ、凪乃と気が合いそうだな」
「そうかも、初対面で助けるなんて初めてだわ」
「へぇ。そうなんだ………」
「で、奇襲をするにはまず守りを削ぐ必要がある。そのためにわざと向こうの教室から遠い位置で戦闘をするようにしたんだ」
遠くにすればもしも奇襲に気が付いたとしても助けに来るのが遅れるはずだと雄二は考えた。しかし、その予想は斜めを行きほとんど近衛が残っていない状況を作り出しているなど雄二は知らない。
☆
「どうにかなったね」
死屍累々の中、凪はそう言った。サーヴァントも自身も普通に立っている。
「そうですね」
こちら涼しい顔のラニも全くもって無事なようだ。
「かー、つっかれたー」
一夜が伸びる、彼の召喚獣はすでに姿を消していた。
「あー、うん。確かに」
西崎が苦笑いをする。その服は少々痛んでいた。その横には暦が申し訳なさそうな表情で立っている。
「西崎君どうしたの?」
西崎の服のボロボロさ加減に気が付いた凪が西崎に聞く。
「えっと、直接攻撃食らっちゃって」
「ごめんな、白野」
暦はその時を思い出したらしく謝る。
「あ、いや。暦は気にしなくていいんだよ」
「直接攻撃は禁止のはずですが………」
「暴徒がそんなの守るはずないよな。ご愁傷様、西崎」
「うん、体に関しては『不死性』で普通に戻るからいいけど制服がね………」
吸血鬼を従えているだけあってその能力は本人にも映るようだが、制服に関しては『不死性』の対象外となるらしい。
「そっか。ぼ、ぼくでよければ制服縫おうか?」
「あ、う、上着だけ頼んでもいい?」
「うん!」
顔を真っ赤にする西崎と嬉しそうな凪の背後に呪詛を呟くキャスターと必死でとめる暦の姿があるのは気にしないでおこう。
「はー、青春だねぇ」
「なんだか場違いのような気がします」
『不死性』:EX→B+
致命傷を受けても一瞬で回復する能力。これがある限りサーヴァントと召喚者は不死の身となる。ただし、彼らの場合は「半端」のため不死ではなく異常なまでの回復能力となるようだ。
※オリジナルスキルです。本家とは違います。