第一問
「ふぁああ、ねむ」
あれから一か月たった。
あの後、帰ってこない僕を心配した後見人兼大家が様子を見に来て血まみれの僕の発見され、すぐに病院に担ぎ込まれた。友達が見舞いに来たりとかいろいろあったんだけど、まあその辺は置いておいて。一週間前、無事退院できた。
「わぅ(おはよう)」
わんこ(なんか狼らしくないのでこう呼ぶことにした)は相変わらずいるけど。しかも他人には見えてないんだけど。
それから目が覚めるとありとあらゆる言葉がわかるようになった。英語もフランス語も動物の言葉も何でもかんでも理解できるんだよね。物の言葉はわかんなくってよかったけど、わかったら怖いし。
「おあよ」
「起きなさい。これ以上寝てたら遅刻よ、遅刻」
「わかったー」
様子を見に来た大家に釘を刺されてようやく頭が起きた。起きて鏡を見れば伸びた髪がもさぁとなっている。一か月前、気絶から目を覚ましたら髪の毛が背中まで伸びていた。切ったら一瞬で戻った。何か超常現象に巻き込まれているのにもう気にならなくなってきたよ。
「弁当用意しておいたからね」
「ありがとう。行ってくるね!」
「車には気をつけなさいよー」
「はーい」
当然、わんこも一緒についていく。誰にも見えないため何も言われないけど。
☆
遅刻…は絶対しない時間帯。でも、人通りは確実に少なくなる時間帯。それを狙って登校したつもりなんだけど筋骨隆々の男教師が立っていた。
あーあ
「おはようございます。西村先生」
「おはよう、吉井。新学期からいつも通りだな。ところでだがその髪はどうした」
「あれ? 今日って新学期でしたっけ? 昨日からあったつもりでしたよ。ああ、これに関してはあんまり聞かないでください。僕自身も分かってないんで」
「相変わらず時間感覚がないな。わかった、とりあえずクラス分けだ」
「どうも」
たしかFだよなぁ、振り分け試験で寝てたし。
しかし、開けてみるとそこには見覚えのないSの文字が……ん? S?!
「先生、Sって何ですか?! え、何か天才集団でも集めたとか? それだったら僕関係ないですよね?!」
「俺も詳しくは知らないんだ。場所に関しては封筒に入っているから自力で向かってくれ」
いやいやいや、何で? ていうかSって?!
わけも分からないままとりあえず玄関に向かえば僕に声をかける人物がいた。
「えっと、君が吉井明久かな?」