僕と絵画とSクラス(仮)   作:亜莉守

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第三十問

 

白波凪人と彼のサーヴァント、アーチャーの朝は早い。

 

「ふぁぁぁ」

「マスター、起きたか」

「はよ」

 

白波家の料理は彼らが担当しているからだ。ちなみに凪乃に任せると鍋が崩壊、凪に任せると出来上がるには出来上がるが味が極端なので任せるに任せられない。凪人とアーチャーがいないときにはキャスターがするか出前を取るかの二択になる。

 

「今日は休みか」

「そうだな。何か予定が?」

「ないからこそ自覚すると暇になるもんだろ?」

「ああ、なるほど」

 

熟練の主婦もびっくりな手際で調理していく二人、その匂いにつられたのか凪乃が顔を出してきた。

 

「おはよう。今日は何?」

「ご飯とみそ汁」

「そうなの。あ、今日はラニと出かけるから」

「お、そうか。夕飯は?」

「食べる」

 

何か会話の内容が兄妹でするような内容でないというのは突っ込むのはやめよう。

 

「街歩いてたら明久と会ったりしてな」

「? 何で吉井なのよ」

「(あー、自覚ゼロか) いや、意外に凪乃は運がいいからな」

「そう?」

 

                    ★

 

「さて、宿題の類はなし。暇だ」

 

二人はソファーに並んで座り何とはなしにテレビを見ている。

 

「同じくだな。家事もすべて終了している」

 

もうすでに一通りの家事は済ませてあった。この二人は主夫になれるかもしれない。

 

「衛宮んちでも行こうかな」

「マスター一人で行くことだね」

 

衛宮士郎とは直接的な関係はないがなんだかんだで戸惑いはあるらしい。

 

「遠坂んち」

「また前回のようになっても知らないぞ」

 

前回は遠坂父が珍しく家に居たため、質問攻めに遭った。きちんと自己紹介をしていない方が悪い。

 

「……ぶらついてくる」

「車には気を付けることだ」

「了解」

 

白波凪人はこうして家を出た。

 

                    ★

 

「さて、ひとりで出かけるって久しぶりだな」

 

町の中をただぼんやりと歩いていく。そしてため息をついて一言。

 

「暇だ」

 

最近サーヴァントに似てきたと言われている(主に青い槍使いに)凪人だった。

 

「あ、白波じゃないか! おーい」

「ん? おお、遠野 久しぶり」

 

黒髪に青い上着に白のインナー、ズボンは普通のズボンの同い年くらいの少年が凪人に声をかけてきた。彼は遠野志貴、凪人の古い友人だ。交友関係の原因は主に「先生」と呼ばれる人物だったりする。

 

「何やってんだ?」

「暇でさ」

「そっか」

「遠野は?」

「あー、ちょっとね」

 

その時、

 

「あ! 志貴!!」

 

跳ねるような、無邪気な、そんな声が聞こえた。

 

「この声って………」

 

嫌な予感がして凪人が振り返ると。

 

「あれ? 久しぶりー…ってあれー? 君、女の子じゃないの?」

「いや、何でいるんだよ。アルクェイド」

 

短い金髪に誰もを魅了する魔眼、そして白いタートルネックに長いスカートの真祖の姫、アルクェイド・ブリュンスタッドがそこにいた。凪人の顔を見ながらアルクェイドは首をかしげる。

 

「むー、なーんかあの子とはまた違う気が………」

「凪人、アルクェイドと知り合い?」

「前世レベルで色々あって」

「そうなのよね。でも、違うんだよなー」

「前世って……」

 

二人の軽い発言に絶句した志貴だった。

 

「そうだ。借りを返さなくっちゃ♪ 殺されかけたなんて二度目だもの」

 

その言葉に志貴はきょとんとなり、凪人は顔をひきつらせた。

 

「! いやいやいや、今の俺たちに今のあんたは殺せないからな!」

「むー、何よそれ。ハンデありだから勝てたってこと?」

「当然だろうが! 誰が好き好んで地球(こっち)であんたら真祖と戦うか!!」

 

まあ、それは正しい。ホームグラウンドで真祖に勝てる自信は凪人にはない。ついでに言うなら頼りになるはずのアーチャーも不在だ。

 

「そんなこと言っても遅いわよ」

「逃げるか」

 

チーターも真っ青なスピードで凪人は走り出す。彼が作り上げた靴型礼装の効果のようだ。

 

「あ、まちなさーいっ!」

「アルクェイド、ちょっと待ってくれ。事情が分からないんだけど。お前は凪人とどんな関係なんだ?」

 

志貴に止められてアルクェイドは凪人を追うのを止めた。

 

「ああ、えっとね……」

 

                   ★

 

河原の土手。そこまで逃げた凪人はたまたまあったベンチに座り込んだ。

 

「はぁはぁはぁ、死ぬかと思った。今アーチャー居ないし」

 

頭を下に向けている凪人が見覚えのある影に顔を上げると……。

 

「あれ、凪人じゃない」

「あ。遠坂」

 

遠坂凛が居た。手には何やら買い物袋を提げている。

 

「こんなところで何やってるの?」

「アーチャー不在でサーヴァントバトルする羽目になりかけた」

「うわ、大変ねぇ。あ、そうだ。今日ウチでご飯食べない?」

「え、いいのか?」

 

前回のことを思い出して凪人の顔が若干ひきつった。

 

「大丈夫よ。今日は何もないから」

「……じゃあ、お邪魔させていただきます」

 





さて、次章のプロット考えたのですが……何故かみんなでキャンプに行ってます……あれー?

過去話更新しました。一応バットエンドも考えていたんですよ? そんな話。三話くらいで終わるかなぁと思っていたら終わりませんでした。明久とメアリーが家に帰ってこないってギャリーはパニック起こしそう。

そんなわけで視線はちょっとずれて白波さんち、この話でピンときた方もいらっしゃるかもしれませんが「EXTRA」ネタが入っています。それから凪人は凛の彼氏です。弓凛はないよ! この世界には聖杯戦争は根本的に無い設定。おかげで時臣さんも切嗣さんも生きてるよ。出番ないけど。居るけど出番ない人多いなぁ。

ようやく真祖組登場。真祖の設定は「EXTRA」基準です。
志貴さんと凪人は割と仲がいい旧友と言う設定。凪人は青子さんや燈子さんとも知り合いだよ。
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