『て、言うわけなんだけど』
遠坂の家で食事をごちそうになることになったので家に連絡を入れた凪人、案の定アーチャーしか家に居なかった。
「了解した。本日の夕食は私が作るということだな」
『ごめんな。今日は俺の担当だったのに』
「別にかまわないさ」
『じゃあな』
受話器を置いて、冷蔵庫へと向かうアーチャー。中の食材を確認して呟いた。
「さて、マスターも居ないとなると夕食はどうしたものか……」
★
「西崎君、ごめんね」
「別にかまわないよ。白波さんは本当に家族思いだね」
「(う、純粋な心を騙しているようで申し訳ないけど。直球でもダメだったんだからいいよね?)そ、そうかな」
西崎の言葉にぱっと頬を染めて凪は笑った。
「そう思うよ。だってさ、k「いやああああああっ」うわっ」
誰かが全速力でぶつかってきて、西崎が倒れる。
「西崎君?!」
「いたたた。あれ、この人って……」
西崎が体を起こすと茶色の髪を黄色のポニーテールにした少女が倒れていた。
「島田さん……だっけ? 吉井君に暴力振るってた」
「とりあえず起こさないと、おーい。うーん、起きないな。『ザシュッ』……へ?」
島田に声をかけても倒れたままなので、ゆすろうと体に触れる直前に何かが手に突き刺さる音がした。
「殺します。お姉さまに触れる豚野郎は何処の誰であれ殺します」
ツインドリルが若干人外化しつつやってきた。
「に、西崎君。手、手」
「え? あー大丈夫だよ。痛いけど」
西崎の手にはシャーペンとフォークが刺さっている。痛いだけで済んでいるのは『不死性』のおかげだろう。他の人間だったらまず危ない。
「大丈夫じゃないよね?! ちょっと、そこのツインドリル! ぼくのに…違う、公共の場で何をやっているのかな? 通報してもいいことやっているのは自覚してるの?」
「邪魔です!」
「!」
凪の目をめがけて、二本のシャーペンが飛ぶ。
しかし、彼女に当たる前に二つの手がそれをキャッチした。
「はぁーあ、なんか手が痛いから出てみればあんた何やっているんだよ。あんた文房具を何だと思ってんだ。ガハラさんじゃあるまいし……」
「そうですよ! ご主人様を傷つけようなんて百年…いえ、一億年早いって話です!!」
暦とキャスターだった。霊体化してついてきたのだろう。
「あ、あなた達 い、いったいどこから?!」
「そんなことどうでもいいよ」
「ぎゃんっ」
凪が近くにあった壁にツインドリルを叩きつけるようにして押しつけた。顔を近づけて小声で言う。
「何やってるのかな? 当たり所が悪ければ、ぼく失明してたよ? 君さ。警察呼ばれて、家族が呼び出されて、その上で学校にも居られなくなってもいいの? やることはわきまえろ。常識ってもんを考えやがれ。この馬鹿女が!」
完璧にドスの利いた声に、
「―――は、はひぃ」
ツインドリルは気絶した。
その様子を遠くで眺めながら西崎が言う。
「何時まで俺、フォーク差したままなのかな」
西崎の手にはまだフォークとシャーペンが刺さっていた。
「抜いてもいいんじゃないか?」
「(抜いて再生したら周囲の目がきついぞ)」
「(あー、確かに)」
「に、西崎君。びょ、病院!」
「あー、うん。そうしよっか」
凪の案内の下、病院へと向かうのだった。
清水さんファンの方申し訳ありません。この小説は基本アンチ暴力キャラの方針を打ち出しております。あ、姫路さん? Fクラスに染まらなきゃいい話でしょ? ってことで姫路さんは島田さんを怖がっている設定です。普通はそういう風にならないのかな?
大体好きな人に暴力振るっているのを見たら止めるのが普通だと思うけど。まあ、それだと小説的に面白くないですしね。
ガハラさんは暦の会話に出てくるだけです。と言うより物語キャラは