僕と絵画とSクラス(仮)   作:亜莉守

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第三十四問

 

「さて、何を描こうかな」

 

家に戻ってアトリエに入って、キャンバスに向かう。どうしよう? 人物画はまだ好きじゃないし。中華って言うんだから水墨画みたいなのがいいかな? Aクラスに関しては花を活けた花瓶でも描こう。花をおもいっきし豪華にして。

 

「水墨画いってもなぁ……描いたことあったっけ?」

 

自分の記憶をたどるけど確実に無いよ。どうしよう

 

「うぅー(あひひあー)」

 

何だ? そう思って振り向けば、わんこが紙をくわえてこちらへやってきた。

 

「どうしたの?」

「う」

 

くわえている紙をこちらに突き出してくる。開けてみれば水墨画で描かれた龍と渓谷だった。上手い……あれ? もしかして

 

「わんこ、君が描いたの?」

「わん(うん)」

「上手い」

 

ごくりと喉を鳴らしてしまった。ここまで上手に描けるなんて。

 

「あ、そうだ。描き方教えて、中華っぽくしたいんだ」

「わーぅ(いいよー)」

 

わんこ指導の下、Fクラス用の絵を描いた。

 

                    ★

 

「うーん、こんなもんか?」

「だと思うけど」

「まあ、いいんじゃないか?」

 

一方商品担当組、Sクラス校舎のキッチンを借りて試作品を作っていた。

 

「こんなもんって」

「おお、すごいな」

 

白野と暦の目の前にずらっと並ぶ明らかに美味しそうな手作りのお菓子の数々。二人は試食担当だ。女子にも声をかけたのだが都合が悪いのが一人、太りたくないのが一人、持って帰って食べるのが一人、逆に服のデザインがどんなのがいいか聞いてきたのが一人いた。

 

「どれにするか目移りするよ」

「ドーナツなどはないのか? ミスドには及ばなくても美味そうじゃな」

「あるぜー。さすがに特殊なのは無理だから普通のだけど」

 

暦の横に現れた忍の目の前に凪人が山盛りのドーナツが入った皿を置く。一口食べた忍が目を輝かせてドーナツを平らげていく。

 

「いただきます」

 

白野も緊張の面持ちで食べ始める。一口含んだ途端に顔がみるみる輝きだした。

 

「うまい! うまいよ」

「当然! あと何出すかだな」

「サンドイッチとかどうだ?」

 

暦から意見が出た。

 

「なるほどな。では、それにしよう」

 

どうやら決まったようだ。

 

                   ☆

 

次の日、Fクラス。

 

「おはよー、描いてきたよ。サイズは秀吉にメールで書いた通りだよ」

「今回は仕事が早いのう」

「ま、今回はいい師匠がいたからさー。こんなもんでいいかな」

 

僕は描き上げてきた龍と渓谷の絵を見せる。

 

「うむ、本当に明久は絵が上手いのう」

「あはは、絵描き冥利に尽きるね」

「それに雰囲気も変わったのう。何というかこう、魂がこもっておる」

 

一番言われてうれしい言葉が飛び出した。そう言われてこそうれしいものなんだなって今ならわかる。

 

「ありがと」

「礼を言うのはこちらの方じゃ」

 





わんこ、日本画が出来るなら水墨画っぽいものも可能な気がします。

明久は一応水彩画とか油絵とかをやっています。

そして男子勢……もうお前ら嫁に行っちゃえ。本気でそう思った。正直やりすぎた。
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