ベンチに二人の少年が座る。手には缶コーヒーと缶紅茶が握られていた。
「見つからないな」
凪人が空を仰ぐ。アヴェンジャーの召喚者を探しているのだがなかなか見つからない。
「だな。ところでだけどさ、アヴェンジャーってどんな英霊なんだ?」
「んー、呼ばれたのがこっちの予想で合ってるなら、かなりかわいそうな英霊だな」
凪人がクラス、アヴェンジャーに分類される(今のところ)唯一の英霊、アンリ・マユの話をする。それは深く、暗い、そんな話だった。
「なるほどな。でもさ、それって英雄か?」
「まあ、反英雄とも呼ばれているはずだ」
「うーん、ところでだがアーチャーは遭ったことがあるってことか?」
随分と詳しい口ぶりだったが、
「そ、俺に召喚されるよりさらに前……というか俺のアーチャーとは別のって言うことらしい」
なるほどといった感じで白野が頷いた。
「はぁー、それにしても何のためにそんなことをやるんだろうな」
「知らない。知りたくもねぇ」
「理由はともあれ俺たちの生活が脅かされるのは勘弁だ。見つけようぜ」
「おう」
二人は缶の中身を飲み干し、また探索へと向かった。
★
一方、Sクラスの出店。
「……はぁ、何でさ」
キッチンで衛宮士郎がサンドイッチの材料を手に呟いた。そこに遠坂凛が入ってくる。
「衛宮君、次!」
「わかってる!」
次々と物凄いスピードでサンドイッチを仕上げている。作り置きが物凄い勢いでなくなっていっているのだ。
「どんだけ人気なんだよ」
衛宮の魂からの叫びがキッチンに響いた。
★
探索に向かっている凪人と白野の前には……
「あ、久しぶりー」
「げ、アルクェイド」
「む………」
真祖の姫君アルクェイドが現れた。学園祭の連絡を志貴には入れておいたはずだが彼女も一緒に来たらしい。アルクェイドを見た白野の目がキュッと猫のように細まる。
「こら、アルクェイド……って、凪人じゃないか。久しぶり」
「お、志貴久しぶり」
「っ」
志貴の目を捉えた途端、白野の様子が一変した。まるで天敵に出会ったような、そんな感じだ。
「どうした? 白野」
「あ、いや……ちょっとな。俺、あっち探してくる」
「え、あ……」
全速力で凪人と別れた白野だった。
「どうしたの? あの子」
「どうしたんだい? 彼」
さっぱり訳が分からないといった感じでふたりが首をかしげた。
★
かなり離れた人もいないような物陰に白野は逃げ込んだ。
「はー、はー、なぁ忍、あれってやっぱり」
白野は己の影の中に居る忍に声をかける。
すると、忍が目の前に現れた。
「うむ、同類じゃな。しかもほぼ残っていないという真祖の姫君じゃ」
「やっぱりだよな。雰囲気が露骨だったし。てか、太陽ダメなんじゃないのか?」
忍のような超高位の吸血鬼でも太陽は苦手だったはずだ。
「真祖は違うぞ、ワシは吸血鬼の概念とでもいうべき存在じゃし……」
概念と現実に居る者は大いに違う。例えば概念である忍には「吸血鬼
「なるほどな。ところでだけどもう一人の方は? 久々に殺されるって思ったんだけど」
白野が逃げ出した理由がそれだ。白野は『死』というものに非常に敏感だったりする。例えば殺気と呼ばれるようなものには特に。暦と忍のマスターになってからはそこまで考えていなかったのだが久々の総身泡立つ感触に逃げるという選択肢を選んだのだ。
「あの『眼』が厄介の正体のようじゃ」
「なるほど、『魔眼』ってわけか」
「うぬにもあるものと同じような雰囲気じゃがな」
「それでも、俺は片目だけだ。いざって時が心配だよ」
そう話す白野の左目が極彩色に一瞬だけだがかわる。
「まあ、基本的には無いじゃろうが用心することに越したことはないの」
「うん」
そこにやってくる一人の影、
「白野、何やってるんだ?」
黒髪にアンテナのようなアホ毛、黒の学ラン。白野のサーヴァント
「あ、暦。どうだった?」
「見つかったのはいいだけどさ。召喚大会の挑戦者に化けたみたいで」
「うわぁ」
霊体になれることと、悪運が無駄に強いことを利用して単独で探してもらったのだがどうやら見つけたらしい。
「それから、転生者がどうのこうの言っていたんだけど。何なんだ?」
暦が首をひねる。
「転生者……名前からすると前世の記憶がある人間とかそんなイメージだけどそんな人間いるのか?」
忍に目線を向けた。
「うむ、アロハの小僧が言っておったがいるには居るらしい。しかし、転生者か……」
忍は渋い顔をした。しばらく悩むようなしぐさをしたがまあいいかと首を振り普段の表情に戻った。
明久母のサーヴァント
えー、一案二票。二案一票。
三案は零だったため破棄。
四案として
人類最強の請負人、
平等なだけの人外、
救村の英雄…?
が上がっております。