僕と絵画とSクラス(仮)   作:亜莉守

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第五十四問

 

「どうするの、お姉ちゃん」

「どうするって言ってもね………」

 

現状、今回の敵マスターが現れた。有効打は無い。以上

 

「あいつを倒せばいい。とかだったら楽だけど」

「キャスター、どうかな?」

「ちょおおっと何かが違うんですよね」

「でしょ? 兄さんが居たら、簡単にわかるのに」

 

こそこそと話しているとアヴェンジャーの召喚者(マスター)が笑う。

 

「作戦会議は終わったか?」

 

作戦会議終了まで待ってくれるとはずいぶんと紳士的である。

 

「待っててくれるなんて、随分余裕なのね」

「いや、何でかな。そんなことをしても無駄だからな」

「なるほど……随分余裕なのね(凪)」

 

アヴェンジャーのマスターと話しながら、凪乃が凪にアイコンタクトで話し出す。長年の姉妹の成果だ。

 

「そうなんだ(うん、キャスター、相手の弱点とかわかりそう?)」

「(うーん、ごめんなさいご主人様。ちょっと時間がかかりますよ)」

「(全くもって気味が悪い光景だな。これは)」

 

目の前には無数の骸が群がっている。四人だけを丸く囲む形になっているのだからはたから見ると物凄い光景になりそうだ。

 

「とはいえ、だ。もうそろそろ行くぜ?」

「っ」

 

骸が何体かこちらへ飛びかかってきた。それを凪乃が霊装『一の太刀』で切り裂いた。

 

「ふぅ」

「マスター、少々分が悪そうだがよいのか?」

「しょうがないわよ。本当は私タイマン専門なのに……」

 

しぶしぶながらも凪とキャスターを庇いながら凪乃とセイバーが応戦しだした。

 

「ははははっ」

 

敵マスターがエネルギー弾を飛ばしてくる。それを相殺するだけで全員が精いっぱいだ。

 

「(キャスター、どう?)」

「(わかりました。あいつの後ろにあるあの黒い塊、あれがあの紫色の英霊の弱点です)」

「(そっか、とはいえ近づけないなぁ……二人だけじゃあきついかな…ううん、弱気になったらだめだ)キャスター、行くよ!!」

「はい、ご主人様っ!!」

 

キャスターが札を構え、凪は不安そうに礼装を纏った。

 

                    ★

 

骸に覆われた廊下をひた走る二つの人影があった。

赤原礼装を纏い、足には脚力強化の霊装を履いた凪人と彼の従者アーチャーだ。凪人はほぼ無言で走っている。そして凪人が大地を踏みしめるたびに骸が少しずつ消滅する。強力な概念武装(ロジックカンサー)を纏っているようだ。

 

「………」

「大丈夫か? マスター」

「全速力、なんぞ、久々、だからな」

「なるほど、疲れたということか」

「正解」

 

凪人とアーチャーが喋っていると骸が隙を得たとばかりに襲いかかってきた。

 

「こいつら邪魔なんだよ!!」

「はぁ――――」

 

アーチャーの矢が飛ぶ、それは凪人が作り上げた概念武装を剣に作り上げたものを投影(トレース)したものだった。それによって前方の骸があらかた消える。

 

「とはいえここにとどまるのは効率的ではないぞ?」

「わかってる。もうそろそろで元凶なんだ。行かないと」

 

一歩足を踏み出すが、

 

「っ」

 

足の痛みに凪人は顔をしかめた。

 

「マスター、足を痛めていたのか?」

「アハハ……ハイ」

「そういうことなら先に言ってくれ」

「のわっ」

 

楽に担ぎ上げられた凪人、そのままアーチャーは何食わぬ顔で言った。

 

「行くぞ、マスター」

 

それからしばらく走ると急に骸の数が激減し、凪人が一番会いたくない人物と出くわした。

 

「あ、凪人」

「………よう、志貴」

「どうしたんだ?」

「足ひねった」

「なるほど、て「お前の方がくたばれ、志貴」

 

凪人がアーチャーに頼んで増産してもらっているガラス玉に魔力を流し込み、志貴に打ち込んだ。

 

「おわっ」

 

眼鏡をかけておらず「直視の魔眼」が発動している志貴には何ら意味をなさなかったが。

 

「マスター、味方同士で自滅をしたらまずいのでは?」

「あ、そうだった」

 

サーヴァントの言葉で冷静になる。

 

「この状況を説明してくれないか?」

「あー、そちらさんにとってみればそうだよな」

 

この状況、アヴェンジャーが召喚され現在無数の骸たちが跋扈(ばっこ)している原因を凪人が志貴に説明する。

 

「なるほど、それでこの状況なのか」

「そういえばアルクェイドは?」

「あー……それが」

 

殺戮マシンの勢いで骸を倒しまくっているアルクェイドがそこに居た。どうやら日頃のストレス発散らしく何か叫びながら倒している。そして彼女の歩いた後には骸は一体も残らなかった。

 

「おお、なるほどな」

「もう、アルクェイド先頭に進むか」

「賛成だよ」

 

                   ★

 

一方、凪乃たちはといえば

 

「もうそろそろ流石に勘弁かも」

「マスター、弱気になるな!! 余が付いておろう」

 

大苦戦をしていた。団体戦が得意な兄は出払っているし、よりにもよって相手は無限に増殖する化け物だ。宝具の使い時を図りかねていた。

 

「あああもう、あの激辛麻婆でも何でもいいから魔力回復アイテムが欲しい」

 

ストレスなのか凪乃がわけのわからないことを言いだした。

ちなみにこの世界の麻婆には魔力回復能力はありません。

 

「キャスター、大丈夫?」

「はいっ、ありがとうございます」

 

凪は冷静に霊装を使いキャスターを回復させていた。

その様子を少々離れた位置から眺めるのが一人、

 

「ふふふふ……ぐがっ」

 

その頭上に何かが着地した。どうやら人間のようだ。

 

「はい、君の野望もそこまでだよ。アヴェンジャー」

 

べしゃりと足下で潰れた敵にライトブラウンのボリュームのあるポニーテールの少年、明久がそういってのけた。隣には白色の毛並みに赤い隈取を付けた狼がひらりと着地する。

 

「吉井?!」

 

突然の登場に全員が驚く。

 

「うん、やほー。四人とも大丈夫?」

「そっちの子は?」

「あ、あの! もう下ろしてもらって平気だ」

「あ、そう?」

 

抱きかかえられていた淡い紫の髪の少年が着地する。

 

「えっと、オレの名前は比奈丘(ひなおか)(みなみ) アヴェンジャーのマスターだ。今回はオレが『負』に取り付かれていたとはいえ迷惑をかけた」

「「「え?」」」

 

全員が固まった。アヴェンジャーの召喚者は明久の足もとに潰れているこいつではないのか。

 

「つまりこの状況自体が彼女にとっては不本意ってわけ」

「え、女?!」

「わ、悪かったな! 女に見えない顔で!!」

 

全体的に男らしい雰囲気を醸し出す()()は少々憤慨(ふんがい)した様子で言った。

 

「ごめんなさい」

「かまわないさ、最近はずっとそんな扱いだからな。アヴェンジャー、令―――「ちょっと待って」

「ん?」

「あれ、ちょっと様子が変だよ」

 

明久が指をさす、黒の塊から何やら泥のようなものがあふれ出していた。

 

「うげ、忘れてた『泥』もあるんだった……」

 

陽の言葉がさらなるピンチを如実(にょじつ)に物語っていた。





忘れてはいけません、こいつは「ステイ ナイト」仕様です。「ホロウ」ではありません。理性なんて、個性なんてないんだぜ?

新キャラの名前「陽」と書いて「みなみ」と読む……この意味言わずもがなですよね? 読者の方が察しがいいことを願います。
秀吉の逆キャラって基本居ないなぁってことでこんな子になりました。男前な美少女大好きです。
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