「んで、何で自習教室にこんなに人が集まってんだ?」
自習を監視に来たロビンが驚いた。本来の英霊たちはほぼ全員どこかに行って居なくなっているのに人口密度が高い。よく見ればAクラスやD、Fのクラスの生徒も混じっている。
「んー、不届きな悪漢に対する制裁を加えるためかな?」
そういって首を傾げたのは凪、事情を聞いて一番に怒ったのは実は彼女だった。
「女子風呂を盗撮なんて許さないよ!」
蒼がそれに続く。
「そうですよ! おかげで男女の仲が最悪なのですよ。勘弁してほしいのです」
白い髪をツインテールにした少女が怒った。
ロビンが男勢に説明を求めるように目線を向ければ。
「そんなわけで女子に引っ張られて俺たちも参戦ってわけだ」
「しばらくここが戦争の拠点になるな」
雄二と山田があっさりと言った。
「なんでワシもここにおるのじゃ………」
「あはは、ごめんね?」
無理やりつれてこられた秀吉がため息をついた。明久がフォローに入る。
「いや、明久は何も悪くないぞ」
「悪いとしたら隠しカメラを仕掛けるどこぞのバカだ」
須川は留守番らしい。この場にはいなかった。
小さくノックの音が聞こえ、おずおずと扉を開けて入ってきたのは姫路だった。
「あ、あの、木下君……居ますか?」
「む、姫路かの」
「ごめんなさい。Fクラスに居ずらくって」
「あー、そうだよな。島田何か呪詛吐いていたし」
「っ」
山田の声に明久がびくりとなった。
「どうしたんだ?」
「いや、あー、うー」
明久が説明し辛そうにしていると雄二がネタばらしをすぐにした。
「あー、島田に嫌いだって言った話だろ」
「! そんなこと言ったんですか」
(一応)島田の好意を知っている姫路がちょっとだけ驚く。
「言ってもしょうがないと思うぜ。毎日のように暴行、何かあれば即疑って暴行 とりあえず嫌いな人間相手にやるってなら俺は納得する。これで好きだとか言うなら恋愛ってもんをもう一回見直せって言いたくなるぜ」
山田があきれたように言えば、
「? 嫌いでしょ」
間髪いれずに返ってきた。目は若干うつろになっている。
その様子を見て明久とは馴染みのメンバーが隅っこに集まってひそひそ話をし始めた。
「……明久がああなるって無くね?」
「始めてみましたよ」
「アッキーでもできることとできないことってあると思うよ」
「何か明久も壊れだしてるぜ」
うつろの目をしてアハハハとか言っている辺り末期じゃないだろうか?
そんな様子の明久にアマテラスが近づき頭を背中に頭をこすりつけた。
「わーぅ(明久)」
「………あまこう」
今にも泣き出しそうな顔の明久にアマテラスは優しく語りかける。(他のメンバーには聞こえていないけど)
「わん(それでよかったんだよ)」
「……そう、思う?」
明久は後悔していた。あそこで言わなくたってよかったんじゃないのか、
「わん、わーぅぁ(うん、あの子は知らなくちゃいけなかったんだよ)」
「?」
何を知らなくてはいけなかったんだろう。明久は首をかしげた。
「わぅ、わうわう(好きってどんななのか、愛ってどれだけ重たいものなのか、その重さは相手に押し付けるだけじゃダメなんだ)」
「そう……なの?」
「わう。わん(そうだよ。明久は間違っていないよ)」
「うぅ、うぁ、う……ひっ」
アマテラスの体に顔をうずめて、明久は泣き出した。
★
そんなやり取りを見ていた面々が言う。
「あー、どう思う?」
山田が雄二に聞いた。
「人に面と向かって嫌いなんて滅多に言う奴じゃないからな。言った後で後悔してたんじゃないか?」
「そっか、吉井って優しいのね」
凪乃が納得した。
「ぼくは優しすぎると思うよ? 身を滅ぼさないといいけど」
「俺もそう思うな」
凪人と凪は少々辛口の意見だ。
「大丈夫だろ。あいつの場合周りに誰かが居る」
白野がそう言い出す。
「そうなのですよ。もちろん私たちもです」
「だな。オレはあいつのお人好しっぷりが心配でSクラス来たようなもんだし」
今の今まで黙っていた陽が苦笑しながら言えば。
「ふぅん」
彼女のサーヴァントがニコニコと見つめていた。
「何だよ。その含みのある目線は」
「何でもないよ。彼は幸せ者だね。僕には全然なかったものがいっぱいあるんだから」
「?」
ちょっと含みのある言葉を言うディセンダーだった。
盗撮は犯罪です。
まあ、それ言ったら康太がどうなるんだって話ですけどねぇ。
100人で自習するならばれないと思う、あれですよね。バカテスって一クラス50人でしたよね?
幸せになれなかった彼と幸せになった彼のオハナシ。
さらには幸せを自力で勝ち取っちゃった彼も居ますけど……まあ、放っておこう。