僕と絵画とSクラス(仮)   作:亜莉守

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第七十一問

 

次の日、Sクラスに与えられている自習室に明久、陽、灯火の三人だけが居た。

話は昨日も行われた覗き未遂の話だ。

 

「とりあえず、この学校には勉強のできるバカしかいないってことがよぉぉぉくわかったよ」

 

灯火が呆れる。どこに行ってもこの学校の性質は変わらないようだ。

 

「同感だぜ」

「それにしても別に四六時中守ってもらわなくても大丈夫だよ? 仮にも僕英霊だし」

 

昨日から交代制で明久の警護が行われている。今は陽と灯火のコンビのようだ。

 

「いーや、それは無理って話だ。襲撃犯の能力考えたらオレらみたいな普通の英霊じゃあ敵わねぇ」

 

まあ、英雄王ですからね。

 

「まあ、最悪僕が何とかするからさ」

「大丈夫なの?」

「一応性能だけは英霊のままだから。それにね、身辺警護なんて仕事でよくやってたし」

 

ギルドの仕事は多岐にわたる、その中でスキル『無窮の武錬』を得たのだ。

 

「そうなんだ。でも………暇だね」

 

閑散としている教室を見て明久が言った。

 

「皆出払ってるしな」

「自習についてもロビンさんに話したら適当にごまかしとくなーって言ってたし」

 

ここまで理解がありすぎる教師はそこまで居ないだろう。

 

「ま、暇だと思えるのが幸せだってことで」

 

灯火が笑った。

 

「それもそうなんだけどね……そうだ。灯火君ってさ、どんな英霊なの?」

 

ふと思いついたと言わんばかりに明久が言い出した。

 

「どんなか……オレも聞きたい」

 

陽も食いつく。召喚してからしばらく経つがこの英霊についてわかることは少ないからだろう。

 

「えっ?!」

 

じぃぃぃと見る二人の目線に耐えきれなくなったのか、

 

「………はぁ、わかったよ」

 

灯火が折れた。さて、と言って話始める。

 

「とりあえずマスターは知っての通りだけど、僕の住んでいる世界には世界樹って言う大きな樹があって、世界樹からもたらされるマナの恵みによって世界は生きていくんだ」

「………」

 

どんな世界だろうと考える明久、その目はキラキラと輝いているようにも見える。

 

「でも、いくら世界樹からもたらされる恵みとはいえ、無限なわけではない。言うなれば現代のエネルギー問題みたいなものかな」

「剣と魔法の世界でもそれは変わらないんだな」

 

陽が言った。

 

「で、そんな世界には昔から伝わるおとぎ話がある。世界が危機に瀕した時、世界樹が救世主を生み出すってね。その救世主の名称がディセンダーなんだ」

「! もしかして、灯火君 その救世主なの?」

 

クラス名から想像したわけなのだが実に的を射ていた。

 

「うん、最初は記憶もなかったし、自分がどういう役割なのかも知らなかった。だから『生まれたばかりのディセンダーは小さなお手伝いから始めました』ってなるわけ」

「?」

 

その言い回しがよくわからずに明久が首を傾げた。

 

「おとぎ話の最初の話だよ。僕より前の過去に現れたディセンダーのことを描いているんだ。彼女も僕いろんなことを経験したよ。剣の使い方に魔法の使い方、友達の作り方、他にもいっぱい」

「ん? 過去のディセンダーは女なのか」

 

陽は思いもよらなかったようで灯火に尋ねた。

 

「うん、ディセンダー=同一人物とは考えないでね」

 

そこで明久をちらりと見れば目がらんらんと輝いている。絵の参考になりそうな話が聞けるのではないかと期待しているのだ。

 

「ま、色々あって僕は世界を救ったってわけ」

「端折ったな」

「まーねー。説明するとすごく長いし」

 

多分、一日はかかると思うと灯火は言った。

 

「むぅ」

「絵にできなくて残念でした。そうだ、アマテラスについて教えてよ」

 

こちらの話を話したのだから等価交換でもいいじゃないかと灯火の眼は訴えていた。

 

「アマ公? うーん、アマ公はナカツクニって言う国の神様で……」

「そういうのじゃなくってさ。普段どんななの?」

 

大抵アマテラスは明久と一緒に居る。それ以外の姿が知りたいと思ったのだ。

 

「あ、それ気になるな」

「普段? うーん、基本的に寝てるか食べてるか……描いてるかかな?」

 

最後に意外な言葉が出た。

 

「か……え、アマテラスって絵描けるのかよ」

「僕なんかよりよっぽど上手だよ。墨使ったのとか」

 

清涼祭の水墨画アマ公に習ったしと明久が言った。

 

「へぇ、凄いな」

「そういえば君は?」

「え、僕? うーん、基本はアマ公と一緒かな。後お菓子作りとか好きだよ」

 

現役学生がやるべき本分は何処へ消えた?

 

「勉強しろよ」

「勉強なんてあんまり必要ないじゃん」

「そこは人それぞれかな」

 

僕も勉強嫌いだったしと身も蓋もないことを言う灯火、

 

「ただいまー……って何か盛り上がってるな」

「まー色々ってことで」

 

ねー。と笑う明久と陽と灯火だった。

 





TOWそこまで有名じゃないだろうから設定説明、ものすごい勢いで省いたけど。たまにはこんなほのぼの話があってもいいと思う。


ステペタリ(簡略版)

クラス:復讐者(アヴェンジャー)/悲しみの王(ゲーテ)(イレギュラー)
真名:比奈丘 陽
属性:中立・悪

筋力:D 耐久:C 敏捷:B 魔力:B 幸運:-E 宝具:B

固有スキル

:悪運:EX
 運がいいのか悪いのかよくわからない。

カルマの鐘(リプレイ):EX
 前世の記憶を持ったまま生きることが可能。ランクが下がるごとに思い出せるものが減っていく。

異能者(ムラクモ):A+
 どこかの龍を狩るものの能力が全部使える。

宝具

・嘆きの王の右腕:C
 右腕を異物に変化させて闇の魔法を使うことができる。相手が光の属性を持つ場合、その攻撃能力は倍へと膨れ上がる。ただし、ゲーテ本人ではないためディセンダーに執着することはない。

・エグゾートスキル:B
 どこかの龍を狩るものの必殺技が使える。上のムラクモ共々転生特典でもらって本人すっかり忘却している。実はディセンダーが呼べたのはこの辺の関係が原因。別にディセンダ―は責任を取るために呼ばれたわけではない。

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