僕と絵画とSクラス(仮)   作:亜莉守

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第七十六問

 

「………」

「はッ、最初の威勢は何処へ行ったんだよォ」

 

逃げ回る陽を追い回す少年、その背中には黒い天使の羽のような何かがついている。

 

「(やっぱこいつ一方通行の能力持ちか)」

 

逃げ回りつつも冷静に判断していく陽、転生する前に少々齧っていたライトノベルの知識から少年の能力の正体をはじき出した。それを踏まえつつ自分の能力を見直す。メインの武器は闇魔法を弾丸にして打ち込むものか強化した右腕で殴りつける物なので相性が悪すぎる。

 

「(下手に打っても反射だしなぁ)」

「ちョこまか動くんじャねェ!!」

「!!」

 

少年が持っていた鉄の棒を次々と打ち込んできた。何とかかわす陽だったがそれも追いつかなくなり足に怪我を負った。

 

「………」

 

さて、これからどうしようかと冷静に考えるが足が思うように動かないため簡単にこの状況を何とかすることはできないだろう、そう思いちょっとだけ諦めかけたその時。

 

「ちょっと待った。僕の英霊(マスター)に何やってるのかな?」

 

陽の相棒とでも言うべき存在、異世界の救世主にして自身も転生者、ディセンダーもとい灯火が目の前に現れた。天井裏から飛び降りてきたらしい。

 

「ばっ、何で表に出てきた!」

 

出てくることなど想像もしていなかった陽は驚き

 

「ほゥ、いい度胸じャねェか」

 

少年は雑魚が増えた程度だと認識して彼を笑う。

陽には最悪のシナリオが見て取れた。

 

「お前が倒れた「はい、騒がない」

 

そのシナリオを告げようとしたがすぐに跳ね返される。

 

「とりあえずさ。戦闘狂なのはまあいいけど、人を物語の登場人物にしか思ってない時点でどうかと思う。だからさ、殴らせろ」

 

少年に向かっていく灯火、笑って反射しようとする少年だったがそれが全くできず拳を叩きこまれる。吹っ飛ばされ、体制を整えた後、灯火の右腕を見て驚いた。

 

「なっ」

 

異形のような龍の頭ようなオーラがまとわりついた右腕のまま灯火は笑う。

 

「一言 『俺の最弱(さいきょう)はちょっと痛いぜ』?」

 

その一言で少年は灯火が持っている能力に気が付いた。異能殺し、相性最悪のその右手の名前は………

 

幻想殺し(イマジンブレイカー)………」

「まあ、『あんたのその幻想をぶち殺す』ってことで」

 

異界の救世主は元の世界の友人の能力を手に再度笑った。

 

                    ★

 

一方最後の決戦場では

 

「うーん、結構やるね」

「あんたもあんたで余裕そうだな」

 

無数の剣が転がり、突き刺さり、少年のと少女は向き合っていた。お互いに傷がある。

 

「あー、もうそろそろやめたいねぇ」

 

紫の少女が構えを解いて呟く。

 

「だな。つか、あんたは何がしたかったんだ?」

 

その意図を汲んだ凪人が夫婦剣を下して問いかけた。もう二人の間には敵意の欠片もない。

 

「うーん、あのおバカな金色のお守? ウチの聖杯はテロで爆破されたしつまらないらしいね」

「テロって………あー、あいつか」

 

記録(ログ)を見た限りだが彼のことを思い出す凪人、ここ最近の人間でテロが似合う異界人など彼しかいないだろう。

 

「あ、わかった?」

「ま、一応」

 

規格外の経歴を持つ少年、そういう認識しかないが記録を見ただけでどうしようもないくらいに規格外であることは言うまでもなかった。

紫色の少女は笑う。

 

「そういうこと、いやぁボクのマスターに迷惑かけるようならどうにかしたかったんだけどね」

「やっぱサーヴァントだったのかよ」

 

記録を見て色々とおかしいとは思ったがサーヴァントだったとは

 

「いやぁ、マスター居たら色々と暴れるのに不都合だったしありがたかったよ。でもさ、観光行ってるってズルイと言うわけでじゃあね!!」

 

少女は笑いながら消えた。

 

「はぁ、つか散々引っ掻き回すだけ引っ掻き回しやがって。あのサーヴァント、マスター誰だよ」

 

凪人が呟く。そして、張ってあった結界を解いた。

 

                   ★

 

さて、観光に向かった平行世界の明久以下三人だったが、適当に取った宿屋の風呂から上がり用意された部屋でくつろいでいると、

 

「はっくしゅ」

 

明久が突然くしゃみをした。

 

「どうかしたのかい?」

「誰かが噂してるんじゃない?」

 

明久がさらりと受け流す。頑丈なことだけが取り柄なのだ。風邪なんぞ引いてたまるか。

 

「風邪などひいておらぬか……おや、紫色の帰っていたのか」

「ただいまー。戦闘狂共どうにかなったよ。マスター褒めて!」

 

突然現れた紫色の少女が明久へと飛びつく。

 

「ありがとうね。僕じゃどうにもできなかっただろうし」

「個人的にはマスターのごはんが食べたいんだけどなぁ」

 

さらっと報酬を期待するあたり相変わらずのようだと明久は内心考える。

 

「帰ったらね。あっちと合流しないといけないし」

 

月聖杯の覇者にして「今は」クランの猛犬を従えた少年のことを思い出す。

それはそうとしてと考えを切り替える意味も込めて備え付けのお湯と急須で全員分のお茶を淹れまったりした後

 

「それにしても男ってバカだよねぇ」

 

紫色の少女が言い出した。その唐突な発言に男性人二人が驚く。

 

「僕も男だけど?」

「うーん、何かマスターって中性的っていうかさー。性別不明?」

「あのねぇ………」

「そんなわけでして、強制的に風呂場に向かうように暗示かけたんだよねー」

 

だって、それが願いでしょ? だったらそれでいいじゃないかと少女が笑う。

どこまで行ってもこの子はあれなんだと明久は理解した。

 

「「「……………」」」

 

全員が固まり、続きを促すような目線を向けた。

 

「いいじゃないか、欲に従うのは人間としての(さが)だよ」

 

まあ、確かにそうなのだけれど、

とりあえず、と言わんばかりに明久が明後日の方を見て呟いた。

 

「………ご愁傷様です。あれかなぁ、ババァ長の入浴シーンかな?」

 

自分が過去に小説としてこの世界を読んでいた頃の結末を思い出しあきれ返った。

 

「まあ、何にしても僕らには関係のない話だね。そうしよう、マスター」

 

現実逃避甚だしかったが、そうすることでしか冷静を保つことができなかった。

何やってくれてんだろうかウチの復讐者(アヴェンジャー)は、明久と彼の相棒で(一応)常識人のアーチャーはため息をついた。

 





そんなわけでアヴェンジャーってどんな人間の殻でも被れんだよねってことでこんな感じになりました。
短編に二話ほど乗せた『僕と英霊と引っくり返った世界』の√アタラクシア後の明久です。設定は出来ているのに話が書けないって全くもってどういうことなのやら。

ステータスぺたり(本家風、あくまで風です)


クラス:バーサーカー/放浪者(ノーマッド)
真名:西崎白野
属性:混沌:善

筋力:C
耐久:EX
敏捷:D
魔力:E
幸運:C→E-

保有スキル

:不死性:EX
いくら攻撃を受けても回復出来る。

理破りの魔眼(ロジックブレイカー):B+++
オカルトをこの世界の概念ごと破壊できる魔眼、白野は片目しか保有していない。
多分臨死体験すれば『直視の魔眼』に変貌を遂げる。本人的にはそれが怖いので無自覚に死を避けている。

:狂化:E-
理性を捨てる代わりにステータスを一段階あげることが可能……な能力のはずだったが何故かのっそいランクが下がっている。ただしプッツンするとバーサクなので注意


宝具
『幻想少女の狂気』:EX
 目を赤に染め上げた吸血鬼の少女を救うために少年は狂気を手に入れた
 ようは「きゅっとしてどかーん」



伏線回収全然できない……orz
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