「ふぁぁぁ」
茶髪の少年が大きな欠伸をした。それに反応した白髪の青年が少年に話しかける。
「凪人、眠いのなら寝たらどうだ?」
「そうだなと言いたいところだが俺がサーヴァントである以上眠くは無いんだよ。むしろ無銘お前が寝ておけ、一応人間なんだし」
正論を言われ無銘は呆れた顔で
「そうだったな」
腕を組んで壁に背を付け眠り始めた。こういう時ぐらい普通の寝床にしろよと内心ツッコミを入れつつ無銘の顔をじっくりと見る凪人
「(はぁ、眠るのが面倒ってのもあるんだよなぁ)」
眠れないわけではないし、眠らないわけでもないのだが最大のネックがそこにあった。
「(夢を見せるのが怖いってのもあるけど)」
普段は一極端だが魔術師の端くれでもあった彼が妨害しているおかげか過去夢を視ないのだが、普段とは立場が逆だ。礼装を作ることぐらいしか能がない自分は妨害すらできないだろう。
「(『正義の味方』ねぇ……)」
かつて自分は英雄ではないと言い切った彼のことを思い浮かべつつ、月聖杯と共に生きることを選んだ少年目を閉じる。次の日の朝の騒動など思いもよらずに
★
灯火Side
夢を見た。走る夢、何処までも走る夢、誰かが何かから逃げている。これは一体?
振り向こうとしても振り向けない、誰かの目線からこの夢を見ているらしい。
行き止まりにたどり着いた。目の前には壁しかない。
さっと後ろを振り向けば目の前に迫るのは化け物、そしてその瞳に映っていたのは………
「うわぁぁぁぁぁ」
「??!! いきなりなんだよ。驚かせるな」
マスターである彼女に足蹴りをされて僕のぼけていた頭は覚醒した。
「あー、ごめん」
謝りつつも彼女の姿を見て確信する。あれは彼女の過去だ。転生者とは聞いていたけどあんな世界から転生してくるとはねぇ。僕よりよっぽど生命の危機MAXじゃないか
「あれ? もしかして寝てない?」
「あー、オレ今サーヴァントだろ? 眠ろうにも眠れないっていうか」
そういえばそうだよね。サーヴァントは寝なくても食べなくても生きていけるし。
まあ、ここのみんなは普通に食べたり飲んだりするけど
「あ、そっかぁ……子守唄でも歌う? 意外と得意だよ。そういうの」
ご飯とこれだけが取り柄だからなぁ。僕は
「お前が寝とけ、今は人間だろ?」
「う、はーい」
しょうがないなぁ。寝ておくか
★
「俺はさ、決めた。何回かかっても、どれだけ摩耗しようともお前ら全員助けるから」
覚悟を目に宿らせた少年は呟く。
自分の存在が何なのかを知った上で、少年は覚悟を決め、電子の海の最奥へと向かう。
「私はみんなを助けたいの。だから、ごめんなさい」
少女は笑った。空ろな器に心を入れてくれた二人の親友に向かって、その笑顔はどんな星よりもささやかだが、その存在を二人の心に焼き付けるには十分だった。
少女は奇跡を願いながら最奥へと向かった。
「ぼくは奇跡だって起こしてやる。そう、覚悟を決めたんだ。だから、この聖杯戦争……終わらせてやる」
少年のような口調の少女は最期までついてきてくれた従者にそう言って最奥へと向かった。
ああ、これは……君/そなた/あなたたちの―――
★
翌日の朝、Sクラス
「おーし、お前ら……って何、鬼ごっこやってんだ?」
ロビンが教室に入ってきてみると、白波三兄妹と彼らのサーヴァント(現マスター)が盛大なまでの鬼ごっこをしていた。一番必死で逃げているのは凪人、無銘がそれ以上の必死さで追いかけている。
「放っておけばいいと思いますよ……多分」
止めるなんて無理ですからと呟くレオ、表情が結構黄昏ている。
「朝からあの調子だもんね。どうしたんだろ?」
明久が首を傾げた。
「大丈夫じゃないか?」
衛宮が返した。
「というかあの三人大丈夫なの? 今は人間とはいえサーヴァントと鬼ごっこって」
遠坂が怪訝な顔をする。昨日の騒動で現サーヴァントな彼らなんかより人間スペックに落ちたものの英霊組の方が身体能力などは高いことが判明しているからだ。
「大丈夫だろ? 元は英霊じゃなくてもサーヴァントなんだし」
白野がのんきに言った。彼の現マスターたちは人間の体を堪能しきると言って先に帰っている。魔力切れなどないといいが
「あれじゃないか? サーヴァントの過去を見るっていうやつ」
「あー、それだと思うよ?」
陽と灯火がそう意見する。
「僕たちがマスターやっているときにはそんなことありませんでしたが?」
「そうよね」
月聖杯組はそう反論した。
「多分、英霊を呼ぶシステム自体が違うんじゃないか? 俺は見たことあるぜ」
「俺も同じく」
「僕も見たことあるよ。まあ、最初は全然見てなかったけど」
地上組は見ていたらしい。
「あれか、真面目にみたせーみたせーやったからか」
あれは中二だったとか考えながら陽が言えば。
「あー、それは多分君以外やってないでしょ。大体がイレギュラー召喚みたいだし」
灯火が冷静に返した。みたせーみたせーで通じるあたりどうかと思うけど。
「何だ? それ」
「俺も気になる」
「どういうのなの?」
イレギュラー組は興味がわいたらしい。
「魔法陣書いて、呪文唱えて、召喚だろ?」
そういうもんじゃないのか? というような目線でイレギュラー組を見れば。
「僕は化け物に襲われてて死にかけたときに呼ばれたって感じかな」
「俺は家の蔵にあった剣の鞘拾った後、気が付いたら居たけど」
「俺は拾った」
出るわ出るわイレギュラー召喚の嵐、陽としては……
「真面目に召喚の儀式やったオレって……」
「まあ、真面目にやった分ちゃんとパス繋がっているんだしいいんじゃないかな?」
おかげで魔力不足になってないしと灯火は笑う。
「あー、俺は遠坂に指摘されるまで全然気が付かなかったよ」
「俺はそれよりも前に忍に噛まれた」
「パスって何?」
まあ、約一名場違いな発言をしているがまあ、気にしないでおこう。
「おーい、お前ら。今日帰るんだぞ」
ロビンのツッコミが入る。
「「「「「あ」」」」」
全員が固まった。
☆
後日、学園長よりこんな通達が出た。
処分通知
文月学園第2学年A~Eクラスの一部男子生徒を除いた全男子生徒
上記の者達全員を1週間の停学処分とする。
文月学園学園長 藤堂カヲル
ある男子の反省文
ついムラッときてやった。今は心の底から反省している。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい×∞
出されたすべての反省文がゴメンナサイの文字で埋まっていた。
ちなみにこれを後日見たSクラスの反応
明久「やりすぎた?」
凪人「じゃね?」
凪「ぼくはいいと思うけど」
白野「何見たんだよこれ」
士郎「考えたくもないな」
凛「うわぁ、これ全部こうなの?」
レオ「本当に何をしたんですか?」
凪乃「カオスってこのことを言うのかしら?」
そんなわけでして合宿編終了です。
長かった。物凄く長かった。スランプとかスランプとかスランプとか色々ときつかったです。
しばらくは伏線回収と日常編の予定、次章は時間軸的には四巻の内容かぁ………どうしようそこまで真面目に読んでない。←あ
そしてサーヴァント・マスター入れ替わりまだ治ってない←ここ重要
グダグダながらもいつも読んでいただきありがとうございます。