Sクラスに明久の友人数名が来ていた。
明久の姿がないので聞いてみれば、事情を話されて全員が目を白黒させる。
「えっと、つまり」
「明久たちに脅迫状が?」
とりあえず納得できた雄二と山田がどうにか飲み込んだ内容をくり返した。
「まあ、そういうことだ」
事情を説明した無銘が眉間にしわを寄せて明後日の方向を向く。
「全く、何処でこんな写真撮ったんだろう………ご丁寧にクラス全員分だし」
うわー、すごいねー。などと言いながら灯火が机の上の写真を見る。
「あ、そうだ。山田いいか?」
暦が思い出したかのように山田を呼ぶ。
「俺?」
「あー、なるほど、山田君 ちょっとこっち」
灯火も混ざり廊下へと向かった。
「なあ、この展開って『原作』にあったか?」
ここまでの騒動が『原作』にないわけがないと考えたので『原作』を知っている山田に聞いてみたのだ。もしかしたら犯人が分かるかもしれない。
「あー、でも時期がずれてるぞ」
「ウチのマスターも同じこと言ってた。確かアレでしょ? 強化合宿の前に主人公の女装姿の盗撮写真を送りつけて。『異性に近づかないように』ってやるやつ………ほんっとにあれ際どかったなぁ」
「まるで知ってるみたいな口調だな」
灯火の口調が本気で呆れるというか懐古してるというかそんな感じの口調だったので山田がいぶかしむ。
「あー、マスターの過去の夢で漫画版読んでる姿があった」
「なるほど」
「つまり、主人公限定のイベントだったってことか?」
暦が山田と灯火の意見を纏めた。灯火が頷いて首をかしげる。
「そうなるねー。犯人確か」
「ツインドリルだろ?」
この単語が意味する人物は三人の中では一人しか居なかった。
「あー、そうそう 清水さんだったね」
「今回の犯人も同じか?」
「だったとしてもなんでSクラスごと狙ってるのかがいまいち分からないなぁ」
三人は一応の意見を纏めて教室へと戻った。
「おい、話し合いは終了したか?」
雄二が三人を見る。
「まあ、とりあえずは?」
「だな。他のやつらが『原作』って呼ぶ物語にも同じような内容がある」
サーヴァント勢がまたかという表情を浮かべ、友人たちはあー、そんな話もあったなぁといった感じの表情を浮かべた。
「でもさ、それって主人公……いや、とある人物から好意をむけられてる人物に限っての話だったはずなんだよねぇ」
「とある人物?」
含みのある表現に雄二が尋ねた。
「島田」
「え」
「まさかとは思うが?」
今度はサーヴァントたちが怪訝な表情を浮かべる。彼女にはあまり良い印象がない。
「島田さん、多分……好きだったんじゃない? 彼の事、最近来たばかりだし僕にはわからないけど」
鋭い洞察力だとここに居た面々は思ったが、実を言うところは彼が死後に気が付いたことだった。
「暴力って間違った方向には向かっていたが好きだったことは確かなんだよな」
山田があきれながら続ける。
「つまり、あのどこぞのやかましいポニーテールの事を好きな誰かがこんな事したってことですか?」
タマモが全体を纏めきった。
「まあ、そんなところだね。でも、彼女がそれをしたって証拠は今はないし。もしかしたら『原作』を知っている誰かが模倣したのかもしれない。真実は今のところ闇の中ってやつだね」
「下手に問い詰めたら逃げられかねないから。慎重にいくべきだと僕たちは思う」
はい、解散! 昼ご飯、食べなよ? と暦が言って、雄二と山田、それから実は居た須川は教室から追い出された。
★
その後、Aクラス
なぜか居なくなっていた蒼の携帯から雄二の携帯に着信が入った。
「ん、どうした?」
『にゅふふ、面白いもの見ちゃった。メールで送るね』
「?」
送られてきたメールを開く。そこには買物をしている明久と凪乃の姿が撮られた写真が添付されていた。
「…………え?」
まあ、それだけだったら普通の写真なのだが選んでいるものが可笑しい。宝石店らしく、指輪か何かを選んでいるのだ。
「どないかしたん? え?」
「……どうかしたの?」
水樹と霧島、雄二の三人が顔を見合わせる。
「「「ええええっ?!」」」
Aクラスの秀才トリオが揃いもそろって驚愕の声を上げた。
相変わらずきな臭い学園サイド、打って変わって蚊帳の外組はのん気です。
さて、なんで宝石店で指輪なんぞ選んでたのか それはあなたの心の中にある!!
…………いや、嘘ですよ? 次回をお楽しみに