僕と絵画とSクラス(仮)   作:亜莉守

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第八十六問

 

本来の生徒も居ないため早々に解散となったSクラスの面々は各自帰宅していた。白波家に帰ったところ凪乃だけが居なかったため念話で連絡を取っていたネロだったがいきなり泣き出した。

 

「うぅ、奏者ぁ」

「もー、何泣いてるんですか」

「何かあったのかね?」

 

普段ならちょっとくらいからかいも入れるところだがそれどころではない感じがしたらしく真面目に心配してみる玉藻と無銘。

 

「奏者の浮気者ぉぉぉぉ」

 

それだけ言うと早々に部屋に閉じこもってしまった。

 

「本当に何があったのやら」

「だな」

 

                    ★

 

一方、その頃明久母と衛宮切嗣

 

「それにしても、こんな喫茶店に来るの? その子」

「多分、実家らしいよ」

「ふぅん、そういえばここアルバイトの子少ないわね」

 

駅前近くの喫茶店『ラ・ペディス』先ほどの喫茶店とは打って変わって落ち着いた雰囲気のある隠れ家的喫茶店だ。注文したコーヒーを飲みながら店内を眺めるが、見かけるアルバイトが一人しかいないことに明久母は首を傾げる。

 

『ディアマイドウタァァァァァァァ』

『きゃああああああああああ』

 

キッチンの方から悲鳴と謎の叫び声がした。

 

「一体何?!」

「悲鳴?!」

 

二人は慌ててキッチンへと向かった。

 

                    ★

 

「何やってんのよ。おっさんっ!!!」

「ごぅふ」

 

明久母が躊躇なくアルバイトらしき少女に飛びかかろうとした筋骨隆々な男性を蹴り飛ばす。

 

「大丈夫かい?」

「は、はいぃ」

 

切嗣がその隙にアルバイトの少女を助けた。そこへ気絶した男性を引きずった明久母がやってきた。

 

「はぁー、よし 衛宮、縄頂戴」

「わかったよ」

 

何処から持ってきたのかは不明だが縄で楽々と縛り上げていく。作業を続けながらも二人は会話を始めた。

 

「ふん、ロリコンか何かかしら?」

「さあね」

「あ、あの………」

 

アルバイトの少女が意を決したように声をかける。

 

「ああ、貴方ね。もう大丈夫よ。ここはあたしたちに任せて先に行きなさい。通報したほうがいいのかしら?」

「その方がいいんじゃないのかな? というよりこの人何処から入ってきたんだろう?」

 

さらっとスルーされそうになるがめげずに声をかける。

 

「あのっ!!」

「「ん?」」

 

ようやく二人がこちらを向いた。

 

「この人、ここのお店の店長です。わたしはその、アルバイトで」

「あら、そうなの? それじゃあもっと犯罪じゃない」

「何かあったらしくて娘さんと奥さんに逃げられたらしくて」

「さらに何やってるんだいこの人」

 

店長縛っちゃまずいよねーと話す二人、そこに店の扉が開きオレンジの髪を縦ロールにしたツインテールの少女が入ってきた。

 

「どう、お父さん……。少しは反省した?」

「み、美春……!? ディア・マイ・エンジェル……!」

 

感動的な親子の再会? を眺めつつそれぞれがコメントする。

 

「えーと、あの子が娘さん?」

「そうなんですかね?」

「どうするんだい、この状況」

 

和やかに解散かなぁと思っていたが自体は急変した。

 

「ディア・マイ・ドウタァアアアアァ――ッ!!」

「またかぁぁぁぁっ」

 

キレた明久母の絶叫が響き渡った。

 

                    ★

 

その数分後、二人はカフェのテーブルに突っ伏していた。

 

「はぁぁぁぁ、疲れた」

「同じく、あの人なんなの? 動物用の麻酔銃効かないとか、あれ本当に人間なのかな?」

 

そこにカフェラテのカップを持った清水がやってきた。

 

「父がご迷惑をおかけしたようで申し訳ございません」

 

丁寧に謝罪をする清水を見て明久母の目が細くなる。

 

「まあいいわ。貴女ちょっといいかしら?」

「あ、はい?」

「単刀直入に言うわ、写真のデータよこしないさい」

「(いきなりだね)」

 

いい笑顔でそう言った。いきなりの展開に清水は目を白黒させる。

 

「は? 何のことですか?」

「あら、ネタは上がってるのよ。脅迫状送りつけたそうじゃない、今ならこの場でデータもらうだけでいいわよ」

「な、なんのことでしょう?」

 

とぼける清水だったが、

 

「クスクス」

「くっ」

 

明久母の余裕そうな表情を見て清水の精神的余裕はさらになくなっていく、ついに耐えられなくなった清水が口を開く。

 

「貴方達は何者なんですか。何時美春がSクラス全員に脅迫状を送りつけたのを知っているんです?!」

 

それを聞いた明久母が二マリと笑って反論する。ちなみに切嗣はクラス全員という単語に絶句していた。

 

「ん? 何者って保護者に決まってるじゃない。あんなもの送りつけておいて親が怒らないなんて思った? 大体貴女こんな騒動起こして無事なままだとでも思ってるの? やらかしたことが世間にばれたとしたら良くて停学、悪くて退学ね。脅迫も立派な犯罪よ? 子どものケンカに口出す主義では無いのだけど、それでもやり過ぎよ。何か目的があるのなら手段は選びなさい。手にはいるものも手に入らなくなるわ。それに、好きな人を追い詰めた人間を好きになる人間なんて居るのかしら? あたしだったら絶対に嫌だね」

「っ」

 

言葉に詰まる清水に明久母が人の悪い笑みを浮かべた。彼女の親友と彼女の旦那と息子が見たら口をそろえてこう言うだろう。「確実に悪だくみを考えている」と

 

「そういうこと、今は結構機嫌がいいから恋愛相談くらいは乗るわよ?」

 

明久母からしてみれば息子に危害さえなければどうでもいいわけで、この暴走少女の思い人の心配など全くもってしていなかった。

 

「むむむ」

 

悪魔のような囁きに清水が悩んでいるのを傍目に見ながら衛宮切嗣は考えた。

 

「(さて、暇になったなぁ)」

 

ここまであっさり片付くなんて考えてなかったしと思いながら出されたコーヒーに口を付けた。

 





脅迫事件がさらっと解決してしまった。多分この後、恋愛講座の代わりに写真のデータが渡されるんじゃないですか?

多分次回で閑話休題終了?


新連載……?ってことで「バカと冬木市と召喚戦争」やってます
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