生徒も教師も居なくなった職員室でかつてロビンフットと呼ばれた無名の青年はあんぐりと口を開けた。
「え、マジですか」
『ええ、写真の方もこっちで処分したわ』
自分が請け負っている特殊クラスへ最近入ってきた規格外お人好し少年の母親を名乗る人物がさらりとそう言った。脅迫事件が判明したのは今朝のこと、そんなすぐに解決するなんてありえないと思っていた。
「………(この人まじで何者?)」
『それでは失礼させていただくわ』
カチャと小さな音を立てて通話は終了した。
☆
「もうそろそろ帰る?」
「あ……そうしましょうか」
ショッピングモールで買い物を済ませた僕らは帰ることにした。
「それにしてもギャリーと安心院さん何処に行ったんだか」
「そうよねー」
途中で居なくなった保護者二人は一体何処に行ったんだろう?
「凪乃さん僕なんかと一緒に出掛けてたのしかった?」
「なんかって何よ」
「いや、僕は不細工だし、人に好かれる余地なんて微塵もないからさ」
昔からよくそう言われるんだよねー。と凪乃さんに言えば、凪乃さんは真剣な目で僕を見た。
「本気で言ってるの?」
「え?」
いや、何で?
「吉井はかっこいいわよ。人のために動こうってできる近代まれにみるお人好しだし、前だけ見てる感じとか特に素敵で………あ」
凪乃さんがうっかり言ってしまったと言わんばかりに口に手を当てる。今なんかすごいこと言われた気が………
「………え? ええ?!」
凪乃さんの言葉を反芻させて、ようやく理解した時には凪乃さんは既に踵を返していた。
「わたし帰るわね」
「ちょ、凪乃さん?!」
そのまま凪乃さんは全速力でどこかへ行ってしまった。
「えっと、どうしろと」
★
「で、俺に連絡と」
Aクラス秀才トリオの一角にして明久の親友でもある雄二が自室で呆れたように返した。パニックになった明久はその後すぐに雄二に連絡を入れたのだ。事の経緯を話された雄二にしてみればあー、そういうことかといった感じになった。
『うん、別にさ 慰めてくれなくてよかったのに、僕が人に好かれる余地もない馬鹿人間なのなんて当然の話でしょ?』
明久の返しに思わず絶句をする雄二、そう言って罵倒されている現場を見たことがあるため何も言えないわけだが色々と知った今では別の見え方もしていた。
「………いつもながらにお前のその思い込みというべきか自虐と言うべきか凄いな」
『? 何のことさ』
何処かの誰かは知らないがこいつに何かを刷り込もうとしたんだなと雄二は考える。実を言うところ刷り込みの主な原因は姉なわけだがそんなことは露知らず、この世界を『原作』という名の凝り固まった思考で見ている人間の仕業だと考えた。
「いや、なんでもねえよ。それで、どうしたいんだ?」
『うーん、せめて普段通りに接したいくらいなんだけど』
何だそんなことか、と雄二は思った。そんなことならこいつには一番簡単だろう。
「お前ならできる。絶対大丈夫だ。それよりも、メアリーとかへの弁明考えておけよ」
『は? とかって何? メアリーには説明というかお土産買ったしその辺のこともあるから話すつもりだったけど』
お、こいつも成長したなと感心する。前だったら弁明とか土産話とかでもなく普通に喋らずに終わってただろうし。
「メアリーの事は考えているなら上々、とりあえず大家や一緒に行ったっていう知り合いの誤解解いとけよ」
『あー、うん』
女子の思い込みって凄いからな。前回の覗き騒ぎの一件でそう改めて実感した雄二なのだった。
CCCゆるゆるプレイ中です。一応最初は赤セイバーでやってます。
甘くなるわけがなかったorz
一応、閑話休題終了です。