「じゃあ、俺達は一旦帰るぞ」
「おう、伏黒またな!」
五条ご一行、不時着から2時間後。伏黒恵は大蛇鵺を顕現させ、便利屋68を連れて一旦ゲヘナ自治区に戻ることとなった。というのも、恵がアビドス自治区にやって来たのは、授業になかなか出席せず、届け出を出さずに便利屋を営んでいたアル達の様子を見に来ただけであり、用事が済めば戻らなければならない。
しかし、実の両親がアビドスに居たこと、実弟が存在したこともあり、便利屋68と共にアビドスで有意義な数日間を過ごせたのは良かっただろう。
「アル、行くぞ」
「皆さん、またねー!!」
便利屋68もアビドス生徒会に別れを告げ、大蛇鵺は恵と便利屋68を乗せて大空に飛び上がる。そして高度をぐんぐんと上げていき、あっという間にゲヘナ自治区へと飛んでいった。
「先生、伏黒先生行っちゃいましたね」
「また会えるさ」
虎杖先生、アビドス生徒会は大蛇鵺が見えなくなるまで見送ったのであった。
「しかし、異世界ね……住んでいる人が天使のような輪っかがある女の子、動物の森の住民のような人達、そんでロボットね。はは、マジで受ける」
一方の五条ご一行。五条さん達は虎杖より長くキヴォトスでの在住歴が長い、先輩先生からこの世界の話を聞いていた。
1つ、この世界には基本的に人間はなんらかの理由で流れてきた人達しかいない。唯一、この世界で誕生した種族としての人間は伏黒夫妻の二男 伏黒恵次だけである。
2つ、この世界の住民は頭の上に天使の輪っか……ヘイローがある『生徒』と呼ばれる少女~女性だけの人種、そして動物の森に出てくるような住民、そしてロボットだけである。
3つ、この世界には呪力はなく代わりに神秘と呼ばれる物があるが、神秘に関しては先輩先生も良くわからない。
4つ、とにかく治安が悪い。コンビニで銃が普通に買える環境であり、何かが起きれば即銃撃戦が起こる。キヴォトスの住民は銃弾受けても「痛い」で済ませるほど身体が頑丈であり、大きな問題はない。
「つまり、このキヴォトスは平和に見えて、どうぶつの森とグラセフが混ざったような所か」
「そうですね、夏油さんのいう通りですね。生徒やキヴォトスの人達は銃弾を受けても平気ですが、俺達人間はそうでもないですからね……あっ、虎杖は別ですよ?」
虎杖先生や伏黒教官は呪物人間のこともあり、銃弾を受けてもピンピンしている。しかし、先輩先生は普通の人であり、銃弾を受ければ致命傷だ。人間は銃弾1つでも、辺りどころが悪ければ命に関わるのだ。
まあ、世の中には魔虚羅の適応で、キヴォトスに適応し、ただでさえ令和版宿儺体質として頑丈な肉体がキヴォトス仕様となった伏黒恵次という実例があるが、気にしてはいけない。
「しかし、此処は学校なのですよね?生徒は僅か7人という事は理解しました。しかし、教員は虎杖くんだけですか?」
「此処だけではなく、キヴォトス全体を含めて教員は少ないですね。私や虎杖のように『シャーレ』の先生になったり、伏黒のように学校の教官になったら別ですけど」
七海……いや親しみを込めてナナミンと呼ぼう。ナナミンの疑問も最もだ。
アビドス高等学校は虎杖がやってくるまで、教員は居なかった。これで教育機関が成り立つのだろうか?学校と生徒がピンチなのに、教育は今まで何をしていたのか?責任を果たさなければならない大人が教え子である生徒を置いて、なにをしてるのかと。
実はと言うと、キヴォトス全体から見ても先生や教員は珍しいのだ。キヴォトスでは教育BDでの勉強が主流だ。なので学校に職員は居るが、教員は珍しい。居てもシャーレから派遣された先輩先生や虎杖先生、そして実技の教官であるゲヘナ学園の伏黒教官位である。
「じゃあ、校長とかはいないの?」
元気一杯の灰原が問う。教員がほぼ居ないのなら、学校の長である校長は居ないのだろうか?
「いえ、校長は居ます。しかし、アビドス高等学校では随分前から校長が不在のようですけど」
先輩先生がタブレット『シッテムの箱』を操作して、教えてくれた。各学校には校長Or学園長がいる。しかし、アビドス高等学校では随分前から、借金を返せないと判断したのだろう……校長が夜逃げして不在なのだ。
「じゃあ、僕が成ろうか?ここの校長に」
そんな時だった。五条悟がアビドス高等学校の校長に立候補したのだ。
「悟?本気かい?」
「本気。悠仁はシャーレの仕事があるし、出張も多そう。
野薔薇は強くなったけど、実践不足だし……どちらかと言うと今はサポート向き。恵の弟は強いけど、荒削りだし学生だ……青い春を過ごしてもらいたい。
それに、僕……いや俺は宿儺との戦いで生き残ったら、夜蛾先生の後を継いで学長になるつもりだったしね」
虎杖先生はこれからもシャーレでの仕事で、アビドス高等学校を離れることが多くなる。アビドス高等学校の生徒達は皆優秀で少数精鋭の凄腕の集まり……だが、それでは特級に対処できない。恵次なら特級に対応できそうだが、五条曰く……荒削りの段階。
なら、虎杖先生が居なくても確実に生徒を守る人達が必要であり、五条は夜蛾学長の後を継いで呪術高専の学長になるつもりだったし、丁度良かっただろう。
「なら、私は悟のサポートをしようかな。他校の校長や学長と交渉が必要だろうしね」
夏油傑は五条先生……いや五条校長のサポートをしてくれる。キヴォトスの校長なら他校の校長=自治区の代表との話し合いも有るだろう。
「俺はここの体育の先生をしようかな!!」
灰原はここで体育の先生をしてくれる。元々、術式無しでナナミンの隣に立ち続けた男だ。体術や基礎戦闘は非常に高いだろう。
「私は教員には成りません。サービス残業はお断りですね。
しかし、責任有る大人が子供を見捨ててはいけません。事務職員に成りましょう」
ナナミン、アビドス高等学校の事務職員に立候補。他校では教員ではない職員が当たり前であり、別に良いだろう。
「貴様が黒服が派遣した呪術師か。名前は?」
「禪院扇だ」
カイザー理事、まだアビドスを諦めておらず宣戦布告の準備を行っていた。
カイザー理事は黒服からゲマトリアに所属している、呪術師を紹介してもらった。
その呪術師は禪院扇。呪術廻戦で3番目に強い炎の使い手であり、特別一級呪術師である。しかも、ゲマトリアの手で強化サイボーグ手術を受けており、パワーアップしている。
「決行は虎杖悠仁がアビドスを離れ、シャーレに戻った隙を狙う。報告などで何処かで一旦戻るはずだ、そのときに仕掛ける!」
「ほう、呪力の無い猿の次男か……良いだろう。この猿の子供、学友は私が殺そう」
カイザー理事からアビドス生徒会の資料を受け取り、扇は笑みを浮かべる。
「禪院家に有らずは呪術師に有らず、呪術師に有らずんば人に有らず。禪院家最強の炎を見せてやろう」
嘘は言っていない扇さんである。だが、扇とカイザー理事は知らない……負ければギャグキャラ堕ちである。
扇さんどうなるの?
十種影法術の極ノ番(真)を喰らいます(笑)
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