「うわ……書類溜まってるな」
虎杖悠仁はシャーレに一時的に戻り、大きな溜め息を吐き出した。このキヴォトスは数年前から人間が徐々に増えてきているが、シャーレで働く大人は現時点では虎杖と先輩先生の2人だけ。
五条校長ご一行と野薔薇はアビドス高等学校、恵はゲヘナ学園とそれぞれ選任の場所がある。虎杖先生と先輩先生は有事の際は、キヴォトス中を飛び回り問題解決に奔走しなければならない。
虎杖の個人的な気持ちでは、アビドス高等学校に肩入れしたい。だが、それはシャーレの先生という肩書きがなかなか許してないのだ。
大きな溜め息を吐き出し、書類の処理に取りかかる虎杖。早く終わらせて、とっととアビドス高等学校に戻ろう。そう思った瞬間、この世界に来てから使いだしたスマホが鳴り響いた。何事かと思い、虎杖は画面を見る。
「釘崎から?もしもし、どうした?」
画面には『釘崎野薔薇』と映されており、どうやら野薔薇から着信が有ったようだ。虎杖は画面をタップして、通話に出る。
『虎杖!!今すぐ戻ってこい!!カイザーPMCってやつらがアビドスに戦争を仕掛けてきた!!』
「ふぁい!?カイザー理事が戦争を仕掛けてきた!?」
カイザーPMC……アビドス周辺を手に入れるため、アビドス高等学校に宣戦布告!!アビドスに眠る遺産を手にするため、遂に強硬手段に出たのだ。知らせを受けた虎杖は直ぐに様、窓から飛び下りて最短距離でアビドス自治区を目指す。いくら最強の恩師である、五条校長が居るとはいえ、生徒達が心配だ。
だが、虎杖が戦争に間に合うことはなかった。アビドス砂漠で一人の呪術師から足止めを喰らうためである。
「やあ、悠仁。元気そうだね、お母さんは嬉しいよ!ますます宿儺に似たね!宿儺もシャム双生児じゃなかったら、こうなってたか!」
頭に縫い目があり、ピンク色の髪をした妙齢の女性。天使のような翼を生やしており、頭部には縫い目が存在していたのだ。
「羂索!!」
「やだな、お母さんと呼んでくれよ。ちょっと、スポンサーに君の足止めを頼まれてね」
その瞬間、隕石の雨が降り注ぐ。これは目の前の女性が今の肉体を得てから習得した力である。
「大きくなったわね(ねっとり)まさか、君が宿儺を倒すとは驚きだ。子は父を超えるのかな?呪術的に見れば、宿儺は君の父親だしね」
アビドス自治区。
ゲマトリアから派遣された特別一級呪術師 禪院扇は腰に刀……呪具は手に入らなかったので、キヴォトスでゲットした高周波ブレードの刀を携え、大勢の兵隊と戦車を引き連れて進軍していた。突如のカイザーグループの侵略に、アビドス自治区はパニックになり、戦車の砲撃で町は壊されていく。
「ふん。やつらはまだ現れんか」
では、ここで禪院扇さんがどれほど凄い人なのか説明しよう。
呪術師の階級には意味がある。呪術師の等級は特級を除き、同じ等級の呪霊を確実に祓えると判断されているのだ。先ずは四級、これは経験無しの民間人から色々あって呪術師になった人、ちょっと経験を積んで出世した三級、この2つは単独での任務は与えられずお給料も低い。続いて二級、ここから単独での任務も与えられお給料が増える……しかし、多くの呪術師は二級で頭打ちとなり、それ以上は上澄み中の上澄みのエリートなのだ。
禪院扇の等級は特別一級。上澄みのエリートであり、一級呪霊すら単独で祓うことが出来、並みの特級呪霊さえも倒すことが出来る可能性が高い。
『恵次先輩!本当に一人で良いんですか!?』
「うん。俺、五条校長や虎杖先生と違って領域使ったら皆に当てちゃうから」
そんな軍勢の前にはただ一人の少年が立ち塞がる。その少年は伏黒恵次、鬼神 伏黒甚爾の次男であり……シャーレより特級認定された呪術師である。
恵次はオペレーターであるアヤネに1人で大丈夫だと告げ、1人で歩く。
「来たか、出来損ないの猿の子供よ」
禪院扇は禪院家でもトップレベルの実力者、故に余裕な表情を浮かべる。
だが、禪院扇達は既に判断を間違えた。カイザーPMCが仕掛けるとしたら、闇討ちするべきだった。闇討ちという卑怯な戦法だが、それでアビドス高等学校のメンバーを戦闘不能にするべきだったのだ。
「オシリス。超電導サンダーフォース!!」
恵次の影が広がり、影からオシリスが降臨する。そしてオシリスが口を広げ、電撃のブレスを解き放ち……圧倒的破壊力で戦車の軍勢を粉砕し、兵士達を戦闘不能に追い込む。えっ?死んでないかって?キヴォトスじゃ当たり前だから多分、大丈夫。
「グルルゥゥオオ!!」
「話には聞いていた。現代解釈された十種影法術か……だが、使うものが未熟なら宝の持ち腐れよ!」
まだ余裕な表情を浮かべる扇さん。流石は特別一級呪術師の貫禄であり、禪院家最強の炎の使い手である。しかし、流石のオシリスにはビックリしたのか、刀を構え、抜刀術を繰り出そうとする。
「玉犬渾」
「犬風情が、我が太刀筋の前には無力よ!!」
続いて、玉犬渾を繰り出した恵次。しかし、その玉犬渾は今回……
ガチャリ
「ワン」
マシンガンを構えていたのだ。なに、キヴォトスでは良く有ることである。
「ぬぅっおおおお!?」
ダダダダァダ!!放たれるマシンガンの連続射撃。それを秘術 落下の情を組み合わせた抜刀術でなんとかやり過ごす扇さん。しかし、高周波ブレードに亀裂が走る!!
「うーん、これじゃダメか。しょうがない……使うか。ふるべゆらゆら」
直ぐに終わる詠唱、それが終わると恵次の影から白き巨人(アビドス生徒会はマスコットと思ってる)魔虚羅が降臨する。
「自爆か……愚かなり!!」
『いえ、恵次様は呪術的に、十種影法術のみ単独での調伏に成功しています』
「ありえん!!魔虚羅の調伏に成功したものは居ないのだ!!」
これには扇さんはビックリ。と言うのも扇さんは色々あって、死滅回遊最初期に死んでるので、魔虚羅調伏のケースを知らないのだ。
「俺の十種影法術は現代解釈により、破壊された式神の再顕現、破壊されていない式神同士の渾……融合と分離が可能。融合で新しい式神を産み出すことも出来る。
そして十種影法術の極ノ番の解除方法は、十種影法術の縛りである十種影法術のみで魔虚羅の単独調伏である」
術式の開示、多くの呪術師が手軽な縛りとしている物だ。自身の術式の情報を開示することで、パワーアップできる。
「極ノ番は神降ろし。文字通り、神……魔虚羅と融合することが出来る。じゃあ、俺と魔虚羅を融合する!!」
極ノ番 神降ろし発動!!
その瞬間……魔虚羅と恵次が眩い光に包まれ、融合する。光がやむと、そこには魔虚羅を模した強化外骨格を纏い、背中から純白の翼を生やした恵次が立っていたのだ。
神降ろし……本来の意味は神を身体に降ろす降霊術であり、神との融合を意味するのだ。つまり、今の恵次は現人神と言えるだろう。
「じゃあ、始めようか。一応、親戚の大伯父さん」
影から1本の片刃の大剣を取り出した恵次。その大剣は特級神器 アマノハバキリ……簡単に言えば日本版エクスクリバーである。
「来るが良い!!出来損ないの猿の息子よ!!
骨の髄まで燃やし尽くしてやるわ!!」
その瞬間……
『恵次様。相手の力に適応しました。振動、炎、適応完了コピー完了です』
扇さん、高周波ブレードの振動+炎の術式を秒で解析されて適応される。
「こい!!出来損な」
扇さん、反応すら出来ずにアマノハバキリで両断(黒閃付与)され、生体部分の頭部は無事だが……おもいっきり投げられて彼方に消えた。
禪院扇さん、ギャグキャラ堕ち決定。
「さあ、大将同士でやろうか。領域
カイザー理事、五条校長にボコボコにされ全細胞に情報を流し込まれてオーバーキル。
扇さんと一緒にギャグキャラ堕ちである。
「ふふ、君にお腹を蹴られるなんて、君が胎児だった頃以来だね」
「そこをどけ!!」
「それと悠仁。お母さんから警告だよ……禪院恵次、砂狼シロコ、君で言う先輩先生を護りなさい。良いね、警告したよ」
羂索はそう告げて、消えた。
羂索ママン、どこに所属なのやら(笑)
もし、コラボするなら?
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