アビドス砂漠。そこでは大規模な部隊が展開されており、なにやら発掘作業が行われていました。このアビドスの地下深くには大昔からの遺物があるとのことで、アビドス高等学校に多額の借金を背負わせ、月々の利息+返済額で地獄を見せて青春を奪い取ろうとしている主犯 カイザーコーポレーションのPMC……つまり民間軍事会社の理事であるカイザー理事が部下達に発掘作業を行わせていたのだ。
「理事。まだ例の物は見つかりません」
「早くしろ。有事の際に備えて、デカグラマトン対策の部隊がここに居るのだからな」
カイザー理事が言ったデカグラマトン……これらの遺産のためだけにアビドス高等学校は汚い大人の事情で潰されようとしていたのだ。
「黒服よ……支援感謝する」
「いえいえ。当然ですよ、カイザー理事」
カイザー理事の隣には黒い服を纏った顔も黒い謎の人物、通称 黒服が立っている。黒服の目的は不明だが、カイザー理事を支援しており、目的の一部は共通しているのだろう。
「おじゃましまーす」
と、その時だった。堂々と、虎杖先生が現場にやって来たのだ。
「おやおや、貴方がシャーレの先生でしたか。神秘の解明のために、生徒達の拉致を未然に防いだ手腕はお見事でした。まさか、神秘から完全に脱却した鬼神、伏黒甚爾以外で厄介な存在が居るとは。
ご安心を、先生。私は貴方の味方で有りたいのですよ」
そんな虎杖を見て、黒服は手を叩いて虎杖を歓迎する。
(生徒の拉致?どういうことだ?そういや、ホシノが言ってたが……この黒服はホシノを交渉して実験台にする予定だったんだよな。潰すか)
「俺を知ってるのか?」
「ええ、外界……キヴォトスの外から来た貴方は我々の良く知る先生とは違うようですが」
「へー、ところで生徒達は良い子だけど、何かあったの?」
「ええ、警告ですよ。先生、生徒達を守るのはよくありません。大人しくしておいてください、我々は理不尽で貴方を何時でも潰すことが出来る。なにも、力のない貴方をね」
黒服がそう告げ、クッククとカイザー理事が笑う。
「彼の言う通りだ。滅びが決まったアビドスの生徒達を守ってなにになる?
それより、名誉と富のために友好的な話をしないかな?」
その瞬間……空気が破裂するような音と共に虎杖先生の姿が消えた。
「「へ?」」
「下手に出たのが間違いだったか。わかった、じゃあ……俺も理不尽でお前達を潰すよ」
黒服とカイザー理事が振り向いた瞬間、虎杖先生の拳が黒服の顔面に迫りつつある。避けるのは不可能であり、ライフル弾より速く迫る。
しかし、人はピンチのとき、時をゆっくりと感じやすいのだろう。バイクや自転車で交通事故を起こし、飛んだときにゆっくりと周りの景色がスローモーションに感じたと言った人々も居る。今、正に黒服はそれを経験していたのだ。
「まっ……ビィィィギャァァァァァァア!!」
虎杖先生のマジストレートが黒服の顔面に炸裂、黒い火花が散った。黒閃の発動であり、うん百tの衝撃が黒服の顔面に絶大なダメージを与え、黒服は錐揉み回転で盛大に吹き飛んだ。
「お前は……何者だ?」
カイザー理事は困惑した。そして同時に理解した、目の前の男がカタカタヘルメット団の証言である『素手で戦車を破壊する男』『弾丸より強いパンチを使う男』『砲撃を裏拳で弾く男』だと。
「俺か。先生だ」
「それは分かってる……そうではない……」
カイザー理事は虎杖から距離を放し、安全な場所に対比しようとする。部下もカイザー理事を守るように立ちはだかり、銃口、ヘリの大口径マシンガンやミサイル、戦車の主砲を虎杖に向ける。少しでも虎杖が動けば、問答無用に射殺するつもりだ。
「じゃあ……言ってやる。俺は虎杖悠仁」
「史上最強の呪術師の甥であり、その史上最強を祓った者。そして、現代最強を受け継いだ呪術師だ」
虎杖が1歩踏み出す。その瞬間、カイザー理事の言葉で数多の攻撃が虎杖先生向けて降り注ぐ。
「赤燐躍動」
そう告げた瞬間、虎杖先生の鼻の上に赤い線が入る。
赤燐躍動、体内の血液を操作することで身体能力を何倍にも上昇させるパワーアップ技であり、ただでさえフィジカルオバケの虎杖先生がそれを使うと、誰にも止められない。
虎杖先生が地面を蹴って…余りの衝撃に砂煙が大きく立ち上ぼり、カイザー理事達の背後から爆発の音が響く。
「なんだ!?」
黒い閃光が次々とヘリを襲い、軍用ヘリは破壊されていく、また1つ、1つ、2つ、3つと黒い閃光と共に軍用ヘリは地に落ちていく。
「あっ…………あっ……なんなのだ……なんなのだ!?これは!?」
余りにも速すぎる動き、最早……瞬間移動だと言われても納得してしまう速度で虎杖先生は空を大地を駆け抜け、連続で黒閃を発動していき、全てのヘリを破壊した。
そして次の標的は戦車である。
「ありえない……我々、ゲマトリアが確保した呪術師より化物染みている…………こんな……こんな存在が居るなんて」
頑丈なのか、立ち上がった黒服がそう告げる。だが、黒閃マジストレートを受けた右ほほは物凄く腫れている。
戦車からも黒い閃光が解き放たれ、既存の手持ち武器全てを凌駕する衝撃で戦車が粉砕される。
「ふざけるな……くっくるな!!」
1人の兵士の顔が虎杖先生に掴まれ、虎杖先生はその兵士を兵士の軍勢に向けて思いっきり投げる。その瞬間、その軍勢は瞬く間に粉砕された。
「難しいな……殺さないってやるのは」
高速移動をとめ、ゆっくりと歩く虎杖先生。
「くっ……化物がぁぁあ!!」
兵士が装甲車で虎杖先生に突っ込むが、虎杖先生は軽々と片手で装甲車を止めてしまう。どんなにアクセルを思いっきり踏んでも、装甲車は前に進めない。
「捌」
その瞬間、ブンブンチョッパー(紐を引っ張るだけで微塵切り出来る便利グッズ)のような音が鳴り、装甲車は微塵切りにされてしまった。
「こんなの……こんなの……どうしろってんだよ!!」
「射て!!良いから射つんだ!」
「解」
兵士達の銃にハサミの切り取り線が一瞬入り、銃は両断されてしまった。
そして再び虎杖先生は大地を蹴り、圧倒的な速度で消える。すると、全ての兵士達は意識を手放したように動けなくなり、全員がノックアウトに成ってしまった。
「化物め……」
カイザー理事がそう告げたとき、虎杖は瓦礫の山に降り立つ。
「おい、今際の際だぞ」
その刹那、カイザー理事の意識は遠い世界に誘われた。
「うう……」
カイザー理事は目を覚ました。そこは……裁判所であった。
「これより、裁判を始める」
此処は日車の領域展開 註伏贈死。ざっくり言うと、刑事裁判を行い、相手にペナルティーを与えることが出来るのだ。
「裁判だと!?」
「日本では銃刀法違反だが、此処はキヴォトスだから銃器と一部の器物損害を除いた、銃刀法と器物損害は無しだ。
だが、被告人 カイザー理事。被告人には、詐欺罪の容疑がかかっている」
「詐欺罪だと?なんの話だ」
書類上では不備がない。だが、それはあくまでも書類上での話である。日車の式神、ジャッジマンは全ての証拠を持つ。
「数十年前に起きた、アビドス砂漠での古代兵器 デカグラマトン ビナーの活動を受けて発生した砂嵐。デカグラマトンビナー及び、その周囲の遺産を手にするため、当時のアビドス生徒会を悪質な自社ローン契約し、法外的な利子で借金を意味なく増大させた罪。
更に、カタカタヘルメット団を雇い、アビドス高等学校に危害を加えた罪、カタカタヘルメット団を雇い……黒見セリカを誘拐しようとした罪がある」
日車が罪状を告げていき、カイザー理事の罪状が明らかになる。
「えっ!?私、誘拐されかけたの!?」
「なお、その際……伏黒甚爾と虎杖悠仁の手で、カタカタヘルメット団がカイザーコーポレーションから支給された車両を全て破壊したことで、未遂に終わったようだ」
まだまだ余罪が出てくる。
「更に、アビドス掌握の法律上の障害だったアビドス生徒会を崩壊させるため、生徒会長であった梔子ユメを封殺しようとした容疑もある」
その瞬間、ホシノの気配が変わり……ホシノはショットガンを構え、カイザー理事を射とうとする。だが、引き金が引けない。
「あっあれ……引き金が」
「小鳥遊。この領域では全ての攻撃行為は禁止されている」
「じゃあ……弁護士さん!!コイツを死刑にしてよ!!コイツらの欲望で……昔の遺産目当てに、街はボロボロにされたんだよ!!ユメ先輩だってコイツらさえ居なかったら!!殺してよ……殺してよ!!」
『証人 小鳥遊ホシノ。静粛に』
式神 ジャッジマンが告げる。
『梔子ユメは死んでいない。彼女は別世界……虎杖悠仁の元居た世界に流れ着いている』
「ユメ先輩……生きてるの?」
『証人 魔虚羅』
『こちらです』
恵次の魔虚羅がパソコンを持ってきて、ホシノはもちろん、虎杖達に画面を見せる。そこでは……
『野薔薇先生!ここはどうなんです?』
『あー、ちょっと待って。私も植物人間から甦ったばかりで、現状飲み込めてないの。生得領域に数年も引きこもってたし……』
若草色の髪をした爆乳の少女が、若い女性と共に勉強していた。
その若い女性は間違いなく、虎杖と恵の同級生であり数少ない女子生徒……渋谷で植物人間と成った釘崎野薔薇であった。
野薔薇(22歳)はロングヘアーの巨乳美女に成っており、無為天変を受けて死後直ぐに新田くんの術式処理を受けたこともあって植物人間になり、数年間……目覚めるまで生得領域で向き合っていたのだろう。魂を知覚出来るようになり、何らかの方法で魂を修復したのだろう。無為天変で飛んだお目めが治っている。
『てか、五条先生が死んで、乙骨先輩が五条先生の身体を使ったって、どういうことよ!!
伏黒が宿儺に成って、虎杖が殺して、その虎杖が特級呪術師ではみ出し者に成ったってどういうこと!?しかも虎杖が先日から行方不明!?なんで行方不明になって、メディアは喜んでるのよ!!反旗を起こされたら日本や国が滅ぶから?核兵器より危険な存在だから?アイツがどんなヤツなのか知らずに判断するんじゃねぇ!!
てか、呪術って秘匿されるんじゃなかった!?』
釘崎野薔薇(22歳)、一般知識は高1から成長していないので、浦島太郎のような気分を受けていた。
「「釘崎ぃぃい!!目、覚めたんかーーい!!」」
「静粛に。それでは被告人に罪状を言い渡す。罪状、詐欺罪及び誘拐未遂、及び殺人未遂。よって過払い金5億、賠償金8億、及びアビドス自治区から奪った土地の返還、数十年前のデカグラマトン ビナーが引き起こした砂嵐の時以降の貸し付けの無効、そして私財の凍結、アビドス自治区からの完全撤退を命じる。
拒否するなら死刑を命じる」
これにより、アビドス高等学校の借金は9億から5000万に減らされ、過払い金5億+賠償金8億=13億を貰い受け、カイザー理事は私財を凍結されたのだった。
「バカな!?」
「では閉会する。それと、残りの借金は賠償金から支払うことなる。ジャッジマン」
『手続きは完了しました』
おめでとう!アビドス自治区の借金は無くなった+払いすぎた過払い金が戻ってきた!!
「五条さん、夏油さん。これ、沖縄行きですよね?」
「だよね、なんで北に向かってるの?」
北へようこそ、五条ご一行。
カイザー理事「宣戦布告じゃぁぁあ!!納得出来るか!!虎杖は無視!!生徒を狙え!!全軍、突撃ぃい!!」
↑2週間後、こうなるもよう。
次回から少しの日常が続くよ。釘崎とユメ先輩来たり、砂漠に飛行機墜落したり、水族館行ったり。
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