世界総人口の約八割が個性と呼ばれる特異体質を持つ……etc…
まぁ、きっと聞き飽きたであろう。
生前嫌という程見聞きしたヒロアカの二次創作。
まさか、自分がそれを体験するとは夢にも思わなかった。
基本死と隣り合わせな殺伐とした世界、日本の崩壊が約束されたこの世界。
しかし、この世界はあまりにもヒーローが救われない。
前世はただの一般人、今世はプロヒーロー…この世界をひたすらに平和な、あるヒーローが言ったように……笑っちまうくらいにヒーローが暇を持て余しちまうとびっきり平和な未来にする為に、俺は立ち上がる事を誓った。
さて、そんな決意を胸に俺は自身の引き起こしたであろう大きな原作ブレイクに頭を抱えていた。
現在
いや、何故だ。
原作より主人公を強化してしまえばトゥルーエンド間違いなし!!なんて楽観思考だった転生して間も無き日の自分を殴ってやりたい。
出久と出会って弟子にしたのは出久が中学一年の頃だった。
最初は出久を鍛えて強くすればそれだけONE FOR ALLの習得が早まるのではないかと思っていたんだが…
オールマイトとの出会いを早めてしまった。
「出久……お前、それ……」
「え?あ、こ、これは!!えっと、実は最近個性が発現しまして……!!、そ、その!珍しい遅咲きの個性だって!!!!」
めっちゃ焦ってる。
まぁ、No.1ヒーローであり、平和の象徴と謳われるオールマイトの謎多き個性を
けど、事情を知ってるとはいえ、ちょっと凹むなぁ。
とはいえ、出久の師匠として何も知らないでは居られない。
ここまで来たらとことんまで鍛えてるつもりだ。
「出久、その個性についてどの程度把握してる?」
「え?あ、はい、この個性は増強系で、超パワーみたいなあれなんですけど……」
「ほう、どの程度のパワーが出せるんだ?」
「はい!遅咲きの個性なんで、まだ自分の身体に合ってないんですけど……」
出久の説明によるとこうだ。
100%の力で個性を使うと途端に腕がバキバキになる程のパワー。
現在は力を出力を3%、身体の許容限界は13%と……中三の夏でこれだけ仕上がっていれば上出来だろうに……。
「その制御状態を『フルカウル』って呼んでるのか」
「はい!」
「なら、受験までの期間は個性伸ばしと身体作りをメインに特訓するぞ」
▷▶︎▷▶︎
雄英高校入試当日。
まさか、無個性で泣き虫な僕がこのヒーローの登竜門と呼ばれる雄英の入試会場に両足で立つことが出来るとは思いもしなかった。
3年前師匠と出会い鍛えてもらい、2年前にオールマイトと出会い個性を継承した。
憧れの存在の後継としてのプレッシャーで痛い目を見たりもしたが、2人の師のおかげで少しずつだが個性を使いこなせるようになっていた。
そして今日、僕は憧れの1歩を踏み出す。
『今日は俺のライヴにようこそー!!!!』
『エヴィバディセイヘイ!!!!』
「「「「「………」」」」」
「わぁ!かっちゃん!プレゼント・マイクだよ!見て」
「黙れ、コロすぞ」
怒られてしまった。
幼なじみの
しかし、1年ほど前のヘドロ事件をきっかけに驚くほど僕に突っかかって来ることは無くなった。
『入試要項通り!!十分間の「模擬市街地演習」を行ってもらうぜ!持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!!』
『演習場には仮想敵を三種・多数配置してあり、それぞれの「攻略難易度」に応じてポイントを設けてある!!』
『各々なりの個性で仮想敵を行動不能にし、ポイントを稼ぐのが君達の目的だ!!』
『もちろん他人への攻撃等、アンチヒーローな行為はご法度だぜ!?』
その後は前の席に座っていた眼鏡の怖い人がプレゼント・マイクへの質問をして幕を閉じた。
僕はプレゼント・マイクに出会えた感動に興奮しブツブツと自分の世界に浸っていた所怒られてしまった。
『俺からは以上だ!最後にリスナーへ我が校校訓をプレゼントしよう』
『かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!「真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者」と!!Plus ultra!!それでは皆良い受難を!!』
僕は感じたことの無い高揚感に昂る心臓を抑え実技試験の会場に足を運ぶのだった。
▷▶︎▷▶︎
広い!!!!
案内された会場は校内に設けられた1つの街だった。
この中に無数のロボが徘徊しており、それを破壊しより多くのポイントを取ったものが晴れて雄英生になる事が許される。
『ハイ!スタート!!』
「え……?」
「「「「「は……?」」」」」
プレゼントマイクの突然の開始の言葉に受験生達は唖然としていた。
『どうしたぁ!?実践じゃカウントダウンなんざねぇんだよ!!走れ走れぇ!!賽は投げられてんぞ!!?』
僕は遅れて会場入口に振り向くと他の受験生達はいち早くスタートを決めていた。
「やばい!出遅れたっ!!」
「よし…落ち着いて…OFA…フルカ…」
『標的補足!!ブッ殺ス!!』
1P仮想敵が会場のビルのひとつから壁を突破って現れる。
あまりの荒々しさに驚きつつ思ったより冷静な自分に驚いた。
今までならばビビって動けなくなっていたであろう事実に思わず笑みが零れる。
「OFA…フルカウル…5%…!!SMASH!!!!!!」
オールマイトの放つ100%に遠く及ばない威力、されど平和の象徴たらしめるその個性の力の一旦は仮想敵を無慈悲に破壊した。
「やっと立てた…スタートラインに!!!!」
僕は仮想敵の残骸を背に拳を握りその場を駆け出したのだった。