完全見切り発車ですが、それでもよければどうぞ。
回帰
..........”私”という存在が崩れていく
視界から明るさが消え、暗く冷たい場所へと身体が引き摺り込まれる様な感覚...だが不思議と心は穏やかだった
「.........」
声は出せない、それでも私は彼女達の名前を呼びかける
捻れてしまった世界の所為で、必要のない責任を負わせてしまい、苦しむ事となってしまった少女
本来責任を取るべき大人…私があんな状態になった後も、私を信じてついて来てくれた少女
彼女達は助かったのだろうか?
......いや、きっと大丈夫だろう
”あの私”に伝えたい事は伝えられた
ならば”あの私”なら必ず応えてくれる、何があろうと乗り越えてくれる
......意識が徐々に薄れていくのがわかる。
私はその感覚に身を委ねながら、最後に見た彼女達の姿を思い返していた
ああ、最後に彼女達が笑っている姿が見たかったな
そんな些細な願いを胸に抱きながら
”私”は意識を手放した。
................懐かしい感覚がする
体を撫でるような乾いた風、背中を照らし続ける日差し、顔は何かサラサラとした粒に埋もれている。
自分は一体何処にいるのだろう。
周りを見渡したいが、全身に力が入らず起き上がる事ができない。
そもそも”まともな感覚がある”という時点で私としては不思議なのだが.....夢でも見ているのだろうか?
そんな事を考えていると、不意に何かが近づいてくる音が私の耳に聞こえてきた。
これは...タイヤが回る音、おそらく自転車だろう。
その音の主は倒れている私に気付いたのかすぐ傍で立ち止まったようだ。
何か声をかけてくれているのはわかるが、どうも意識がぼんやりとしている為か上手く聞き取る事ができない。
流石にこのまま放置されるのはいくら夢であろうと厳しいものがある。
私は言う事を聞かない体を無理矢理動かし、顔を上げた。
..........夢だ、これは....夢のはずだ...
そこには私がよく知る少女が
最後まで、伝えなければならない言葉を伝えられないまま別れてしまった少女が
砂狼シロコが心配した様子で私を見つめていた。
「あの、大丈夫?」
「..............シロコ」
「え?」
先程まで動かなかった体が突然自由を取り戻し、そのまま立ち上がった私はフラフラとシロコに近づいていく。
「えっと、誰?」
「シロコ」
容姿、声、どれをとっても全てが私の記憶の中の彼女と同じで、私の目からは自然と涙が溢れていた。
「シロコ!」
「!?!?!?!?」
そして感極まった私は思わず目の前のシロコを抱きしめていた。
喜び、驚き、悲しみ、後悔、様々な思いが胸の中から押し寄せて止まらない。
「シロコ....!私は.........ゴハっ!!!」
そんな中、腹部に衝撃が走ったかと思えば唐突な浮遊感に襲われた。
そのまま背中から勢いよく地面へ叩きつけられた私は再び意識を手放した。