前回で100話を超えました。
まさかここまで書けるとは思っておらず、自分でも少しびっくりしています。
今後の展開を考えるのに少し時間がかかってしまうかもしれませんが、何とか完走できるように頑張りたいと思います。
久しぶりにシロコたちと過ごした午前中、色々と話をし終えたアビドスを発った私はヒフミ達の待つトリニティの合宿所へと急いで向かっていた。
時刻は既に昼過ぎ....誤解を生んでしまった私が原因ではあるが、予想外にアビドス滞在に時間がかかってしまった為かなり今日の予定がズレてしまっている。
(ヒフミ達は大丈夫かな...)
そんな思いを抱えながらようやく到着した建物前。
「ヒフミ?」
玄関を開け中にいるはずの彼女に声をかけるが、何も反応が無い。
奥に進み彼女達がいるであろういくつかの部屋を見て回るが、それでも四人は見つからなかった。
「───、」
「──」
疑問に思う私だったが、不意に外から小さく声が聞こえてくるのがわかり誘われるがままに再度外へと出る。
すると...
「ターゲット捕捉、素早く残りの汚れの除去に向かう」
「あ、アズサちゃんあまり走ったら危ないですよ!」
「うふふ、どんどん濡れていきますね〜♡」
「ちょ、ちょっと!こっちにもかかっちゃうでしょ!」
視界の先にあったのは大きなプール。
そこで水着に着替えて掃除を行なっている四人の姿があった。
「あ、先生!お帰りなさい!」
私が何となく四人を見つめていると、帰ってきたことに気がついたヒフミが手を振りながら声をかけてきた。
「ただいま、ごめんね急に出て行っちゃって」
「いえ!私達も先生が出て行った後に掃除をしていたので大丈夫です。これから勉強するなら綺麗な空間の方が良いですから」
「建物の中は完璧に磨き上げた、ついでにトラップも仕掛けたから防犯面も問題ない」
「はい、本当に綺麗で...え、あ、アズサちゃんいつの間にそんな事を!?」
私は彼女の発言に内心ひやっとしたが、特に何事もなかったので良しとしよう。
(それにしても....)
私は改めて掃除をしている彼女達を見ながら、その光景に目を細める。
あの時の同じ様にピカピカとなったプールにどこか懐かしい気持ちになり、無意識に笑みを浮かべてしまった。
「何笑ってるの!ま、まさか私達を見て....エッチなのは駄目!」
「あら、先生ったら意外と大胆なんですね?堂々とその目に焼き付けるだなんて♪」
「え、い、いや誤解だよ!?そういうわけじゃ無くて...!」
「あはは...と、とりあえずプール掃除も終わりましたし、先生も帰ってきたので部屋に戻りましょうか」
そう言ってプールから出ようとするヒフミに、彼女に続き道具を片付け始める三人。
「.....」
四人を見ていた私はふとある事を考えていた。
かつてはプール掃除をしただけで終わってしまった筈、その時の彼女達も少し残念そうにしていたのを覚えている。
「....皆、少し提案があるんだけど」
「「「「?」」」」
「アズサちゃん隙だらけですよ!」
「む、油断した。だがこれでお返しだ」
「い、意外と深いのね...ぶっ!い、いきなり顔はなしでしょ!」
「やっぱり気持ち良いですね〜♪」
太陽から眩しい光が差し込む中、外では楽しげな声が響いていた。
――――――――――――――――――――
「今日はプールで遊ぼうか」
「え!良いんですか!?だって勉強が....」
「確かに勉強も大事だけど、あんまり張り切りすぎてもよく無いからね。皆掃除を頑張ってたみたいだし、今日は初日だから楽しんじゃおう」
「ええ...それで良いの?先生なのに?」
「コハルちゃん、先生の言うことも一理あるかもしれませんよ。人間楽しみがないと頑張れないものです、今日くらいは思い切り遊びましょう♪」
「確かにその方が効率が良いかもしれない、了解した」
「そうですね...折角綺麗にしましたし、皆で遊びましょう!」
――――――――――――――――――――
そんなやり取りがあったのが数時間前。
今では水を張ったプールの中、彼女達は水鉄砲での勝負を行なっている様だ。
私はプールサイドに置いてあった椅子に腰掛けながら四人が楽しむ姿を見守っていた。
〈先生というのは良い身分の様ですね、勉強もせずに水着姿の女の子を観察ですか〉
「だから違うからね!?」
『提案、私もプールに入ってみたいです。二人分の水着もお願いします』
〈いや、どうして私も入る事になってるんですか?私は別にどうでもいいんですが...〉
耳元から聞こえてくるアロナとケイの声に小さく答えながら考える。
流石にシッテムの箱ごと水に浮かべる訳にもいかない、一応データを用意すればいけるかもしれない...今度試してみよう。
「先生〜?」
そうしているうちに、遠くの方からハナコの声が聞こえてきた。
「先生もいかがですか〜?」
「え?」
「今朝から忙しくしていたんですよね?先生の方こそ楽しんだ方が良いと思いますよ」
ニコニコと笑いながらそんな提案をしてくるハナコ、それに乗るようにヒフミ達も口を開き出した。
「可愛い可愛い生徒のお願いですよ〜」
「ふふ....そうですね、先生も一緒に遊びましょう!」
「え、でも先生水着ないわよね」
「服を着たまま水に入るのも良い訓練になる、前に何度かそういう訓練をしたから手解きは任せて欲しい」
まさかの誘いに少しばかり困惑してしまった私は何となくシッテム箱に視線を落としてしまう。
〈...まあ、問題がなければ行ってくれば良いのでは?ただし怪我だけは気をつけてくださいよ、貴方が動けなければ私達も同じなんですから〉
『私達は見てますので、ただ代わりにシャーレに戻ったらプールの用意をお願いします』
二人揃って肯定意見が飛び出し、私は苦笑いを浮かべてしまった。
(皆とのプールか....)
これは以前の私には無かった経験だ。
こうして悩んでいる間も四人からの視線が集まるのを感じる。
「.....よし」
私はそう一言呟くと、着ていたコートを脱ぎ椅子へとかけ...
「っ!」
「あら」
「えっ!」
そのままプール目掛けて勢いよく飛び込んだ。
一気に身体が水底に沈み、やがて水面へと浮上した後思い切り空気を吸い込む。
「はぁ.....あははっ、気持ちいいね!」
「ま、まさか本当にそのまま飛び込むとは...」
「子供じゃないんだから着替えて来るとかあるでしょ!」
「コハル、大人もたまには子供になりたい時があるんだよ」
「えぇ...何それ」
「うふふ、じゃあ先生もきた事ですし勝負でもしましょうか?」
「第二ラウンドか、受けて立つ」
そうして、水鉄砲を受け取った私はそれから暫く彼女達と共に楽しいひと時を満喫したのだった。