「うぅ、くそ....」
「だ、大丈夫か...」
アビドス校舎から30キロほど離れた場所に位置する敷地。
そこでは何十名ものヘルメットを被った少女達が倒れ伏していた。
彼女達を追い詰めたのは、自分達の襲撃目標であったアビドスの生徒達。
今日も依頼人のため彼女達の校舎に攻め込もうと準備をしていた矢先、突如起きた奇襲に対応出来ず今に至る。
「なんでアイツらが此処に...」
「そもそもアイツらの学校はろくに物資もなかった筈だろ!」
「でもさっきは惜しげもなく弾とかも使いまくってたよ」
「襲撃班の情報が間違ってたって事?」
少しずつメンバーが起き上がり話が飛び交うが決定的な結論は出ないまま時間だけが過ぎていく。
「それよりどうするの?こんな状態じゃ次の襲撃なんてまともに出来ないじゃん...」
「ちっ!ただあの校舎を攻めればいいだけの楽な仕事だと思ったのに!」
少女達は追い詰められた今の状況に思わず悪態をつく。
「どうする?あの依頼人に説明するか?」
「馬鹿、そんな事したら見限られて成功報酬が貰えなくなるだろ」
これまで前金や装備資金として幾らかは受け取って儲けてはいたが、事前に示された成功報酬の金額が頭をよぎる。
「でも流石に何とかしないと、あの依頼人も怪しむんじゃないか?」
「そもそもなんであんな奴らの学校を襲えだなんて言ってきたんだ?」
こちらとしては大助かりだが、正直あんなに金を払ってまであの学校に固執する理由がわからない。
学校を手に入れたいのか、それとも別の思惑があるのか.....
そんな事を考えていると、突然携帯から着信音が鳴り響いた。
「げっ....」
「まさか、依頼人か?」
少女は画面に表示された『依頼人』の文字に一瞬嫌な顔をするが、無視する訳にもいかず彼女は電話に応答する。
「.....はい」
『私だ』
電話口からは低い声が聞こえてくる。
『アビドスの襲撃はどうなっている。あれからかなり経過したと思うが』
「そ、その事なんですが....」
一瞬誤魔化そうとも考えたが、結局納得いく理由など思いつかなかった為仕方なく正直に現時点での報告をした。
アビドス校舎への襲撃は成功目前まで迫っていた事、先程彼女達がこちらに攻めてきたこと...その他全てを洗いざらい話すと、電話越しの人物は沈黙する。
『......ふむ、連中はすぐ根を上げると思っていたが、中々厄介だな』
そう言い、依頼人は次の指示を告げた
『そいつらを攫え』
「攫う...拉致しろと?」
『そうだ、ちょうどその連中の1人がアビドスにあるラーメン屋でバイトをしているらしい。そいつを攫って他の連中に脅しをかける』
「しかし、武器や装備を失った我々では...」
『ならばそれらもこちらが用意する。とにかくお前達はそいつを攫い、アビドス砂漠へ連れてこい』
依頼人はそう言い残し電話が切られた。
「....よし、なら依頼人から装備が届き次第実行だ」
少女達は頷き、それぞれの持ち場の立て直しを始めたのだった。