「昨日の件で連絡がまだ届いていなかったが、一体どうなっている」
ホシノ達がヘルメット団を撃退した翌日。
とあるオフィスの一室にて、恰幅の良い人物が椅子に腰掛けながら電話をしていた。
『そ、それが......』
「...失敗だと?」
『ち、違うんです!ソイツ1人じゃなく全員が...!』
つらつらと言い訳を捲し立てる会話相手に対し、カイザーPMC理事は呆れた様にため息を吐く。
「わかった、もういい。貴様らの実力が足りないのは理解した」
『こ、今度こそ必ず....!』
これ以上聞く意味もないと、途中で電話を切り無理矢理会話を中断する。
「やはり所詮はただの不良の集まりか、そんな奴らに期待した私が間抜けだったな」
だが私が思ったよりあの連中は中々しぶといらしい、まるで死にかけの虫の様だ。
計画自体に支障は無いが、いつまでも無駄に抵抗され続けるのも少々鬱陶しい。
「ふむ、目には目を、生徒には生徒を...か」
そう呟いたカイザーPMC理事は再びどこかへ電話をかけ始める。
『...はい、こちら便利屋68』
聞こえて来たのは先程同様若い少女の声。
まだ子供でありながら事務所を立ち上げ、金さえ積めばどんな依頼だろうと遂行する集団らしい。
「便利屋、お前達に仕事を頼みたい」
『どんな依頼でも結構です。それで、詳細は?』
「アビドス高校の生徒への襲撃だ。手段は問わん、とにかく潰せ。上手くいけばそれなりの報酬はくれてやる」
『成る程、わかりました。この便利屋68にお任せください』
怯むことなく淡々と話す雰囲気から、流石にあの不良集団とは違うという事が伝わってくる。
「そうだな....その前に追加で依頼を頼みたい。場所は後ほど送るが、ヘルメット団と呼ばれる奴らに灸を据えといてくれ」
『へ、ヘルメット団ですか?』
「どうした、何か不都合でもあるのか?」
『い、いえ別に....』
不意に声が上擦り出した少女は咳払いをしてからこちらに問題ないと伝えてくる。
『...ちなみに理由をお聞きしても?』
「ん?あぁ、この前まで私の仕事の手伝いをさせていたがまったくの期待外れでな。馬鹿どもが逆上して変な気を起こさせない様にするためだ」
『へ、へぇ...そ、そうだったんですね....』
何故か歯切れが悪いのは気になるが、いつまでも長話をしている暇はない。
「とにかく結果についてはまたこちらから再度かけた時に聞く」
そう言って通話を終了させ椅子から立ち上がると同時に、先程まで部屋の隅に立っていたある人物へと話しかける。
「どうした、今日は珍しく静かだな」
「....失礼、少々考え事をしていたもので」
そう答えたのは頭部が不気味に揺れている長身の人物、今は我々カイザーグループと利益の一致により協力関係にある存在だ。
正直何を考えているのかわからん不気味な奴だが、我々の計画が進むのならどうだっていい。
「ひとまずあの連中は便利屋に任せる、それでいいな?」
「ええ構いませんよ。元々私としても、そちらの計画に口を出すつもりはありませんしね」
そう言い部屋を出ていく奴の後ろ姿を横目で見送りながら再度窓の外を眺める。
「....ふ、せいぜい無駄な足掻き如きで満足しているんだな、アビドス連中共」
暗いオフィス内に、カイザーPMC理事の低い笑い声が響いていた。