ようやく時間が取れそうなので、できれば投稿頻度を以前くらいに戻したい所。
というかあまり上手くない文章にも関わらず読んでいただき、本当に感謝しています。
「まさかここで会えるだなんて、奇遇ね先生」
「先生、この人達は?」
不意に袖を引っ張られ振り向くとシロコがこちらを見ながら眉を寄せていた。
確かにシロコ達からすれば、いきなりやって来たアル達と私が親しげにしていれば不思議に思うのは当然だろう。
「おお、便利屋さんじゃねぇか。今日も来てくれたのか?」
説明しようと口を開きかけた瞬間、大将が4人にそう話しかける。
「え、大将この人達を知ってるんですか?」
「ああ、セリカちゃんが居ない時だから知らないのも当然か。その子達は最近よくうちに来てくれる常連さんでな、いつも美味そうにうちのラーメンを食べてくれるんだよ」
「ん、柴関ラーメン好きに悪い人はいない」
大将の言葉にそう納得したシロコはすぐ警戒を解き自身の頼んだラーメンを再び啜り始める。
どうやらアル達は随分とここを気に入ってくれたらしい、まさかあれから何度も通っているとは思わなかった。
「という訳だ、セリカちゃん注文よろしくな」
「あ、はい!それではお席へご案内しますね....えーと、ご注文は?」
「柴関ラーメン並を1つお願いねバイトちゃん♪」
「えっと、4人で1つですか...?」
「ふふっ、仲間同士で1つの料理を食べる事で信頼関係を....」
「いや社長、流石にラーメンではやらないでしょ」
聞こえてきた会話からどうやらアル達は金欠らしい...つまり現在、あの頃同様カイザーからの依頼を受けている可能性が高いと考えられる。
(やっぱりこの世界のアビドスでもカイザーが中心に動いてると考えてよさそうかな....ならその裏にいるのは)
テーブルに肘をついて微睡んでいるホシノに視線を向けながら私はある人物を思い返す。
「学校の復興、それを今先生に手伝って貰ってる」
「先生が来てくれて私達も凄く助かってるんです♪」
「へぇそうなの、随分と大変そうなのに貴方達も頑張ってるのね」
私が思考に耽る中、いつの間にか隣のアル達とシロコ達で話が盛り上がっていた様だ。
どうやら仲良くなれているみたいで安心だ。
「そういえば、そちらも先生とお知り合いの様でしたが...」
「彼女達は便利屋を営んでいてね、以前私の個人的なお願いを手伝ってくれたんだ」
「便利屋?」
「えぇ、私が社長でこっちが室長、課長に平社員...何者にも縛られないアウトロー、それがこの私達便利屋68よ!」
「わぁ!なんだか格好いいですね♪」
「私達と歳も同じくらいなのに、凄いです!」
「まあ今は4人分のラーメンを頼めない程経営が厳しいけど」
「か、カヨコ!しぃー!」
「お待たせしましたー!柴関ラーメン1人前です!」
そんな楽しげな雰囲気の中運ばれてきたラーメンは、4人前を遥かに超えている程積み上げられた超大盛りサイズ。
大将の粋な計らいに目を輝かせているアル達を見ている最中、不意にホシノが席を立ち
「ん〜、じゃあみんな食べ終わったみたいだし、おじさん達はそろそろお暇しようか」
「そうですね、今日も美味しかったです」
「大将さんご馳走様でした♪」
「ああ、是非また来てくれ...っとそうだセリカちゃん、今日はもう上がってくれていいぞ」
「え、でもまだ全然働いて....」
「今日はそこまで忙しくならないだろうし、折角お友達がいるんだ。安心しな、ちゃんと給料は払うさ」
「そ、そういう事じゃないんですが...わかりました、じゃあお言葉に甘えて....」
そう言って仕事着を脱ぎに向かったセリカを見送りつつ、シロコと私以外の3人は入り口へと移動していった。
「ん、それじゃ、仕事頑張って」
「ええ、貴方達もね、えっと....」
「そういえば名前言ってなかった...私はアビドス高校2年の砂狼シロコ」
「ぶふっ!」
シロコの発言に啜っていたラーメンを吹き出すアル。
「あ、アビドス....?」
「? うん、そう」
「え、貴方が...て事は他の子達も?」
「....どうかしたの?」
「い、いや、な、何でもないわ!」
手を震わせながら食事を再開するアルを不思議そうに見つめるシロコだったが、戻ってきたセリカと共に他の3人の元へと歩いていく。
「えーと、それじゃあね4人とも」
私は白目のアルに内心申し訳ないと謝りながら、会計を済ませて店を出た。
きっとこの後アル達はアビドス高校を襲撃するのだろう。
もちろんこの前の時点でカイザーの依頼を受けないでくれと言うこともできたが、いきなりそんな事を話して怪しまれない訳は無いし、それを強制する事を私はしたくなかった。
これはあの頃と同様に彼女達がした選択や行動であり、それを無理矢理変えるのは私がしていい事じゃない。
...もっとも、今後彼女達が傷つき悲しむ可能性がある事柄ならば黙って見ている訳にはいかないが。
そんな事がありつつアビドス校舎へと戻ってきた私達は、再び借金返済の話し合いをしていた。
今朝の様なふざけたやり取りは少なめに、各々が案を出し合っていく。
「...!皆さん、こちらに向かってくる敵対勢力を確認しました!」
「え、まさかヘルメット団!?」
「それが...どうやら違う様です」
「ま、友好的じゃないのは変わらないし、先生もいるからとっとと撃退しちゃおっか」
各自武器を持ち校門の前へと移動する。
門の前には十名以上の武器を持った集団が陣取っていた。
「...あれ?あの方はもしかしてさっきの....」
「便利屋さん達ですね〜、でも電柱に隠れてどうしたんでしょうか?」
ノノミの言う通り、そこに居たのは少し先の電柱に身を隠しながら頭だけをこちらに覗かせているアル達の姿。
「...社長、もう来ちゃったんだから切り替えないと」
「ほら、アルちゃん早く早く♪」
「アル様が言ってくれればいつでもいけます...!」
3人に押されるように前に出てきたアルはひとつ咳払いをしてからこちらに話しかけ始める。
「ふ、ふん!驚いたかしら? 急で悪いけれど、貴方達には潰れてもらうわ」
「...もしかして、さっき話してた便利屋の仕事というのは私達を襲う事なんですか?」
「えぇ!?お互い苦労してそうだから折角ラーメンも大盛りにしてあげたのに!」
「うっ....そ、それは...え、演技よ!貴方達を油断させるための演技だったの!見事に騙されてくれたようね!」
「さっき帰りに先生が良い子達って話してたけど、それも先生を騙してたって事?」
「え、そ、それは....」
アルは一瞬こちらをチラッと見て気まずそうな顔を見せる。
「ねえ、あたしらはどうすればいいの?」
「何もしなくていいなら帰るんだけど」
「....っ!と、とにかく!これも依頼なの!貴方達、行くわよ!」
頭を振り雇った部隊に指示を飛ばしつつ突撃してくる彼女達。
「なんかよくわからないけど、そっちがやる気ならこっちも行くよー」
それに対し、こちらはホシノの合図で武器を構える対策委員会。
今、壮絶な戦いが.....
「お、覚えてなさいよー!!!!」
始まることなく、意外にもあっさりと幕を閉じた。
どうにもアルが集中できていなかったようで統制が上手く取れていなかった彼女達と、やたらとやる気に満ち完全武装の対策委員会の5人。
そんな状態で戦った事から予想よりも早くに決着がつき、便利屋率いる部隊は早々に引き上げていった。
「みんな、怪我はない?」
「はい、私達はとくに...それより、まさか先生のお知り合いの方達と戦うことになってしまうとは...すみません」
「先生、あの人達に依頼したのが誰かって聞き出せないの?」
「うーん...」
十中八九カイザーPMC側であるとは予測できるが、彼女達は仕事に関しては真面目で、私が聞いたとしてもおそらく話してくれないだろう。
...それに、もし私が話した内容がカイザー側にバレればそれこそアル達が私に教えたと勘違いされ彼女達に危害が及んでしまうかもしれない。
「まあ、とりあえず無事終わった事ですし、今日は解散にしましょう。私も個人的に調べる事があるので」
「ん、わかった」
アヤネの言葉に賛同し私もシャーレへと一旦戻ろうとした時、背後から視線を感じた。
「ホシノ?」
「......ううん、何でもないよ〜」
後ろに立っていたホシノは私の指摘に誤魔化すようにへにゃりと顔をくずして答える。
出会った頃から何かとホシノは私を見透かすように見ている時がある...先程一瞬見えた表情も同じ様なものだった。
私は動揺を気づかれないよう笑顔で誤魔化しつつ、その日はシャーレへと帰還したのだった。