ピピピッという電子音が部屋に鳴り響く。
「う〜ん....」
布団にくるまっていた少女は腕だけを這わせ目覚ましのスイッチをなんとか切ると、モゾモゾと体を動かし眠気と格闘する。
戦う事数分、ようやく覚醒してきた頭を働かせベッドから降りたアヤネは急いで身支度を済ませてアビドス校舎へと歩き出した。
「ふぅ...昨日は遅くまでかかっちゃいましたが、なんとか進展しそうで良かったです」
昨夜遅くまで調べた事を歩きながら頭の中で整理する。
昨日校舎を襲撃してきた4人組、便利屋68。
彼女達はゲヘナ学園所属の問題児集団らしく、風紀委員にも目をつけられているらしい。
...でも昨日あのラーメン屋での会話ではそこまで悪い人達ではない様にも見えたし、何より先生が信頼しているというのもあってよくわからない。
そして、セリカちゃんの拉致未遂の際に持ち帰ったヘルメット団の武器、それらを調べた結果現在取引されていない型番である事が判明した。
便利屋68は何故私達を襲撃したのか、何故ヘルメット団がそんなものを所持していたのか、それらを調べるには....
「あ、先生!」
道を曲がると、前方に歩いていた先生を見つけ声をかける。
「アヤネ、おはよう」
「おはようございます...なんだか凄く眠そうですね?」
「実は昨日ちょっと徹夜しちゃってね、あはは....」
苦笑いしながらそう答える先生。
きっと何かシャーレで仕事があったのでしょう。
シャーレの業務で忙しい中、自分達に手を貸してくれている先生には本当に感謝しかありません。
そんな先生と一緒に校舎へと向かおうとしたその時。
「おっはよー先生♪」
先生の背後から突然聞こえてきた声。
その人物は先生に抱きつくように飛び出してきましたが
「うわっ!とと...」
「おはようムツキ」
「ありゃ残念、びっくりする先生が見られると思ったんだけどなー」
まるで背中に目があるかの様に彼女の突進を避けた先生は、転びそうになった彼女の肩を支えて挨拶を返していました。
「貴方は昨日の...」
「ん〜?ああ、昨日の眼鏡っ娘ちゃん♪」
「眼鏡っ娘ちゃんじゃなくてアヤネです....」
「あははっ!おはよ〜アヤネちゃん♪」
一応昨日は敵対していた筈ですが、そんな気を微塵も感じさせない様な彼女に若干困惑していると
「ちょっとムツキ!急に走ったら危ないでしょ!....あ...」
さらに奥からやってきたのは、他の便利屋68のメンバー3人...奇しくも昨日戦ったばかりの4人と早くも再開する事になってしまいました。
「おはよう先生」
「お、おはようございます!」
「.......」
他の2人は先生に挨拶をしていますが、社長のアルさんはどこか気まずそうな表情をしながらチラチラとこちらに視線を向けています。
「えっと、どうかされましたか?」
「っ!....その.....昨日の件だけど、襲撃に関しては謝るつもりはないわ、あれは私達便利屋68にとっての仕事だもの。でも.....」
そのまま一息ついたアルさんは真っ直ぐこちらを見て
「...ラーメン....ラーメン屋のあの子にはお礼を言っておいて、凄く美味しかったって。ほら3人とも行くわよ」
「えーまだ会ったばっかりなのにー?」
「し、失礼しました!」
「じゃあね先生、それにアビドスの子も」
そう言って彼女達はこの場を去っていき、その場に残されたのは私と先生の2人。
「...先生の言う通りというか、不思議な方達ですね」
「うん、やっぱりアル達らしい」
そう言う先生はどこか懐かしいものを見る様な表情を見せました。
...先生の話によると出会ったのは最近の筈ですが、まるで昔からの知り合いかの様なその雰囲気に疑問を覚えつつも、私達は校舎へと足を進めました。
「....という感じです、今現在調べた結果はこのくらいでしょうか」
校舎についた後、早速私は他のみんなに昨日調べた内容を共有していました。
「なるほど〜、大体状況は分かってきたね。それに昨日のあの子達もやっぱり関係してるっぽいし」
「はぁ、私はあの便利屋って奴らをどう見ればいいのかわかんないんだけど」
そう言って悩ましい顔をするセリカちゃん。
私がアルさんから受けた伝言を伝えた結果、先程の私の様に困惑してしまったみたいです。
「まあまあ、お礼を言ってくれるだなんて良い子達じゃないですか♪」
「でもどうするの、これ以上調べるって言っても方法が....」
「...ブラックマーケットです、こういった違法な武器などの取引が行われている可能性の高い場所としてはそこしかありません。それに、便利屋の方達もそこを出入りしているという情報もありました」
「ん、潜入なら大得意」
「ちょっとシロコ先輩!何やる気になってるの!」
「でもアヤネちゃんの言う通り、今はそれが1番かもね....よーし、じゃあそうと決まれば早速行っちゃおうか」
ホシノ先輩の言葉を受け私は先生に視線を向けると、先生は微笑みながら頷いてくれています。
全員がこちらを見つめているのを確認した私は、一呼吸して
「では皆さん行きましょう、ブラックマーケットに!」