偽りの道をもう一度   作:Mrふんどし

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ブラックマーケットへ

「ここがブラックマーケット...」

 

「噂とは違って少し賑やかな所ですね〜」

 

さっそくやってきたブラックマーケット内にて、5人は慎重に歩みを進めていた。

 

『皆さん、ここはまだ安全な方ですが、他は犯罪組織の隠れ所になっていたり、闇取引が行われている場所もあります。気をつけて進んでください』

 

「おっけー」

 

『......』

 

「どうしたのアヤネちゃん?」

 

『いえ、先程皆さんに”行きましょう!”と宣言した私が留守番な事が少し恥ずかしくて...』

 

「だ、大丈夫よ!別にみんな気にしてないから!」

 

そんなやり取りをする4人の後方を歩いていた私は小声でアロナとこっそりと会話をする。

 

「...アロナ、周囲の状況は?」

 

『否定、現時点で敵対勢力は確認できません』

 

「そっか、ありがとう。疲れるかもしれないけど、引き続きお願いするね」

 

『了承、この程度でスーパーアロナは疲れませんので問題ありません』

 

自信満々な彼女の姿に癒されながらも一応何があってもいいように周りへの警戒を続けながら少し早足で通過していく。

しばらく歩き続け、曲がり角に足を踏み入れた時

 

「わわっ!ど、どいてくださーい!」

 

「うわ!」

 

死角となっていた方向から全速力で飛び出してきた少女がセリカにぶつかってしまった。

 

「ごごごごめんなさい!」

 

「わ、私は大丈夫だけど、それよりそんなに急いでどうしたの?」

 

「えーと、その....」

 

「おい!もう逃さないぞ!」

 

「いい加減諦めな!」

 

少女が答えようとした瞬間、彼女を追っていたであろう不良達が姿を見せる。

 

「....何か盗んで追われてるとか?」

 

「ち、違います!そんな事はしてません!」

 

「シロコ先輩じゃないんだから!」

 

「ん...」

 

「おいお前達、邪魔するんなら容赦は....ぐっ!」

 

「ま、とりあえず大人しくしてもらうねー」

 

シロコ達に構わず襲い掛かろうとした不良達だったが、隙をついたホシノによって一瞬で気を失ってしまった。

 

「ホシノ、ありがとうね」

 

「これくらい楽勝だよ〜」

 

「ヒフミも怪我はない?」

 

「はい....あれ、私自分の名前言いましたっけ?」

 

しまった、またつい流れで呼んでしまったが彼女からすれば私は初対面なのだ。

....毎回気をつけようとはしているが、昔からの慣れ親しんだ事だからかどうしても彼女達の名前を呼んでしまう。

 

「先生の事だから、どうせ色んな子の事を調べてるんでしょ」

 

「先生...もしかしてシャーレの先生でしたか!?ど、どうか私がここにいた事は内密に...」

 

「ヒフミさんはどうして追われていたんですか?」

 

「えっと、普通に歩いていた所先程の彼女達に突然呼び止められまして。それでお金を置いていけとか、身代金代わりとか...」

 

『その制服....もしかしてヒフミさんはトリニティ総合学園の方ですか?』

 

「は、はいそうです」

 

「なるほど、トリニティの子だから狙われたって事だね〜...それにしても、トリニティの生徒がわざわざこんな場所にやってくるなんて何か理由でもあったの?」

 

ホシノの指摘に若干目を泳がせるヒフミだったが、少しして答え始める。

 

「実は、ある物を探しにやって来たんです。もう販売されていないとても貴重なもので...ブラックマーケットでは取引されていると聞いて」

 

「貴重なもの...どんなやつ?高く売れる?」

 

「シロコ先輩!ステイ!」

 

「これです!」

 

そう言ってヒフミは自信満々にある物を取り出し、みんなの前に見せる。

 

「......何これ」

 

「鳥?」

 

出されたものは目の飛び出た鳥がアイスを口に突っ込まれているなんとも不思議なぬいぐるみ。

セリカやシロコはいきなり出されたそれを困惑した様な目で、ホシノは苦笑いしつつそれぞれ見つめている。

 

「アイスペロロ...」

 

ふと私が口から溢してしまったその言葉にヒフミは凄い勢いで首を動かしながらこちらを見た。

そしてとてつもなく目をキラキラと輝かせて

 

「先生!!!ご存じなんですか!!!そうなんです!アイスクリーム屋さんとコラボした際の限定グッズで100体しか作られていない貴重なペロロ様のぬいぐるみなんです!!!どうしても当時は買えずずっと悩んでいたんですが、ブラックマーケットにあると噂で聞いて居ても立っても居られずここにやって来てついに手に入れたプレミヤ品です!先生はモモフレンズの中でどの子が好きなんですか!?私はやっぱり....」

 

「ひ、ヒフミ!落ち着いて!」

 

私の一言でペロロ熱の入ってしまったヒフミ。

4人に助けを求めようと視線を飛ばすが、そんな先程とは大違いな彼女の様子に若干困った顔で見つめるばかり。

 

「先生、そういうのが好きなの?」

 

「えっと.....」

 

シロコの質問にどう答えようか迷っていると、未だにキラキラと目を輝かせているヒフミに見つめられ

 

「うん、まあ可愛いとは、思ってるよ...」

 

私は彼女のプレッシャーからそのような濁した言い方しかする事ができなかった。

 

「先生もモモフレンズがお好きだったんですね〜、今度お話ししたいです♪」

 

「え、ノノミ先輩も詳しいの?」

 

「ヒフミさん程ではありませんが、可愛くて好きですね♪」

 

「うーん、おじさんには最近の若い子のブームがわからないなぁ」

 

『先輩、私達とそこまで変わらないと思うんですが...』

 

「それで、これを手に入れるためにこっそり抜け出してきたので、万が一それが学校側に伝わってしまうと少々まずい事に...」

 

「安心して、別に初めから連絡しようとは思ってないから」

 

私の言葉に安心したように息をつくヒフミだったが

突然何かに気づいたかの様にハッとした顔で

 

「あ、み、皆さんこうしている場合ではありません!急いでここを離れないと」

 

「どうして?」

 

「ブラックマーケットは連邦生徒会の手が届かない事から色んな人達が企業が流れ込んでいる場所です。それこそ独自の銀行や治安機関まであるくらいなんです」

 

「想像よりもだいぶ凄い場所なのね、ここって...」

 

「特に治安機関は注意が必要で、騒ぎを起こしたらすぐ身を隠さなければ厄介な事になるそうです」

 

「ならヒフミちゃんの言う通り一旦ここから退散しようか」

 

 

 

 

 

 

一度その場から退散し、それから更にブラックマーケット内を調べる事数時間

 

「全然情報が手に入らないわね...」

 

「うへぇ〜もうおじさんの足はクタクタだよ〜」

 

『ここまで見つからないとは少し予想外でした』

 

あの後ヒフミに自分達の状況を説明し、お礼としてしばらく同行して貰うこととなったのだが、一向に情報が手に入らない事に辟易していた私達は近くのたい焼き屋で休憩をとっていた。

 

『先生、疲れたので甘いものを要求します』

 

「...さっきこれくらいじゃ疲れないって言ったなかったっけ」

 

『甘いものがあるのなら別です』

 

「はははっ...帰ったらあげるから、それまで待っててね」

 

『皆さん!武装した集団がこちらに向かっています!』

 

5人から少し離れた所でアロナとそんなやり取りをしていた私だったが突然声を上げたアヤネに反応し彼女達の元へと駆け寄る。

 

「あ、あれはマーケットガードです!」

 

「それって、さっきヒフミちゃんが言ってた治安機関ってやつ?」

 

「はい、とにかく今は身を隠しましょう」

 

ヒフミに従いそれぞれ物陰に隠れながら件のマーケットガードを見やる。

 

「現金輸送車を護衛してるようですね...あ、闇銀行の敷地に入っていきました」

 

「て事はヒフミさんが言ってた通りならあれは犯罪とか違法な資金って事よね」

 

「ん...車から降りて来たあの人....」

 

『あ、あの方は毎月私達の所に利息を受け取りに来る銀行員です...!』

 

「.......」

 

目の前ではその銀行員が書類にサインし現金を渡している場面が繰り広げられている。

 

『それにあの車もカイザーローンのようです』

 

「か、カイザーローンですか?もしかしてアビドスはそこから融資を...?」

 

「そんなに有名なの?」

 

「カイザーグループ自体がグレーな方法で営業している企業で....そのうちのカイザーコーポーレーションが運営する高利金融業者です。トリニティにもかなり進出してきていて、ティーパーティーも目を光らせているのですが....」

 

ティーパーティー、ヒフミのその言葉に私は3人の姿を思い浮かべる。

...そして今後のためのある一つの考えが浮かぶが、今はこちらに集中すべきと頭を切り替える。

 

「あの輸送車が私達の所に来てたものと同じだとすると、私達が支払ってきた借金があの闇銀行に流れてたってこと?」

 

「え、それじゃあ私達が犯罪資金を提供してたって事じゃない!」

 

『まだそうと決まったわけではありません....ですがそれを証明しようにも証拠が...』

 

「あ、ならあの銀行員の方が書いてた集金書類を確認できれば証拠になるのでは...でもそれを見るには銀行の中に入るしかありませんし...」

 

ヒフミの考えを聞きながら視線を横にずらすとシロコがなんだかウズウズとしていた。

 

....本来ならここで証拠を確認できれば”それ”をする必要はなかったのだが、やはりこの世界でも”それ”をやる必要があるようだ。

 

「入り込むならあの方法しかない」

 

「えっと、あの方法とは?」

 

シロコは自信満々に持ってきていた覆面を被り宣言する。

 

「ん、銀行を襲う」

 

「.....ええ!?」

 

「ま、それしかないよね〜」

 

「えええ!?」

 

「では悪い人達を懲らしめる時間ですね〜♪」

 

「ちょ、ちょっと本気なんですか!?」

 

「ああもう!こうなりゃとことんやってやるわ!」

 

ヒフミは驚き目を回しているが、他のメンバーはシロコ同様覆面を被り始めた。

 

「ごめんヒフミ、貴方の分の覆面の用意はなかった」

 

「いや、本当にやるんですか!? そもそも何で皆さんそんな覆面の用意が!?」

 

「うーん流石に顔が丸わかりだと可哀想なので、ヒフミさんにはこちらを☆」

 

「え、ちょっと、あ、あうう....」

 

そう言ってノノミは手際のいい動きでヒフミの頭に先程買ったたい焼きの袋をかぶせていく。

 

「うんうん、ピッタリですね♪」

 

「いいねー、なんだか威圧感あってまさにリーダーって感じ」

 

「あうう...せ、先生....」

 

ヒフミがこちらを涙目でみつめてくる。

 

「ヒフミ...」

 

「せ、先生!先生ならこんなこと....」

 

「ごめんヒフミ」

 

そう言って私は用意していた”ある物”を取り出しみんなと同じように装備した。

 

「一緒に銀行を襲って欲しい」

 

「えええええええええええ!?」

 

「おお〜まさか先生も持ってたなんて〜」

 

「わぁ〜私達とお揃いですね♪」

 

「ん、流石先生」

 

「ちょ、ちょっと先生!いつの間にそんなの用意してたの!」

 

「昨日ちょっとね」

 

私が取り出したのは数字の振られてないグレーの覆面。

 

『先生!もしかして昨日はお仕事じゃなくそれを作ってて寝不足だったんですか!?』

 

アヤネの言う通り、こうなる可能性が高いと考え大急ぎで用意したものだ。

慣れない作業で少し不恰好になってしまったが、アロナのアドバイスと共に作り上げた自信作だ。

 

「よーし、先生もいるなら百人力だね〜」

 

「先生、ならあのセリフを」

 

シロコに急かされ私は覆面を被ったままその言葉を告げた。

 

「みんな....銀行を襲うよ!」

 

 

 

 

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