偽りの道をもう一度   作:Mrふんどし

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覆面〇〇

「あうう...どうしてこんな事に....」

 

「大丈夫大丈夫〜顔はバレないから問題ないって〜」

 

「しっかり、リーダー」

 

「そういえばなんで私がリーダーになってるんですか!?」

 

目の前で繰り広げられる懐かしい光景に彼女達の後ろを走っていた私はつい笑みが溢れる。

 

かつても経験した出来事、今では遠い思い出となってしまったが、確かに私の心には残っているもの。

...本来私の立場としては彼女達の行為を止めるのが普通であるが...それでもどうしても、彼女達と共にもう一度体験したくなってしまったのだ。

 

「みんな、そろそろ入り口よ!」

 

その声に一旦気持ちを切り替えてシッテムの箱を取り出す準備をする。

 

「よーしみんな突げ...っ!?」

 

「へ!?」

 

そして銀行内へと襲撃する直前で、全員の動きが止まった。

私達の視線の先には見知った人物達が立っており...

 

「え、い、一体何事!?」

 

「何何〜?もしかして銀行強盗?」

 

「.....」

 

「わわわっ、ど、どうしましょう撃ちますか?撃ちましょうか?」

 

そこに居たのはまさに今銀行へと入ろうとしていた便利屋68の4人。

 

「騒がしいな?そこにいるのは誰だ!」

 

「っ!みんな一時撤収!」

 

「え、何で私達まで!?」

 

銀行前の騒ぎにマーケットガードが中から出てこようとするのに気づいた私は全員に指示を出し来た道を戻っていく。

そして何故かその場にいたアル達までシロコ達に引っ張られる形でついてきてしまったようだ。

 

「ちょ、ちょっと!貴方達一体何なの!?」

 

「...アル、ひとまず落ち着いて欲しい」

 

「落ち着いてって言われても!...ってその声、というか貴方達もしかして!?」

 

私達の正体に気がついたアルは驚いた顔で全員を見やる。

 

「うへぇ〜、それよりどうしようか」

 

「つい反射で連れてきちゃった、ごめん」

 

「書類を早く見つけないといけませんし...」

 

「ね、ねえ、さっきから何の話をしているの?そもそもなんでそんな格好を....」

 

ここまでくれば隠しても仕方ないと全員が頷き、未だ困惑中のアルや他の3人に事情を説明する。

 

「ぎ、銀行を襲う!?」

 

「あはは!何それ、面白ーい!」

 

「急に連れてきちゃったのは悪かったと思ってるけど、そういう訳でおじさん達も急いでるんだよねー。だからもし邪魔する気なら...」

 

「銀行を襲う...正体を隠して...大胆な計画...」

 

「あれ〜便利屋の社長ちゃん大丈夫?」

 

「そ、そんなの、そんなのって....」

 

プルプルと顔を俯かせながら震え出すアルにホシノが声をかけるが、次の瞬間

 

 

 

「超アウトローじゃない!!!」

 

「「「「「....え?」」」」」

 

「銀行を襲う?しかもこのブラックマーケットの中でも更に厳しい場所を選ぶ大胆さ!おまけにそれぞれの覆面をつけて個性も表現!あぁ、凄いわ!」

 

「あー完全に社長の世界に入っちゃった」

 

「えっと、貴方達の社長さんは大丈夫なの?」

 

「大丈夫、いつものアルちゃんだし♪」

 

それからすぐに気を取り直したアル。

 

「コホン...大丈夫よ、アウトロー同士多くを語らないものだもの...邪魔をする気なんてないから安心して良いわ」

 

「ありがとう、アル」

 

『皆さん、銀行前を見てください!』

 

先程の騒ぎによるものか、アヤネの言葉通り銀行の前に複数のマーケットガードが整列していた。

 

「えぇ、あれくらいであんなに警戒するの?」

 

『どうしましょう、このままだと侵入が...』

 

予想外の事態に彼女達は頭を悩ますが、そんな中シロコが立ち上がり

 

「ん、向こうが警備を増やすなら、こっちも突撃する数を増やせばいい」

 

「それはどういう...」

 

「私達を手伝って」

 

「...へ?」

 

彼女はアル達に向かってそう言い放った。

 

「これで人数問題は解決、中での行動もやりやすくなる、完璧な作戦」

 

「た、確かに先輩の言う通りかもしれないけど...」

 

「待って頂戴、そもそも私達と貴方達は....」

 

先程まで元気だったアルはバツの悪そうな顔をしてシロコの提案を拒否する。

 

「....ちょっと待ってて」

 

そんなアルの言葉にシロコは1人裏路地へと走り出し、それから1分もしない内に何かを手に持ち戻ってきた。

 

「...それは?」

 

「近くのお店で貰ってきた」

 

そう言ってシロコはアル達に店で渡される紙袋を差し出した。

 

「ん、対策委員会と便利屋は敵同士、なら”覆面水着団”として頼むなら問題ない」

 

 

 

 

 

 

 

「ご利用ありがとうございました〜」

 

幾人もの職員がそれぞれ来客相手に対応している銀行内。

だが突然周囲が暗闇に包まれ、辺りには困惑の声がポツポツと発せられる。

 

ババババババッ!

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!」

 

「な、何だ急に!?」

 

「全員伏せて!」

 

「持ってる武器も全て捨てて」

 

「言うこと聞かないと大変な目に遭いますよ〜☆」

 

「そこ、動かないでね〜」

 

「あはは...け、怪我をしないように大人しく従ってください」

 

「な、なんなんだお前達!....うっ!」

 

そしてすぐに明かりがついた瞬間、目に飛び込んできたのは全員が覆面や紙袋で顔を隠し武器を構えている謎の集団だった。

 

「さあっ!大人しく投降しないと痛い目に遭うわよ!」

 

「すすすみません!すみません!大人しく寝てください!」

 

「社...リーダー、完全に楽しんじゃってるけど、私達の目的忘れてない?」

 

「くふふ♪まあこのままの方が面白いしア...リーダーらしいじゃん?」

 

「な、なんなんだお前達は!?」

 

床にへたり込んでいる職員が震えながら尋ねる。

 

「ふふふ...泣く子も黙るあのファウストさん率いる覆面水着団...」

 

「そしてアウトロー中のアウトロー、覆面カルテットよ!」

 

「覆面水着団...?覆面カルテット...?なんだそのふざけた名前は!?」

 

「ふ、ふざけてないわよ!せっかくまじめに考えて....」

 

「みんな、早く目的の物を!」

 

アロナによって防犯カメラの映像や通信機器の類は妨害しているが、警備の増員が来る前に出来るだけ素早く終わらせたい所。

 

「ん、そうだった。...無駄な抵抗はしないで、さっき届いた現金輸送車の.....」

 

「ひぃっ!は、はい!現金でも債券でも何でも差し上げます!」

 

「いや集金記録だけ....」

 

「どうぞ持ってってください!だから命だけは!」

 

「シ...ブルー先輩!ブツは回収した?」

 

「う、うん....一応」

 

「よーし、じゃあさっさと撤退しよっかー」

 

「全員撤収!」

 

 

 

 

 

 

 

 

銀行からなんとか逃げ出した私達は、追っ手が来ていない事を確認し一息ついていた。

 

「ふぅ、大成功大成功」

 

「先生、大丈夫ですか?」

 

「はぁ、はぁ、な、なんとか...」

 

「もう!体力ないなら待ってれば良かったのに」

 

「万が一倒れても私がおぶって帰るから大丈夫」

 

シロコがグッドサインをしながらそう言ってくるが、流石に2度目は恥ずかしいので気合いで立ち上がる。

 

『皆さんお疲れ様でした!』

 

「そういえば例のものは?ちゃんとあるんでしょ?」

 

「ん....」

 

セリカに促されたシロコが開けた鞄を覗き込むと、中にあったのは目的の書類....の他に大量の札束。

 

「え、シロコ先輩!?もしかして...!?」

 

「ち、違う、勝手に勘違いされて積められただけ...」

 

「うへぇ〜軽く1億はあるね」

 

「やった!早く持って帰りましょう!」

 

セリカは大金が手に入った事に大喜びでそう提案するが

 

「いや、これは置いていくよ」

 

「な、なんでよ先輩!これは元々私達のお金でもあるんだから!」

 

「私もセリカちゃんと同意見です、犯罪に使われるくらいなら私達が正しく使った方が...」

 

「確かにそうかもね、これを使えば借金の返済も楽になる。でも、もしまた返済で困った時は?今回みたいに楽な方法を覚えちゃったら、次も同じようにしちゃうかもしれない。それをしないって否定できる?」

 

「うっ...それは....」

 

「それに、こんな事で借金を返せたとして、それで戻ってくるアビドスは元のアビドスなのかな?そんな方法で学校を守ってもきっと後悔すると思う」

 

『...私も先輩の考えに賛成です』

 

「....そうですね、すみません先輩。きちんとした方法でないと、アビドスはアビドスじゃなくなってしまいます」

 

「あぁ!もう!こんな大金を捨てて行くなんて!変な所で真面目なんだから!」

 

「うへぇ〜たまには先輩らしい所を見せないとね〜」

 

...ああ、彼女達はやっぱりどの世界でも変わらないんだな。

私がよく知る彼女達を見てどこか懐かしい気持ちに浸っていると

 

『あれ、そういえばアルさん達はどうされたんでしょう?』

 

「そうですね、一緒に逃げてきた筈ですが...」

 

「まあ便利屋ちゃん達なら大丈夫でしょ」

 

 

 

 

 

 

「な、何でこうなるのよー!!!」

 

件のアル達は現在追っ手に追われている真っ最中だった。

二手に別れた方がお互い逃げられる確率が高いと判断し、シロコ達とは別の道を選んだのだが、何故か追っ手が自分達の方ばかりへ集まってきてしまったのだ。

 

「社長、もう少しだから頑張って」

 

「も、もう少しって!?」

 

「ハルカちゃん、今だよ!」

 

「は、はい!」

 

ムツキの合図でハルカが謎のボタンを押すと、彼女達の後方から爆発音が聞こえ、見事にこちらと追っ手側を瓦礫により分断する事に成功した。

 

「い、いつの間に?」

 

「逃げてる途中、社長がわざと何度か同じ道を通ってたから足止めしたいのかなって思って、その隙に」

 

「アル様のために頑張りました!」

 

「さ、流石ね。それでこそ便利屋68の社員だわ」

 

逃げるのに必死でそんなに深く考えていなかったのだが、上手く逃げ切れたので良しとするアル。

 

「あれ、あのバッグあの子達の...」

 

偶然にも先程シロコ達が居た場所まで辿り着いた4人は、道にポツンと置いてあった彼女達の鞄を発見した。

 

「忘れ物?」

 

「中身は....!?」

 

「「「!?」」」

 

 

 

 

 

 

 

「あ、鞄置いてきちゃった」

 

「まあどのみち処分するつもりでしたし、良いのではないでしょうか」

 

「とりあえずアヤネちゃんが待ってるし部室に戻ろっか」

 

 

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