偽りの道をもう一度   作:Mrふんどし

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アビドス砂漠

「みんな、おはよう」

 

「「「「先生!」」」」

 

風紀委員会と交戦した翌日、アビドス校舎を訪れると4人が目の前に飛び出してきた。

 

「先生、本当に大丈夫だった?何もされてない?」

 

「お、落ち着いてシロコ!私は大丈夫だから」

 

「昨日は本当に心配しました。まさかいきなりゲヘナへと向われるなんて...」

 

「そうよ!あのままもし捕まったりしちゃったらどうするつもりだったのよ!」

 

「でも何もお変わりないようで安心しました〜」

 

どうやら予想以上に心配させてしまったらしい、私は彼女達に謝りながら部室内へと足を踏み入れる。

 

「おはよう、ホシノ」

 

「....!あ、うん、おはよう先生」

 

何故か少しぼうっとしていたホシノはやってきた私に今気づいたのか、驚いた顔を見せながら返事をしてきた。

 

「では先生もいらした事ですし早速本題に入りましょう」

 

そう言ってアヤネは昨日彼女達が調べた事について話してくれた。

話の中に出てきた状況は私の記憶通りほぼ一致しており、昨日のヒナから聞いた話を合わせてもカイザーが裏で糸を引いているのは間違いないだろう。

 

 

『アビドスの砂漠...そこでカイザーが何か企んでる』

 

『....ここがアビドス砂漠、その一部に何か拠点らしきものを構えてるの。でも連中が何をしているかまではわからないわ』

 

『本当はもう少し調べるつもりだったのだけど、その周辺やそれ以外の場所にもドローンや兵士を待機させてたみたいだから、これ以上の偵察は中止したの。かなりの広範囲に警戒態勢を敷いてるみたいね』

 

『....随分詳しい?...カイザーグループの噂は以前から聞いていたし、厄介な予感がしたから一応調べておいたの。...ただでさえゲヘナには問題行動をする子達が多いのに、他の問題にまで巻き込まれたら面倒だもの』

 

 

 

私は昨日ヒナから聞いた一連の流れを5人に伝えながら、今後の事について考える。

 

ヒナの話を聞く限りカイザーはかなりの武力を砂漠に用意しており、予想でいけばその武力数はあの頃より明らかに多い。

単純に無策で向かって突破するだけでも一苦労だろう。

 

シロコ達も私からの話を聞いてどうすればいいのか悩んでいるようだったが、そんな中アヤネが立ち上がり口を開いた。

 

「皆さん、とにかく今は実際に向かって見ない事にはこの状況を変えられません」

 

「でもその風紀委員の話だと砂漠は敵だらけなんでしょ?そんな所を見つからずに掻い潜っていくなんて....」

 

「いえ、その必要はありません」

 

「?」

 

全員がアヤネを見つめるとアヤネはどこか自信満々な態度である事を告げた。

 

 

 

 

 

「ねぇ!本当にこれ大丈夫なの!?」

 

「わあ〜あんなにたくさんのドローンなんて初めて見ましたね〜」

 

アビドス砂漠にて、大きな砂煙を上げながら疾走する一つの影があった。

 

「アヤネ、このままじゃ撃たれる」

 

「スピードを上げます、しっかり掴まっててください!」

 

「わぁぁぁぁぁぁ!?」

 

アヤネはそう言うとペダルを踏み込み加速させ、それに呼応する形で中にいるシロコ達も大きく揺れる。

 

そう、私達は今アヤネの運転する車で砂漠を爆速で移動していた。

アヤネの作戦は単純、コソコソ行くのが難しいならいっそ振り切ってしまえばいい!というもの。

 

アビドスの倉庫に保管しアヤネが整備していた車、どうやら彼女なりにパーツを取り替え毎日少しずつ改良していたらしい。

 

そのおかげか現状の様に通常ではあり得ない様なスピードで砂漠を走り抜けることが可能となり、後方から迫ってくるドローンの攻撃を華麗に避けつつ目的地を目指す事が出来ていた。

 

「ちょっと、まだ追ってくるわよ!どんだけしつこいのよアイツら!」

 

だがそれでも流石に全てを振り切るのは難しく、未だにこちらに狙いを定めているドローンが何機か背後を追ってきていた。

 

「ノノミ、窓からドローンを狙える?」

 

「了解です〜」

 

「アヤネ、少しだけスピードを落として右に曲がりながら走って」

 

「わかりました!」

 

アヤネが私の指示通り車を走らせ、それにより近づいてきたドローン達を窓からノノミによる乱射で一斉に撃ち落としていく。

  

「やった!ざまーないわね!」

 

「これでひとまず落ち着けますかね」

 

「....ホシノ、大丈夫?」

 

「...うん?あ、大丈夫だよー。ちょっと寝不足でさー」

 

ドローンを見事に振り切った事で車内に喜びの声が広がるが、そんな中私は先程から妙に物静かなホシノが気になり声をかけた。

 

だがそんな彼女に何でもないと言われてしまったため、それ以上声をかける事なく私はシッテムの箱に表示されたマップを確認する。

 

それにしても、予想してたとは言え妨害してくるドローンの数が異様に多い。

もしかするとこの世界ではカイザーの計画が大幅に進んでしまっているのかもしれない....が、今はとにかくカイザーの拠点であるポイントへと向かう他ないだろう。

 

『警告、前方に複数の敵勢力を確認』

 

「みんな、前方に注意して!」

 

突然耳元に届いたアロナからの報告を5人に伝えると同時に窓から顔を出し確認してみると、少し遠方にカイザーの兵士らしき集団が見えた。

 

「うわっ!ドローンの次は兵士!?」

 

「キリが無い」

 

同じく窓から姿を確認した4人はすぐさま戦闘態勢をとるが

 

「.....いえ、止まる必要はありません。このまま突っ切ります!」

 

「え、ちょ、ちょっとアヤネちゃん!?」

 

アヤネはそう言うとアクセルを更に踏み込み、兵士達の元へぶつかりに行く様に車を進ませる。

 

「おい、止まれ!」

 

「何者だ!今すぐ停車しろ!」

 

「....なあ、あれこっちに突っ込んでくる気じゃないか?」

 

「いやまさか...う、うわぁぁぁぁぁ!?」

 

流石の兵士達も一切スピードを落とさず突っ込んでくる車には驚いたのか、ギリギリの所で逃げ出してくれたおかげで何事もなく素通りする事ができた。

 

「はぁ...心臓飛び出るかと思った....」

 

「ん、きっとアヤネは大物になる」

 

「思い切ったアヤネちゃん格好良かったですね〜」

 

「後輩が強く育ってくれておじさん嬉しいよー」

 

「み、皆さん揶揄わないでください!今のは必死だっただけです!」

 

ようやくカイザーの包囲網を抜けたのか、それ以上ドローンや兵士が現れる事なく暫くタイヤの回る音だけが響く静かな時間が続く。

 

「あ、皆さんアレを見てください!」

 

不意に声を上げたアヤネの言う通り前の方を見てみると、そこにはやたらと広大な敷地面積をとっている巨大な施設が姿を現した。

 

「何これ...」

 

「こんなの昔は無かったのに....」

 

ある程度の距離まで近づき車を停車させ、車から降りた私達はゆっくりと目の前の施設に近づいていく。

 

(やっぱりあの頃と規模が違う...カイザーの計画はいったいどこまで....)

 

私は念のため施設の写真を撮り記録に残していく中、シロコ達も驚いた様子で施設を見つめていた。

 

「何のためにこんなものを...」

 

「あそこにマークが!あれは...カイザーPMCの様です」

 

「PMC、つまり民間軍事会社です...」

 

「またカイザー....もうどんだけこの連中が関わってるのよ!」

 

もう飽きるほど聞いてきた単語にセリカがそう叫んだ瞬間、ヴィィィィィンと甲高い警報が辺りに鳴り響いた。

 

「え、な、何...」

 

「っ!先生!みんな避けて!」

 

その瞬間、ホシノに体を抱えられたと思えば後から爆発音と共に軽い衝撃が私を襲った。

 

「ぐっ...!」

 

突然の衝撃により多少ぐらつく視界の中には、先程まで私が立っていた場所を中心に発生したであろう大きめの穴が見える。

 

「砲弾!?」

 

「先生!大丈夫ですか!?」

 

『先生!申し訳ありません...私がもっとしっかりしていれば....』

 

どうやらどこかから飛んできた砲弾による衝撃波を受けてしまったらしい、ホシノの助けとアロナによる緊急バリアのおかげで軽い眩暈程度で済んだみたいだ。

他の4人は上手く避けられたのか傷などは無い様で、そこはひとまず安心だ。

 

「ありがとうホシノ....アロナも、私は大丈夫だよ」

 

ホシノにお礼をすると同時に、動揺してしまっているアロナを宥める様にシッテムの箱を撫でる。

 

未だに揺れる視界に額を押さえていると、更に周囲から重い震動音が聞こえてきた。

 

「ヘリの音が聞こえます!」

 

「それにこの地面の揺れ、おそらく戦車」

 

「こ、このままだと囲まれてしまいます!何とか脱出を!」

 

アヤネの言葉に全員がこの場から立ち去ろうとした時。

 

「ふん、こんな場所に侵入者が現れたかと思えば、まさか君達だったとはな」

 

突然目の前の施設の中から響く低い声。

そしてその施設の入り口からこちらへ歩いてくる人影が現れた。

 

「貴方は誰?」

 

「やれやれ、まさかこの私を知らないとは。まあいい、私はカイザーコーポレーションの理事を務めている者だ、そして....今君達アビドス高等学校が借金をしている相手でもある」

 

カイザーPMC理事は静かに鼻を鳴らし、そう言い放った。

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