この砂漠の辺りはあまり変える所がなかったためゲームとほぼ同じ感じになってしまいました....。
それと、とりあえず対策委員会編最後までの下書きが出来ました。
おそらくここから10話以内に収まると思います。
「勝手に人の敷地内に侵入し、さらにはこちらに被害まで与えるとはな。ドローンの被害額を今ある借金に加えても良いが....まあ大して変わらんだろう、特別に水に流してやる」
自らを理事と名乗った目の前の大人が、今まで自分達が借金をしてきた相手....そんな人物と対峙した彼女達は無言で立ち尽くし相手の動きを窺っていた。
既に周りは大量の部隊で囲まれており、圧倒的にこちらが不利な状況となってしまっている。
「それで、わざわざここまできた理由は何だ?せっかくの機会だ、話くらいは聞いておいてやろう」
「なら聞くけど、あなたが私達アビドス高校を騙して搾取してきた犯人って事?」
「そうよ!ヘルメット団の襲撃も、あの便利屋を雇ったのだって全部あんたがやったって事でしょ!」
「そんな無理矢理な方法でアビドスの土地を全てカイザーのものにするなんて....」
「ふむ....一体何を喋るかと思えば、随分と面倒な言いがかりをするものだな。だがその口の利き方は感心せんな、私からすれば今の君達はあくまで不法侵入者に過ぎないと理解しているのか?」
「言いがかりですって!」
彼女達のそんな態度を見た理事は呆れた様に溜息を吐いて口を開く。
「では君達の言い分に答えてやろうか。まず、確かに我々はアビドス自治区の土地を買った、だがそれは全て合法的な取引によるものだ。記録にも残っている事は君達も確認したんじゃないのか?」
「そ、それは....」
「そして、アビドスを我々カイザーのものにする...か。確かに結果的にはそうなるだろうが、それも間違いだ。私はこの砂漠のどこかに埋められている宝物を探しているのだよ」
「さっき私達は凄い数のドローンに襲われた、それにこの周りの兵力も多すぎる。これは残りのアビドス自治区を力ずくで占領するためのもの、違う?」
「はあ...せっかく答えてやっているというのにまだ疑うのか?数百両もの戦車、数百名もの兵士、数百トンもの爆薬、これらをたかだか5人しかいない君達の学校のためだけに用意するとでも?馬鹿馬鹿しい、これは万が一宝探し中に邪魔をされた時のために用意したものだ。現に君達のような侵入者を追い返すためのな」
やれやれと言わんばかりに首を振る理事だったが、視線の先に見覚えのある少女を捕らえ思わず動きを止めた。
「ふむ、君は確かあの時の生徒会...いや副生徒会長だったか。そうか、中々面白いアイデアが浮かんできたぞ....」
「.....私だ、ああ、それで進めてくれ」
突然理事がどこかへ電話をかけ始めると、それから少しも経たないうちにアヤネの携帯から着信音が鳴り始める。
「どうした?早く出るといい」
「....はい、はい...え、カイザーローン?...き、金利が3000%!?毎月9130万円なんて...!」
「なっ!」
「どう言う事!?」
「くっくっく...!中々良い顔を見せてくれるじゃないか。どうだ、今誰が君達の手綱を握っているのかこれでわかっただろう?ついでに君達が本当に今後返済が可能かどうかの保証金を貰っておくとしようか。そうだな、1週間以内に3億でどうだ?」
「そんな!今の利子だけで精一杯なのに....」
「無理なら学校を辞めてどこか別の場所へ転校すればいい、元々君達個人の借金ではないのに何をそんなに必死になる必要がある?」
「アビドスは私達の学校で、私達の大切な街、見捨てられるわけない」
「そうか、ならいつまでもその綺麗事を言って過ごすといい。そんなくだらん事を続けるのは構わないが今の君達に払える当てはあるのか?....もっとも、″そんな方法”が有ればの話だがな」
「あんた!それ以上ふざけた事言うなら...」
「............みんな、帰ろう」
「先輩?」
理事の挑発めいた発言に食いつこうとするセリカ達、だがそんな中ホシノが突然口を開き4人を静止する。
「このままここに居ても意味ないよ、私達がどんなに言ったところでアイツに弄ばれるだけ。....とりあえずこれからの事は帰ってから考えよう」
「ほう、やはり君だけは賢そうだな、物分かりが良くて助かるよ。ほら、早く愛する母校とやらへ帰ると良い」
ホシノ以外の4人は悔しそうな表情を浮かべながらその場を立ち去っていく。
「....それで、さっきから一言も話さず私を睨みつけているお前は何だ?」
「....」
「...ああそうか、お前が例の″先生”か。アイツがやたらと気にしていたからどんな凄い奴かと思っていたが、先程の砲撃でふらついている様子を見る限り結局何もできないあの連中のお飾りのようだな。....ふん、お前如きにこれまで苦労をかけられたとアイツは話していたが、どうやらそれは間違っていたらしい」
カイザー理事は、そう言い捨て兵士達と共に去っていく。
その背中を1人の大人がじっと見つめていた。
帰ってくる頃には既に空が夕焼けに染まりかけており、部室内は重苦しい空気に包まれていた。
今朝の時とは明らかに雰囲気が違い、全員がまるで別人の様に口を閉ざし顔を俯かせている。
「....」
「シロコちゃん、どこに行く気ですか?」
「もう一度あそこに行ってくる、あのカイザーの理事が何を隠しているのか調べないと」
「駄目です!危険すぎます!」
「でも、何かしないと...このままじゃ学校が...」
「.........」
再び静寂につつまれる中、ホシノはゆっくりと立ち上がり
「....みんな、今日はそれぞれ頭を冷やす時間にしよっか。こんな空気の悪い中じゃいい考えなんて思いつかないよ」
「ホシノ先輩...」
「ほらほら、暗い話はこれでおしまい!委員長命令ってことで解散解散〜」
ニコニコと笑顔を見せながら告げるホシノの雰囲気につられてほんの少し頬を緩める4人。
「そうですね、先輩の言う通りかもしれません」
「じゃあまた明日ですね、きっとまだ方法はある筈です」
「ん...また明日ね、先生も無理しないで」
「絶対あの野郎に吠え面かかせてやるんだから」
部室から出て行く4人に手を振り見送ったホシノは緩めていた頬を戻して振り返り、ポツリと呟いた。
「...先生、今から少し話せる時間、ある....?」