「ごめんねみんな、遅れちゃっt..うわぁ!」
「「「「ホシノ先輩!!!」」」」
申し訳なさそうな笑顔を見せるホシノだったが、次の瞬間にはシロコ達に飛びつかれ地面に倒れ込んでしまった。
「もう!先輩の馬鹿!本当に心配したんだから!」
「よかった...本当に....!」
「ちょ、ちょっとみんな落ち着いてー!?これじゃおじさん起き上がれないから...!」
4人に押し倒されたホシノは困惑しながらも必死にシロコ達を宥める。
『何故だ何故だ何故だ!!!小鳥遊ホシノ!貴様は私の拠点へ運ばれていた筈....それなのに何故ここに!!!』
目の前の出来事が信じられず、感情を爆発させるカイザーPMC理事。
そんな理事の視界にはもう1人の姿が映る。
「良かった、なんとか間に合ったみたいだ....」
「「「「先生!」」」」
ホシノに遅れて現れたのは、息を切らしながらも彼女達を安堵の表情で見つめている大人。
「ふっ、やっぱり私の読み通りね。来ると思ってたわ」
「とか言ってアルちゃん、本当は凄く安心してるんでしょ?さっきの緊張で冷や汗凄いよ?」
「う、うるさいわね!」
シャーレの先生の合流、小鳥遊ホシノの帰還により彼女達は先程とは打って変わってすっかり安心しきった様な表情を浮かべていた。
『そうか...貴様の仕業かシャーレの先生!どうやって小鳥遊ホシノを連れてこれた!』
そんな様子に腹を立てた理事は目の前の大人へ言葉を投げつける。
だがその時、機体の内部にいた理事の元へ一件の通信が届いた。
『....失礼、今連絡の取れている者は理事、貴方で間違いないですか?』
「黒服!小鳥遊ホシノは貴様の所で契約を結んでいた筈だ、何故奴がここにいる!」
『落ち着いてください、今ご説明しますので。....確かに先程まで彼女はこちらにいらっしゃいました、それは間違いありません』
『しかし....最終的に彼女との契約は無効となりました』
「なんだと!?」
焦る理事とは裏腹に、黒服はまるで何でもないかの様に淡々と言葉を紡ぐ。
『連絡が遅れてしまった事は申し訳ありません、ですがこちらも色々ありましてね』
「お前は小鳥遊ホシノが必要だと言っていただろう!何故簡単に逃した!」
『その件なのですが、彼女以上に私の興味を引く存在が現れましてね。もう彼女は必要ではなくなった、という事で帰した次第です』
「ふざけるな、誰なんだそいつは!」
『シャーレの先生ですよ』
「!!!」
『つまり私の今の目的は彼女ではありません。よって私がこれ以上貴方達と協力し合う必要もなくなりました。ですが、短い間でも一応協力関係であった者として最後にひとつ....あの方をあまり舐めない方がいいでしょう、とだけ忠告を。では私はこれで、健闘を祈ります』
そう言い残し、黒服は通信を切った。
『.....ぐぅぅぅぅどいつもこいつもふさげている!貴様は何度私の計画を邪魔する気だ!貴様如きに何故この私が....!』
「私は生徒を利用し、傷つけ、悲しませる、そんな奴を見過ごせないだけだよ」
「カイザー理事、だからお前はここで終わりだ」
『黙れ黙れ黙れ!....そうだ貴様が、貴様がいなければ全て上手くいった筈だ!貴様がいなければぁぁぁぁ!!!』
理事から怒号が飛び出ると同時に、理事の操作する機体が再度動き出す。
「まさかカイザーがあんなロボットまで造っていたなんて....みんな、まだ動ける?」
怒りに震える理事を前に先生は彼女達に尋ねた。
「勿論、これくらいで倒れるわけない」
「私もまだまだ元気いっぱいですよ〜」
「アイツの負け面を拝むまでやられる訳ないわ!」
「私も全力でサポートします!」
「おじさんも道中で準備運動は済んだしバッチリだよー」
対策委員会の5人全員がそう宣言する。
「アル達も、シロコ達のサポートをお願いしていいかな?」
「当然よ、便利屋...いえ覆面カルテット?この場合どっちなのかしら.....」
「そんなのどっちでもいいでしょ...私達はOKだよ」
「せ、先生のご期待に応えられる様頑張ります!」
「クフフ♪後でご褒美期待してるね、先生♪」
アル達4人もそう言いながらシロコ達の横に並び立つ。
「よし、みんな行くよ!」
先生の言葉を合図に、第3ラウンドが幕を開けた。
「ノノミ、セリカ、2人は左右のアームを狙って。アヤネは今のうちにシロコに補給を。補給が終わり次第シロコも射撃を再開」
「「「「了解(です)!」」」」
先程よりも統率の取れた動きで攻撃していく彼女達。
『くぅっ!ちょこまかと小賢しく動きおって!』
そんな彼女達に鬱陶しさを覚えた理事はその場から下がりつつ、ガトリングで1番前に居たシロコを撃ち抜こうとする。
「ホシノ」
「わかってるよ〜」
だが理事の攻撃は一瞬でシロコの前へ出たホシノによって簡単に防がれてしまう。
それからも理事の攻撃は全てホシノによって阻まれ続け、段々と機体の動きが鈍ってきていたが
「これだけ撃っても対したダメージが無いなんて...」
「やっぱりあの理事が言った通り高純度の物質でできているだけはありますね...」
「でもさっきより機動力は落ちてきてる。機体を動かすエネルギーは削れてるのかも、何か決定打があれば...」
「...わかった。今度はあの機体の目元を集中して撃ち続けて」
『無駄な事を!貴様らの攻撃など...ぬぅっ!?』
機体の頑丈さに高を括っていたカイザー理事は、内部から見えていた視界にノイズが走り始めたのを見て焦りの声を上げる。
「やっぱり、視界を確保するための目元はそれ程頑丈じゃないみたいだ」
『ぐっ!おいお前達!早くアイツを止めろ!」』
「させないよ」
理事の指示に僅かに残っていた兵士達がシロコ達を妨害しようと動き出すが、そのうちの1人をカヨコが押し止め残りの兵士達も3人によってあっけなく倒されてしまう。
「アヤネ、ドローンを」
「はい!」
『くそ、使えん連中め....うおっ!』
更にそこへアヤネのドローンによってスモークグレネードが投下され、理事の視界を塞いだ。
「よし...皆、よく聞いて.......」
『っ!何処だアイツは?』
煙はすぐに晴れたが、目の前には先程まで立っていた憎き大人の姿がどこにも見当たらない。
「ほらっ!よそ見してんじゃないわよ!」
「ん、私達が相手」
『くそっ、調子に乗るな!』
辺りを見渡そうとする理事だったが彼女達からの妨害により更に視界が悪くなっていく。
彼女達をどうにかしようと攻撃を続けるが、彼女達の方もその度に逃げ回るため上手くいかない。
だが理事はそんな中。微かに銃弾とは別の何者かが移動する音を捉えた
『馬鹿め!バレバレだ!』
「っ!アロナ!」
予想通りその方向に居たのはこっそりと移動していたであろうシャーレの先生の姿。
理事はそちらへありったけのガトリング弾を発砲するが、運が良いのか何故か全て避けられてしまう。
『ちっ!だがこいつらから離れている以上、貴様は何もできん!』
瓦礫に隠れている先生との距離を詰めようと理事が一歩踏み込んだ瞬間
『何っ!?』
突如足元が爆発し、機体はそこにできた穴へ片足をとられ一瞬動きが固まってしまう。
「ホシノ!」
『っ!』
そして体勢を崩してしまった機体の目の前には片手に爆弾を、もう片方にショットガンを構えている少女の姿。
少女は手に持っていた爆弾を素早く機体の主砲の中へと放り込み
『ま、待て......!』
理事の静止に耳を傾ける事なく、主砲の中目がけて構えたショットガンの引き金を引いた。