プラナ(この作品のアロナ)の性格、口調は完全に妄想で書いてます。
そこをご理解の上読んでいただけると幸いです。
アロナ。
シッテムの箱の管理者でメインOSである少女。
彼女は出会った頃から私の業務や情報の管理、生徒の指揮に関するサポートなどをこなし、そして...私が色彩の嚮導者となった後も私を信じて様々な補助をしてくれた。
そういえば”あの私”の傍に居たアロナはこちらのアロナとはまるで別人の様だったが...今はきっと2人とも仲良く過ごしてくれている事だろう。
そんな事を考えながら彼女の顔を改めて見てみると
「...アロナ、もしかして機嫌悪い....?」
「いえ、全く」
「でも頬が膨らんでるし...反応がぶっきらぼうだし」
「否定、そんな事はありません」
何故かアロナがご機嫌斜めだった。
かつてもこんな姿を見た事があったが、大抵は仕事のしすぎで私が倒れたり、徹夜が続いたりした時で....あれ、よく考えれば以前の私の業務ブラック過ぎない?
シャーレの職場環境の悪さに困惑しつつ、彼女がお怒りモードになっている理由を考えてみるが中々思いつかない。
「アロナ、ちょっとヒントが欲しいんだけど...」
「.....何日も起動せず返事もしなかった先生なんて知りません」
「......あー」
その言葉でようやく私は合点がいった。
以前の世界では、アロナを何日も構えない日がありそのせいで不機嫌にさせてしまった事がある。
その時は私の保存してたデータなどが犠牲になりそれはそれは大変だった。
彼女は見た目の雰囲気や言動は大人びていて一見無機質という印象を受けるが、そういった子供らしい一面もちゃんとあるのだ。
「...突然シャーレを飛び出したかと思えば、私の制止を聞かずフラフラと何処かへ歩いていきました」
そのアロナの言葉に私は疑問を覚える。
私が持っている記憶はこの世界で目覚めた時より前のものはない....つまり私がアビドスで目覚める以前からこの体はシャーレで活動していたと言う事だ。
「それと、突然シャーレからいなくなった事で連邦生徒会の方から連絡が大量に届いています」
....私自身が過去に戻った訳ではないのか?
今一度私自身について考える必要が出てきたが、今は目の前のアロナに集中しよう。
「ごめんアロナ、色々と迷惑をかけちゃったみたいだね。お詫びに今度有名店のプリンを買うから.....」
「..........」
「わ、わかった!2つ買うから!」
「...了承、特別に許します」
私の言葉を聞いて僅かに笑顔を見せたアロナを見ていると、ついあの頃一緒にいた彼女と重ねてしまう。
....おそらく、今の彼女はあくまであの時私の傍にいたアロナではないのだろう。
それを強く自分自身に言い聞かせながら私はこれまでの出来事を彼女に話した。
「なるほど、今先生はアビドスに...」
「うん、多分これから色々とやる事が増えるだろうからアロナを頼りたいんだ。いいかな?」
「肯定、私にお任せください」
少し誇らしげな様子のアロナの頭を撫でてから、私は“教室“を後にした
アロナとの話が終わり彼女達の部室に戻ると、あの時出会ったシロコに先程はいなかったホシノ、そしてアヤネ、セリカ、ノノミの全員が既に揃っていた。
「ごめんね皆、待たせちゃったみたいだね」
「お、セリカちゃん達が話してた先生って人?よろしくね〜」
「うんよろしくね、ホシノ」
「うへぇ〜名前まで知られてるなんておじさんも有名になったなー」
相変わらず間延びした話し方のホシノについ懐かしさを覚えていると
「先生.....さっきは蹴っちゃってごめん」
ホシノの隣に座っていたシロコが申し訳なさそうに謝ってくる。
「大丈夫だよ、あれは私が悪かったから」
「うーんでもシロコちゃんがいきなり手を出しちゃうなんて、先生何かしたんじゃないの〜?」
「さ、さあちょっと覚えはないかな!あはは...」
「.....ま、いっか。じゃあアヤネちゃん、あと進行よろしく〜」
「え、あ、はい!それでは早速なんですが.....」
そう言われたアヤネは早速現状のアビドスについて教えてくれた。
砂漠化で人が全然いない事、最近になってカタカタヘルメット団がここを襲撃しに来ている事などその内容自体は全て私の記憶通りのものだった。
「そのせいで校内にある物資も残りわずかととなってしまい、かなりまずい状況なんです」
「わかった、とりあえず物資に関しては私の方から手配してみるよ」
「あ、ありがとうございます先生!」
「これで一安心ですね〜」
「ん、先生が来てくれて助かった」
その後もアビドスに関する細かな事を聞いて、ある程度の時間が経過した。
「ひとまずお伝えしたかった事はこれで全部ですね。先生もお疲れでしょうから今後の話し合いは、また次回にしましょう」
「ならおじさんはもう一眠りでもしてこようかなー」
「先輩はもうたくさん寝たでしょ!校舎に入ってきた砂どけるの手伝ってよね!」
「うへぇ〜おじさんには肉体労働はきついよー」
今日やるべき事を終え、各々が自由にし出した時
「じゃあ先生、校内の案内をしましょうか?これからここに来ることも増えるでしょうし」
「ん、なら私が案内する」
ノノミの提案に、シロコがそう答える。
「そうだね、お願いしてもいいかな?」
「うん、任せて」
「じゃあシロコちゃんお願いしますね〜」
グッとサムズアップをしたシロコに連れられ私は再び部屋を後にした。
「ここが準備室、今はあまり使ってないけど」
あれから私はシロコと校内を歩き回りながら、これからの事を考えていた。
とりあえず物資は後でリンちゃんに謝罪する際時にお願いするとして、次に考えるべきは近いうちに起こると思われるヘルメット団の襲撃。
彼女達なら撃退するのは簡単だろうが、一応注意しておくに越した事はないだろう。
「........先生」
突然シロコがこちらを振り返ったかと思えば、何やら真剣な顔つきで私を見つめていた。
「シロコ、どうしたの?」
少しの間無言になったシロコは、私の目を見てポツポツと話始める。
「先生が抱きついてきた時の事なんだけど...」
「や、やっぱり怒ってる!?どうかヴァルキューレ送りは....」
「ううん、そうじゃない..........なんであんな風に私の名前を呼んでたの?」
「シロコの名前?それは私が前から調べt...」
「違う」
そう言うとシロコは一息置いて
「私の名前を呼んだ時、なんであんなに辛そうな顔をしてたの?」
「...........」
その言葉に私は何も答えられない。
「ごめん、私の勘違いなら謝る。でも名前を呼んでる時の先生、凄い目をしてたから」
「まるで信じられないものを見てる様な...あの時はつい驚いちゃってわからなかったけど、今思い返すと初めて会ったにしては凄く不思議な感じだった」
「先生、もしかして先生は私の知らない何かを知ってr......」
「シロコ」
私はシロコの言葉を遮り
「あの時は砂漠で何日も1人で彷徨ってたせいで、恥ずかしいけど心細かったんだ。だから前から知ってた生徒に会えてつい気が大きくなっちゃってね、本当にそれだけだよ」
私は笑顔を貼り付けながらそう誤魔化した。
「...........ん、そっか。ごめん、急にこんな話して」
そう言ってシロコは再び前を向き、歩みを進める。
その後ろ姿が一瞬だけ、あの時の”シロコ”と重なった。
全てに絶望し、それでも尚止まる事ができなかった...私が救えなかった彼女。
私はつい”彼女”に向けて手を伸ばしてしまう。
「シロコ.....」
「ん、何?」
再度振り返ったシロコは、手の平を自身に向けている私を不思議そうに見ていた。
「.......はやく校内を見て回ろうか。セリカ達を手伝いにいこう!」
「ん、そうだね、じゃあついてきて先生」
そうして早足になったシロコの後を私は追いかけていった。