「「「.....」」」
室内にはソファに寝かされた1人の大人と、それを見守っている3人の少女達。
「どうするのお姉ちゃん!?シャーレの先生が倒れたって知られたら私達本当にまずい立場になっちゃうよ!」
「ぐぇぇ!お、落ち着いてミドリ...く、首が締まって....!」
「あぁ....ど、どうしよう、どうしよう....!」
混乱するミドリは、モモイの襟元を掴み揺らす。
モモイはいきなり掴まれた衝撃で首が締まり苦しそうに暴れている。
ユズはどうすれば良いのか分からずオロオロと身体を動かしていた。
「うぅ...プニプニ....植物人間...腹違いの友人....」
先生から漏れたうわ言を聞き、慌てふためいていた3人は一旦落ち着きを取り戻す。
「...これからどうするの?」
「ケホッ、ケホッ!...と、とりあえずこのままここで寝てもらおうよ。多分少しすれば目を覚ますだろうから、それまで誰か来なければ....」
そう口にした瞬間、誰かが部室の扉をコンコンと叩く音がした。
「お、お姉ちゃん...!」
「あ...あぁ...!」
「お、落ち着いて2人とも。返事をしなきゃきっと帰って...」
「モモイ?いるんでしょ?入るわよ」
扉の向こうにいる人物はモモイ達の返事を待たず部屋に入ってくる。
「あ、鍵かけ忘れてた!」
「お姉ちゃんの馬鹿!」
「どうしたのよ?...って何で手を広げてるの?」
3人はやって来たユウカの前で手を広げ、必死にソファの方を見せないようにしていた。
だがその努力虚しく、ユウカは奥を覗き込むとソファでうなされている先生を見つけてしまった。
「先生!?ちょっと、一体どういう事よ!また何かやらかしたのね!」
「ぐぅぅ!ゆ、ユウカも落ち着いて...!」
「あ、あの....!」
「...ん?ユズ、どうしたの?」
モモイに詰め寄っていたユウカは自身に声をかけてきたユズの方を振り向いた。
「あ、そ、その...先生は私達が作ったゲームをして...」
「ゲーム?」
「ほらこれだよ、私達の作品!」
「貴方達の作品って...ああ成る程、理解したわ」
ユウカは事情を察したのか、苦笑いを浮かべながら寝ている先生を見下ろすとため息をついた。
「まあいいわ。ほらモモイ、貴方にこれを届けに来たの」
「え、何何?...ってあの通知書じゃん!」
「さっきうちに来た時、それ落として帰ったでしょ.....それより、貴方達はこれからどうする気なの?」
ユウカは目を細めてモモイ達に問い詰める。
「モモイにもさっき話したけれど、これは貴方達が招いた事態、部活動としての形がなっていない以上貴方達に文句を言う資格は無いわ」
「うっ...」
「私としては今すぐ廃部を受け入れてくれれば、期日まで待つ手間も時間もかからないで済むのだけれど」
「そ、それは駄目!」
モモイはユウカの発言に否を唱えた。
「...あのね、否定するだけなら誰にでも出来るわ。今まで何度そうやって否定し続けてきたの?....今の貴方達は人数も足りなければまともな成果も無い、そんな状況でどうするつもりなの」
「それは....」
「....」
ミドリとユズは、ユウカの言葉に口を噤んでしまう。
「だったら...だったら条件を達成できれば良いんでしょ!やるよ!部員も集めて、ゲーム開発部としてのちゃんとした成果も出せば文句ないでしょ!」
だがそんな中、目を見開いたモモイは1人そう強く宣言した。
「....あら、そんな事本当に出来るのかしら?」
「やる!見てなよユウカ!あんな条件、簡単に終わらせてユウカにギャフンと言わせてやるんだから!」
「ふーん、ならそれが威勢だけにならない様に頑張りなさい。それじゃ、期待しないで待ってるわね」
モモイの啖呵を聞いたユウカはそう言い残し、一瞬だけ先生を見るとそのまま部室を去って行った。
ユウカが出て行った後の室内は静まりかえっていた。
「......や、やっちゃったあああああああ!!!」
しばらくしてからモモイの声が響く。
「え、お姉ちゃんまさか勢いだけであんな啖呵を切ったの!?」
「う〜!ユウカに言われっぱなしで悔しくてつい....」
「ど、どうするの。新しいゲームの案なんてまだ無いし、そもそも部活に入ってくれそうな友達もいないし...」
「あぅ、このままじゃ私達は....」
「...ううん、まだ時間はある。だからきっと何とかできる、私達なら乗り越えられるよ」
モモイは2人をしっかりと見つめ、そう告げる。
「...そうだね、諦めるのはまだ早いもんね。でも私達3人だけじゃ結局できる事も少ないよ」
「なら協力者を増やせばいいんだよ!」
「確かにそんな人がいればいいけど、私達に協力してくれそうな人なんて....」
「じゃあ私が協力者に立候補してもいいかな?」
その時、不意に聞こえて来た声に3人が振り返ると、そこにはソファから身を起こした先生の姿があった。
「先生!起きたんだね!」
「実は少し前からね...さっきのモモイ、格好良かったよ」
「え、あはは...なんか改めて言われると恥ずかしい...」
「せ、先生...本当に良いん...ですか?」
ユズは先生におずおずと尋ねると、先生は笑顔を浮かべながら頷いた。
「生徒が頑張ろうとしてる時に少しでも助けになるのが大人のすべき事だから。ユズ達が迷惑じゃなければ私にも手伝わせて欲しい、良いかな?」
「勿論!大歓迎だよ!」
「ありがとうございます先生、今日会ったばかりなのに、ここまで親身になってくれるなんて...」
「あ、ありがとう、ございます...!」
「よーし!心強い仲間も出来たし、これから頑張っていこー!」
4人は円陣を組み手を重ねるとモモイの掛け声と共に力強く手を突き上げた。