ゲーム開発部の部室内、そこには発表を終えた3人の少女と1人の大人が居た。
だが部屋の空気は少し暗く落ち込んでいる。
「......ああもう!!!何で誰も入部希望者がいないの!」
モモイは沈黙に耐えられずら思わずそう声を上げる。
あの発表自体は上手くいった。
自分達の話を殆どの生徒が聞いてくれていたし、ゲームの説明に興味深そうな反応をする子も確かに見られた。
いざ発表が終わり、部員を募集している旨を伝えたのだが
『話は面白かったけど、入部する程ゲームは好きじゃない』
『他の部活に入りたいと思ってるから』
『もう部活に入ってる』
そんな事を言われてしまい、結局誰一人として部員になってくれる人はいなかった。
「ごめん、力になりたいって言ったのに何も出来なくて...」
「先生は私達の為に精一杯動いてくれたじゃん!だから何も悪くないよ!」
先生が悲しそうな顔で自分達に頭を下げる。
そんな姿を見てモモイは先生の言葉を否定する。
「うぅ...やっぱり無理なのかな...あれだけ頑張ったのに....」
「ユズちゃん...」
人前に出て話すという普段慣れていない事に挑戦し、今回1番頑張ったであろうユズも落ち込んだ様子で嘆く。
そんな空気の中、部室の扉が叩かれる音が聞こえたかと思えばそこにはユウカが立っていた。
「4人で集まって、反省会でもしてるの?」
「ユウカ....」
入ってきたユウカはいつも通りの調子で自分達に声をかけてきた。
「...貴方達のあの発表、まあ良かったと思うわ。でも、その調子じゃ本来の目的は果たせなかったって所かしら」
ユウカはソファに座りながら、自分達の顔を見てそう呟く。
「どうするの?今のままじゃ貴方達は部の規約を守れない。期日までそれが続けばあの予告通り廃部よ」
「...あの時言った通りここで意地を張らずに、素直に諦めれば今回みたいに悲しむ事はこれ以上無くなるわ。その方が貴方達にとっても.....」
「....諦めない」
「...何ですって?」
「諦めないって言ったの」
モモイはユウカを真っ直ぐ見つめ、立ち上がると言葉を続ける。
「他の子にとってゲームはただの遊び道具...でも、私にとっては自分を幸せにしてくれた大切なものなの」
「初めてゲームに出会った時、こんな面白いものがあるんだって感動した。それからはもう夢中になって毎日色んなゲームをプレイしてた」
「ロールプレイング、アクション、シミュレーション、リズム...ゲーム1つとっても沢山あって、どれも普通じゃ出来ないような体験をさせてくれる、そんな凄いものなの」
「その頃はお互いあまり話さなかったミドリともゲームを通じて仲良くなれて...ユズの作った作品を知って、私もあんな面白いゲームを作りたい、面白いって思って貰える様な作品を作りたい!...そう思ってこの部活に入部したの」
「もしここで諦めたら、思い出と気持ちの詰まったこの部室が消えちゃう...そんなの納得出来ない!私にとって、ゲームは人生そのものなんだから!」
「......」
ユウカは黙ってモモイの話を聞いている。
「ユウカ」
「先生?」
「私はこの数日間、この子達と一緒に過ごして、3人が一生懸命作業する姿をずっと傍で見てきた」
「皆どんな事をする時も凄く楽しそうにしてた。それを見てるとどれだけゲームが大好きなのか、どれだけこの部活に情熱を注いでいるのかが伝わってきたよ」
「だから私からもお願いしたい。もう少しだけ、この子達を見てて欲しいんだ」
他の2人もじっとユウカを見つめ、4人の視線が彼女に突き刺さる。
「.....はぁ、ここで認めなかったら私が悪者みたいじゃない...いいわ、ならとことん満足するまで頑張りなさい、結果を楽しみにしてるから」
溜め息を溢しながらそう答えたユウカはソファから立ち上がると、手を振りながらこの場を去って行った。
残された4人はほっと息をつくと
「もうこれでやるしかなくなったね、頑張らないと!」
「でも、これからどうするの?結局部員集めも振り出しに戻っちゃったし...ミレニアムプライスに出すゲームも考えないといけないし」
「ふっふっふ...部員集めはまた考えるとして、後半に関しては完璧な作戦があるよ」
「完璧な作戦?」
モモイは3人の視線を集めながら、声高らかに告げた。
「...伝説のゲームクリエイターが残した”G.Bible”。それを見つけに行くんだよ」