偽りの道をもう一度   作:Mrふんどし

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前書きに書くことがないのでここで感謝を。
お気に入り10件ありがとうございます。


アビドスの初日 アロナside

先生。

 

いつも生徒のために動き、どんなに辛かろうと生徒を優先して働く立派な大人。

かと思えば趣味にお金を注ぎ込んで生徒に叱られわかりやすく落ち込んだりと少し子供っぽい一面もある、そんな不思議な方です。

 

「ふぅ....今日もお疲れ様、アロナ」

 

『首肯、では甘いものを要求します』

 

「さ、最近出費が多くて、あまり高いものじゃなければ....」

 

額に冷や汗を浮かべて画面を操作する先生を見ているとある事が気になった私は先生に問いかけました。

 

『質問、先生は最近いつ休まれましたか?』

 

「えーと、2日前....くらい?」

 

『........』

 

「嘘です、4日前です...」

 

私の無言の圧に屈し、そう白状した先生は手をあげ降参の姿勢をとりました。

 

『であれば今すぐ睡眠を取る様推奨します。眠れないのであれば膝枕?というのを実行しても良いですよ』

 

「アロナ、どこからそんな知識を手に入れたの?」

 

『とにかく仮眠室へ向かってください...でなければアロナパンチを飛ばします』

 

「あはは、随分可愛らしいパンチだね」

 

『...これは先生が以前からプレイしているゲームのデータを一瞬で消し去る威力を持っています』

 

「あーなんだか凄い眠くなってきたな!」

 

わざとらしく大声を出した先生はシッテムの箱を持つと大急ぎで仮眠室へと向かっていきます。

そうしてベッドへ寝転がってから少しもしないうちに寝息をたて始めた先生を、私はしばらく画面の奥から見守っていました。

 

 

 

そんな何でもない日々が続いていたある日のこと。

 

『先生、どうかされましたか?』

 

いつも通り仕事をこなしていた先生が突然立ち上がったと思えば、何故かそのまま動かずにぼうっとし出しました。

 

『先生?』

 

ようやく動き出したかと思えば、シッテムの箱を手に取りシャーレの部屋から出て行ってしまいます。

そのまま無言で歩き続け、ついには今まで一度も通ったことのない道を進み始めました。

 

『先生、少し止まってください』

 

何度も声をかけますが、まるで私の声が聞こえてないのか返事は一切ありません。

さらにはシッテムの箱を服の内側に入れてしまったため、こちらから先生の状況がわからなくなってしまいました。

 

その後も必死に声をかけ続けましたが、結局先生は一度も止まることなく一心不乱に何処かへと歩みを進めていきました。

 

 

 

..,変化があったのはそれから数日後、突然シッテムの箱が起動され私の”教室”に先生が現れました。

 

始めは盛大に文句を言おうと思っていた私でしたが、先生の顔を見た瞬間思わずそうする事も忘れてしまいました。

 

特におかしな箇所はありません。

服もいつも通りで髪型などの細かい所も変化なし。

ですが、こちらを見つめる先生が浮かべた表情に私は少しだけ違和感を覚えました。

 

まるで私の事を懐かしんでいる様な視線...それでいてどこか悲しそうな表情。

数日前の先生とはどこか雰囲気が違うような、そんな印象を受けました。

 

「先生、お待ちしておりました」

 

「うん、ただいまアロナ」

 

どうやら怪我などはしていないようでそこは一安心です。

ですが同時にあれ程私の声を無視していた事を思い出し、つい頬を膨らませてしまいました。

 

「...アロナ、もしかして機嫌悪い....?」

 

「いえ、全く」

 

「でも頬が膨らんでるし...反応がぶっきらぼうだし」

 

「否定、そんな事はありません」

 

先生の無事を確認できて嬉しいのは本当ですが、あまりに自覚の無さそうな先生の態度に私はつい意地を張ってしまいます。

 

「アロナ、ちょっとヒントが欲しいんだけど...」

 

呆れました、先生は私がこうも不機嫌な理由をまるでわかっていなかったようです。

 

「.....何日も起動せず返事もしなかった先生なんて知りません」

 

「......あー」

 

私のその言葉でようやく理解したのか、間抜けな声が聞こえてきました。

 

「ごめんアロナ、色々と迷惑をかけちゃったみたいだね。お詫びに今度有名店のプリンを買うから.....」

 

一瞬先生のその言葉に反応しかけましたが、それで許す程私は甘くありません。

 

「わ、わかった!2つ買うから!」

 

「...了承、特別に許します」

 

前言撤回です、それで手を打つ事にしましょう。

その後私は先生から先程あった事を聞かされました。

 

アビドスの道の真ん中で倒れていた事、目を覚ましたらアビドス高等学校に運ばれていた事、今後彼女達の手伝いをしようと考えている事....。

 

「うん、多分これから色々とやる事が増えるだろうからアロナを頼りたいんだ。いいかな?」

 

そう私に尋ねてくる先生。

ですが既に答えは決まっています。

 

「肯定、私にお任せください」

 

先生の頼みならば私に断る理由はありません。

私が了承の旨を伝えた後、先生ら私の頭を優しく撫でてから”教室”を出ていきました。

 

「.....検索、アビドス全域」

 

先生は先生でやる事も多いでしょう。

ならばその負担を減らすのが私の役目です。

 

そうして私は手始めに、このアビドス地区の情報、各場所の詳細などを集め始めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

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