ピッピッピッピッピッ...
テレビ画面の淡い光だけが漏れている暗い室内、そこに機械的な電子音が響いていた。
「....クリア」
テレビの前に座りコントローラーを握っていた1人の少女はボソリとそう呟くと、彼女は自身の周りで寝息を立てている3人を起こさない様慎重にカセットを抜き取りすぐさま別のゲームを起動してプレイを再開する。
ピッピッピッピッピッ....
『話し方?』
『そう!見た目は誤魔化せてもやっぱりこの話し方じゃ疑われちゃうと思うから怪しまれない程度に教えようと思って...ただでさえユウカには私達は友達がいないって思われてるし』
『それは確かにそうだけど...でも実際教えるのってどうするの?一言ずつだと時間もかかるし、子供用の教育プログラムを探すとか?』
『う〜ん...』
『あ、あの...これ....』
『ん?どうしたのユズ....あ、私達が作ったゲーム!』
『う、うん。一応会話をしながら進められるから...も、もしアリスちゃんが良かったらどうかなって...』
『ナイスアイデアだよユズ!アリスもどう?』
『....その言動の意図は完璧に把握しかねますが...肯定、アリスはゲームをします』
『やった!じゃあ早速準備するから待っててね!』
「.......」
少女...アリスはコントローラーを動かしながら数時間前の出来事を思い返す。
モモイ達が作った”ゲーム”をプレイして間もない頃は画面に表示される文章の意図が読み解けず、更には登場人物までも意味不明なものばかりと、思わず意識を失いかけてしまう程だった。
だが何度もプレイを続ける内に、今度は別の感情が胸の中に溢れ出てくるのがわかった。
まるで別の世界を旅しているかのような高揚感、ストーリーを進める度に浮かぶ面白い...続きが気になるという気持ち、そしてそれらをもう一度プレイしたいと思えるような....
(これがゲーム...アリスは知りたいです)
もっと色んなゲームを、もっと色んな世界を。
”ゲーム”という素晴らしいものを教えてくれた、彼女達の事を.....。
ピッピッピッピッ...
アリスはただひたすらに画面に映る世界を見続ける。
(ただ....わからない事もあります)
それは、モモイ達が”先生”と呼んでいた人物について。
(アリスは....あの人を知っています)
はっきりと記憶として残っている訳ではない。
けれども、何故かあの”先生”を見ていると懐かしいという感情がどこからか沸いてくるのだ。
一体いつ、何処で、何故こんな感情をアリスは....
「.....クリア」
彼女はそれからもゲームをプレイしながら思考を続けたが、その答えを出す事は出来なかった。