偽りの道をもう一度   作:Mrふんどし

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パーティー結成

『おはよう先生!』

 

『今から部室に来れる?』

 

廃墟での騒動があった翌朝、私はモモイから届いたモモトークを読んでいた。

 

彼女が言うには今日はアリスに関する色々な用事を済ませるつもりらしく、念のため私にも同行して貰いたいとの事。

 

”わかった、今から向かうね”

 

『ありがとう先生!待ってるね!』

 

『そうそう、アリスの話し方も凄く良くなったんだよ!楽しみにしてて!』

 

そんなモモイとのやり取りを終え、早速ミレニアムへ向かおうと私は身支度を整え始める。

 

「あれ、上着は....ああそっか、昨日アリスに着せたまま帰ってきちゃったから...」

 

まあこれから彼女達の部室を訪ねるのだ、その時に返して貰えばいい。

 

『質問、少々よろしいでしょうか?』

 

「ん?どうしたの、アロナ?」

 

準備も終え部屋を出ようとした時、不意にアロナから声をかけられた私はシッテムの箱を覗き込むと、彼女は眉を顰めながらこちらを見つめていた。

 

『あれから体調の方は大丈夫なのですか?昨日はどうにも様子が変だった様なので...』

 

...どうやら昨日の一件で心配させてしまったらしい。

 

「...ごめんね心配かけちゃって、でも今日は大丈夫だよ、ちゃんと睡眠もとれたし...ほら、体調もこの通りバッチリだから!」

 

正直に言えばまだ若干不調気味ではあるが、私は彼女を安心させる為にポーズをとり元気な事をアピールする。

しかし彼女はそんな私をより一層怪訝な顔で見つめて呟いた。

 

『....先生、誤魔化そうとしていませんか?』

 

「えっ」

 

『先程から口の端がピクピクと動いています、先生が誤魔化そうとする時に見られる癖です』

 

「嘘!?」

 

私は彼女の指摘に思わず口元を押さえてしまう、だがそんな私を見てアロナはクスッと笑い声を漏らした。

 

『否定、嘘です。先生にその様な癖はありませんよ...ですがその反応を見る限り、やはり体調は万全では無かったようですね』

 

「うっ...ご、ごめん」

 

『....先生が私の事を思ってくれているのはわかります、ですが私は先生のお役に立てない事の方が嫌です...』

 

彼女はそう言うと顔を俯かせてしまった。

 

アビドスの一件もあり、普段から様々な場面で彼女の助けを借りている身としては少しでも彼女の負担にならない様にと考えていたのだが、かえってそれが彼女を傷つける事になってしまっていたようだ。

 

「アロナ....そうだね、これからはもっと素直になってみるよ。...アロナにも色々お願いする事が増えるかもしれないけど、いいかな?」

 

『肯定、勿論です。どんな事でもお任せください』

 

私の言葉を聞いたアロナは顔を上げると、その彼女の顔はやる気に満ちていた。

 

 

 

 

 

「あ、先生!」

 

「おはようモモイ、ごめんね少し遅れちゃって」

 

それから改めてミレニアムに訪れ彼女達の部室を目指し歩いていると、その途中で丁度モモイと出会ったので一緒に部室へと向かう事に。

 

モモイは先程ヴェリタスの所へと足を運んだ帰りらしく、彼女の手には一枚の学生証が握られている。

 

どうやらアリスに関する情報を彼女達の力を借りて、生徒名簿にハッキング....登録してきたのだとか。

若干不穏な単語が彼女の口から聞こえた気がするがこれも彼女達の為、私はスルーを決め込んだ。

 

「アリスはここに来たばっかりだから、とりあえずミレニアムを一通り案内しようと思ってるの。だから先生にも一緒に来て欲しいんだけど、いい?」

 

モモイは隣を歩く私を見上げながらそう尋ねてくる。

それについては朝のモモモークでも了承しているし、元々私は彼女達がやろうとする事には全て協力すると決めている。

 

「ありがとう先生!先生ならそう言ってくれると思ってたよ!」

 

私は彼女の問いに二つ返事で答えると、モモイは嬉しそうな笑顔を浮かべた。

 

やがて目の前に見えてきた部室へと走り出した彼女に続き部屋に入ると、中には既にミドリとユズの姿があった。

 

「あ、先生。おはようございます」

 

「お、おはようございます」

 

「おはよう二人とも...あれ、アリスは....」

 

だがこの場にいる筈のもう一人の少女の姿が見当たらない。

私はその事を二人に尋ねようとした所

 

「おお賢者よ...よくぞ参った」

 

突然背後からやたらと仰々しい言い回しをする声が聞こえ、驚いた私はその声に反応し振り返る。

 

「其方が来るのを私は長い事、この森で待っておったぞ」

 

 一体何処に隠れていたのか、いつのまにか私の背後には両手を左右に大きく広げ、謎の口調でこちらを歓迎するアリスが立っていた。

 

「あはは!どう先生凄いでしょ?一晩でこれだけ流暢に話せるようになったんだよ!ふふふっ、声も出ない程驚いてるみたいだね」

 

「えっと...賢者って?」

 

「はい、アリスはモモイ達に先生の事を聞きました。先生は色んな事を知っていて、沢山の生徒を導いていると....だから先生はRPGの賢者です!」

 

アリスはそう語り終えると満面の笑みでこちらを見つめてくる。

....いきなりの事に私は一瞬固まってしまったが、それと同時に私は内心ホッと胸を撫で下ろしていた。どうやらこの世界でもアリスは良い意味で変わらないらしい、私はその事が何故だかとても嬉しかった。

 

「あ、そういえば。えっと....はい先生これ、返しておくね!」

 

モモイはそう言ってクローゼットを開くと、そこには昨日私が忘れてしまったコートがかけられていた。

そうだった、それの受け取りに来た事をすっかり忘れてしまっていた。

私はモモイにお礼を言いながらそれを羽織っていると、彼女は手に持っていた学生証をアリスに手渡した。

 

「それと、アリスにはこれ!」

 

「...?アリスは『正体不明の書類』を手に入れました」

 

「それはアリスの学生証、それがあれば私達の学校の生徒って証明になるの。だからこれでアリスは正式に私達の仲間だよ!」

 

「成る程...パンパカパーン、アリスが『仲間』に加わりました!」

 

「うんうん、いい感じ!もう話し方は完璧だね」

 

「....本当に大丈夫かな」

 

「で、でもアリスちゃん何だか嬉しそう....」

 

「それは...うん、そうだね」

 

ミドリとユズは、楽しそうに笑うアリスにつられてお互い口元を緩ませている。

 

「よーし、じゃあ早速行こっか」

 

「どこか出かけるんですか?」

 

「アリス、ミレニアムは初めてでしょ?だから今日は色んな場所を案内してあげる」

 

「見知らぬ場所....マップの制覇は探索の基本ですね」

 

「そうそう、今から冒険に出発だよ!」

 

「冒険.....」

 

アリスはモモイの言った”冒険”という言葉に目を輝かせている。

 

「うん、確かに私達の学校を知って貰うのはアリスちゃんにとっても良いかも....ユズちゃんはどうする?」

 

「....わ、私も一緒に行く...!」

 

ミドリとユズの二人もモモイの案に同意し、こうして全員でミレニアムを周る事となった。

 

 

「パンパカパーン、アリスは『パーティー』を結成しました。クエスト『ミレニアム探索』開始です!」

 

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